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第12章 ヤーベ、王都の生活をマンキツする!

第155話 活躍したみんなにはお礼をしよう

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ガルガランシアで砂糖農家のメリッサから大量の砂糖を買い付けに成功した俺は大至急王都バーロンへ帰る。

その途中、集積地であるガナードの町の上空を素通りする。
情報収集に降りて様子を見て行こうかと思ったのだが、どうせトラブルに巻き込まれることは想像に難くない。それに、スペルシオ商会だけで言えば、俺がこの砂糖を運ぶだけでしばらく砂糖の運搬は不要だろうしな。

そんな訳で、夕方には王都バーロンに帰って来た。
ちゃんと南門に並んで入る。チェックを受けておかないとね。

大通りを歩いて行くと、夕方の喧騒が目に入って来る。
屋台の食べ物屋も夕飯時を狙って声を張り上げている。
リューナは砂糖を貰って店に帰っている。スイーツの研究を始めているだろうが、今の時間は夜の営業を始めているだろう。
俺も早くスペルシオ商会に砂糖を納品して、コルーナ辺境伯家に戻って夕飯を食べたいところだ。きっとイリーナたちも俺を待っているだろう。
・・・待っていなかったら悲しい。

「アンソニーさんお待たせ」

「おお! ヤーベ殿! 本当にガルガランシアまで行って来られたのですか?」

「そりゃそうだよ。ちゃんと砂糖買い付けてきたから、倉庫に案内してくれる?」

「おお、こちらですぞ!」

と言って倉庫に案内されたのだが・・・ぐるっと見回してもそれほど大きくはない。ちょっと狭くね?

「メリッサから買い付けてきた砂糖、全部は入らないよ?」

「あれ、そんなに買えました?」

「お金に困っていたようだったからね。在庫は全て購入してきたよ」

そう言って取引完了書の書面をアンソニーさんに渡す。

「おう、持って行ったお金全部使ったのですな。もちろん大歓迎ですが・・・というか、この量全て買い上げたのですか? その砂糖はどちらに?」

「とりあえず、ここに入るだけ出すか。後はしばらく預かっておくとしますか」

「そうして頂けると助かりますが・・・ここへ出す?」

アンソニーさんがそう言って首を傾げるので、俺は彼に背を向けて倉庫に出せるだけ砂糖の袋を積んで行く。
だいたい買付の半分くらいか?

「え?」

「後半分くらいあるな。預かり証書いてくれる?」

「・・・わかりました。準備しますが、一体・・・どこから砂糖が・・・」

そう言って首を捻りながらも残りの砂糖の分の預かり証を製作してくれたので、サインしたものをそれぞれ持ってスペルシオ商会を後にした。




「わふっ!(ボス!お帰りをお待ちしておりました!)」

コルーナ辺境伯家に戻って来て、建物に辿り着く前、庭にはローガを筆頭に狼牙族がズラリをお座りで待機していた。

『無事、約一万の魔物を殲滅出来ましたのでご報告いたします!』

ローガが尻尾を左右に高速で振りながら俺に報告する。
これは、あれだな。モフモフタイムを要求しているという事だろうな。

普通、ラノベではモフモフする側が気持ちよくて、される側が嫌がるパターンの方が多い気もするが。
ウチは逆だな・・・ローガたちがモフりタイムを要求している気がする。
尤もモフモフしていると気持ちいいので文句はないのだが。

後、ラノベのお約束として獣人少女をモフるとものすごくエッチな感じになるのは確率100%である。まあ、ローガたちは全身狼で間違いなしだから、関係ないけど・・・。後、ローガたちの性別も知らんな・・・まあいいか。今更ローガがメスだとか言われても困る。

「よくやったぞ、ローガよ」

そう言ってお座りしているローガに跪いて首を抱きしめてモフモフしてやる。

「おおっ! ボス! 感無量でございます!」

超尻尾を振って喜ぶローガ。

「むう! ボスのモフりがいつもより長めだな!」
「やはりそれだけ危険な相手であったという事か」
「まあ、我らの敵ではなかったが」
「あんまり余裕を見せるとモフり時間が減るでやんすよ」

余裕を見せる四天王三人衆にガルボがツッコむ。

「おお、それはイカン!」
「やはり、数も多かったし討伐は大変だったという事で」
「うむうむ、大型の魔物もいたことだしな」

そう言って氷牙、雷牙、風牙が如何にも大変でしたという表情でモフられるのを待っている。

「まあ、ボスのモフりは最高のご褒美でやんすからね」

ガルボも大人しくモフられるのを待つ。活躍しましたよーという顔で。

俺は、六十一頭全員をモフり倒してやった。三十分以上かかった。



「ただいまー」

「ふおおっ! ご主人しゃま―――――!!!」


ズトンッ!


