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葉 緑 七

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 夜、夕飯をリョクと食べながら
「今日昼、コンビニ行って、小説家に会った、有の息子のナナだった」

「ええっ、前に手紙届けてくれた人、」

「そうなる」

「へぇ、、売れない小説家がナナさんかあ、近くにいたんだ」

「少し話をして見たいが、どう思う」

「好きにすれば、いいんじゃない」

「迷っている、有にそっくりなんだ」

「外見だろ、」

「まあな、、、やっぱり辞めとく」

「なんで、」

「しゃべる自信ない」

「はっ、そこかぁ」

 暫くはコンビニに行くのを辞めよう、売れない小説家が、なんと有の息子とは、世の中狭いと思った。
 
 ナナは出会う人だったんだ、、。

 僕がコンビニに行かなくなって1年過ぎた。

 リョクは、バイトをこの春休みで辞めて勉強すると言っていた、高校生三年になる。

 バイトの日、売れないバンドマンのオッサンが入り口を見て「あっ、売れない小説家だ」と、おれに囁いた。

 ナナがおれの所に来て
「オーナーに君のバイト時間聞いた、君のお父さんに会いたい、電話番号教えてもらえるかな」

「ああ、小説家のナナさんですね、父から聞いた事あります。ちょっとだけ待ってってくれますか」と、おれは言って父ちゃんに電話した。

「あっおれ、今ナナさん来て、父ちゃんに会いたいって、どうする」

「えっ、急で驚くよ、 なんだろう急ぎかな、
急ぎだったら、家に今来てもらっても良いよ、
急ぎじゃないなら電話番号を聞いて、父ちゃんから掛けるよ」

「わかった、取り敢えず切るよ」

ナナさんに、
「家に来てもらっても良いし、ナナさんの電話番号教えてください。父から掛けるそうです。」

「別に急いでないんで、」
電話番号を、書いてよこした。

「今日の22時過ぎ頃電話させます、後、、父あまり、、、しゃべり上手くないんで、その辺宜しくお願いします」

「、、あっそう、じゃ、ありがとう」って、言って帰った。

 おれは、初めてナナさん見た。
 カッコいい、ビックリした。

 売れないバンドマンのオッサンが
「売れない小説家と何かしゃべてたろ、知り合いだったのか」

「おれは、初めて見ました。カッコいいですね、ビックリしました。
 おれの、父ちゃんを知ってるようです」

「ふぅん、、世の中狭いな」

「そうっすね」


 リョクからの電話に僕はビックリした。
ナナが僕に会いたいって、、、
もう1年くらいコンビニに行っていない。
 どうしたんだろう、リョクから再度電話がこないので急ぎじゃないようだ、
と、思っていたら、バイトからリョクが帰って来た。

 電話番号の紙を、僕によこして
「22時過ぎに掛けさせるって言ったから、掛けてよ」

「えっ、急ぎだったの」

「違うよ、時間決めないと、父ちゃんいつ掛けようかウジウジ悩むだろう、」

「そう言う事か、そうだなぁ、ありがとう」

「ついでに、父ちゃん話下手だって言っておいた」

「そう」
リョクなりに僕を心配してくれて、僕は頼りなく見えているんだろうなぁ。

僕はナナくんに電話をかけた。
「ナナくん、葉だけど、どうしたの」

「忙しいのにすいません、もし良かったら父の事教えてください、、全然知らないのも寂しいなって最近思って、」

「僕の知ってる範囲で良いなら、いつでも良いよ」

「ありがとうございます。近いうち一緒に夕飯どうですか、明日とか、明後日とか、どっちが良いですか」

「じゃ明日、コンビニの隣の焼肉屋で、18時にどう」

「わかりました、明日楽しみです。ありがとうございます。」

「じゃ明日ね」と、言って電話を切った、

 僕も明日が楽しみだ、珍しくワクワクした。


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