コルーナ辺境伯家の建物に入って真っ先に真正面から俺様のストマックに頭突き突貫してきたのはリーナであった。

「リーナはいつでも元気だな」

「ご主人しゃまに会えるといつでも元気いっぱいでしゅ!」

ちょうど俺のお腹辺りに顔を押し付けてグリグリするリーナ。
甘えんぼさんである。

「おお、ヤーベおかえり。無事巨人は倒して回収出来たぞ」
「ヤーベ様のおっしゃる通りでしたわ・・・」
「ボクは一瞬死を覚悟したけどね・・・」

一応笑顔のイリーナと、ちょっと目の焦点が定まりの悪いルシーナとサリーナ。
最初に出てきたワンパンマンが身長一メートルくらいだったろうから、その時に一瞬絶望感が襲ったのかもしれないな。お詫びのデートプランを考えねばなるまい。

「旦那様。我々も見事に雷竜サンダードラゴンとワイバーンの群れを仕留める事に成功いたしましたわ」

満面の笑みを浮かべて討伐報告をするフィレオンティーナ。

「うむ、少々チビリそうだっただが、作戦通り戦えただよ。だでども、おでの一撃で倒したわけじゃないだで、<竜殺し>ドラゴンスレイヤーは名乗れないだでな」

「あら、わたくしたちはコンビで雷竜サンダードラゴンとワイバーンの群れを討伐しましたのよ? ゲルドン殿も胸を張って<竜殺し>ドラゴンスレイヤーを名乗るべきですわ。ゲルドン殿が前衛を努めて下さったからわたくしも極大魔術を準備する事が出来たわけですしね」

うまく戦ったのだが、手柄は誇れないと言うゲルドンにフィレオンティーナが二人で討伐したのだと諭す。

「そうだか、おでも<竜殺し>ドラゴンスレイヤーを名乗っていいだか。ラノベファンとしては夢のような称号だでな」

ゲルドンの言う事はもっともだな。竜を倒した者だけが名乗ることが出来る称号、<竜殺し>ドラゴンスレイヤー。一番夢のある称号だよな。あ、俺も三頭黄金竜スリーヘッドゴールデンドラゴン倒してるから、<竜殺し>ドラゴンスレイヤーを名乗ってもいいよな。

「そうだな、俺たちは<竜殺し>ドラゴンスレイヤーだ」

俺とゲルドンはガッチリ握手を交わす。

「ちょっと照れるだでな」

ゲルドンがデレた。嬉しくはないが。

「旦那様! わたくしもがんばったのですわ!」

フィレオンティーナが両手を広げて頑張りをアピールしてくる。これはハグをしろって事かな?

「ああ、見事だった、フィレオンティーナ」

そう言って真正面からぎゅっと抱きしめてやる。

「ああ・・・幸せですわ」

フィレオンティーナが頬を赤く染めて呟く。

「ああ、ズルいぞフィレオンティーナ! 私も頑張ったのだ!」
「わ、私も頑張りました!」
「え~っと、ボクも頑張ったってことでいいかなぁ」

左右後ろからイリーナ、ルシーナ、サリーナのトリオがくっ付いてくる。こらこら。

「ふみゅう・・・リーナは留守番だったでしゅ。頑張ってないでしゅ・・・」

リーナが落ち込んだので励ましてやる。

「リーナ。お前は俺が出かけている間留守番を頑張ったじゃないか。ご褒美をあげないとな」

「ふおおっ! ご主人しゃま―――――!!」

みんなに纏わりつかれて身動きが取れなくなったが、まあ喜んでくれるのだ、無下には出来ない。

「さあさあ、皆さま、夕食の準備が整いましたよ。感動の再会はそれくらいにして食事にいたしましょう」

執事のグリードさんが夕飯の準備が出来たことを伝えてくれる。

「じゃあ、食後にみんなに俺にやって欲しい事とか要望を聞こうか。三十分くらいずつ個別に対応するよ。みんな頑張ってくれたからね」

「ホ、ホント!?」
「ステキ!」
「え~、ボク何頼もうかなぁ」
「ふふふ・・・わたくしもう決まっておりますわ」
「ふおおっ! 夢の時間でしゅ!」
「お、おでもいいだか・・・?」

ふふふ、奥さんズが狂喜乱舞しておるわ! ここはダンナのカイショーというものをだな・・・ってゲルドン、お前は俺との時間とかいらんだろ!

「ゲルドンは今度良い酒とツマミ手に入れて来るから、夜ゆっくり飲むとしようか」

「おお、それは良いだな。楽しみにしてるだよ」

よしゲルドン終了。

「さあ、まずは夕飯だよ」

そう言ってみんなを食堂に押して行った
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