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1章
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「実は、先日派遣した篠原が、急に退職することになりまして……」
家庭教師派遣会社の営業担当をしている藤木美奈穂が、媚びるような笑みを浮かべながら、言いにくそうに切り出した。
母は聞こえよがしに、大きな溜息を吐いた。
「またなの? あの方、翔くんの部屋に入ってから10分もしないうちに、飛び出して行ってしまったんですけど? 『バケモノ』だとか、よく分からない雄叫びを上げながら。どういう教育をなさってるのかしら?」
「申し訳ありません」
藤木美奈穂は、深々と頭を下げた。
「あの方で、35人目ですわよね? みなさん、初日で辞めてしまわれるのは、どういうことなんですの?」
母が、とげとげしい声で問い質した。
――母さんだって、気づいてるくせに。僕の「イーヴィルアイ」のこと……。
二階の柱の陰に身を潜めながら、一階のリビングでの会話に聞き耳を立てていた翔は、眉根を寄せた。
――母さんも母さんだけど、藤木さんって人もいい根性してるよな。
今まで派遣された家庭教師は全員、初回授業の途中で必ず逃亡していた。それなのに、藤木美奈穂は愛想笑いを顔に貼りつけながら、毎週新しい家庭教師を連れてくる。もっとも、派遣できる人員が底をついたのか、最近は、雇いたての学生バイトといった風情の家庭教師が派遣されているが。
――今回のは、どうかな?
翔は意地の悪い興味を抱きながら、藤木美奈穂の隣に座る、彼女と同年代の男に視線を向けた。男は美奈穂と母とのやり取りに、口を挟む気がないらしく、興味なさげに欠伸をかみ殺している。
――何なんだ、このやる気のなさそうな態度は……。
やる気満々の家庭教師も鬱陶しいが、ここまでやる気のなさそうな家庭教師も、どうかと思った。
「……まあ、それは、色々難しいお年頃ですしねぇ……。それに、翔くんは、とても繊細な一面をお持ちですし……。あ、でも、今回の勢田は、大丈夫です」
「あら、そうなの?」
急に母の声が弾んだ。美奈穂が大きく頷いて、言葉を継いだ。
「勢田は、今までの講師とは違って、不登校やイジメを受けるなどの問題児が専門で……、っ……」
美奈穂が急に言葉を切ったのは、隣の男に足を踏みつけられたからだった。二階から眺めている翔には見えたが、母は気づかなかっただろう。
美奈穂は咳ばらいをしてから、続けた。
「……勢田は、心理学や人間行動学にも精通しております。必ず翔くんを、きちんと登校できるようになるまで、導いてみせます」
――導かれても、困るんだけど……。
翔は、源川第三高校になど、通いたくはなかった。
あの高校のことが頭を掠めるたびに、初日の登校中に起きた同級生の転落事故が脳裏に甦った。
「イーヴィルアイ」の発動そのものは、見慣れたものだった。だが、頭部から血を噴き出しながら、ホームに転落した人間を見たのは、初めてだった。
その上、あの転落事故のせいで、源川第三高校の裏サイトでは、毎日のように翔を誹謗中傷する内容が書き込まれていた。彼らは翔を「バケモノ」「殺人鬼」などと呼んでいる。
――前の高校と同じ……。いや、学校のレベルが低いだけに、前の高校の時よりも、ずっと口汚く罵られてるような……。
「あら、勢田先生のご出身の大学……、プレスティジャス・ドルフィン大学? 存じませんわ」
「アメリカの名門大学ですわ」
「そうなんですか? それならいいんですけど……。うちの翔くんの成績を考えると、やはり旧帝大レベルじゃないと……」
母が美奈穂に渡された書類を見ながら、不満げに呟いた。
本人を前に、失礼な物言いだが、美奈穂はその言葉を予想していたようだ。微笑みながら頷いた。
「ご心配は、ごもっともですわ。翔くんが無事、登校できるようになれば、翔くんの成績に見合う、当社の中でもトップクラスの講師に代えさせていただきます」
――おいおい、登校するようになっても、まだ家庭教師を派遣する気なのか?
母は翔に対して、登校できるようになるまで家庭教師に来てもらおうと、言ったはずだ。もっとも、登校できるようになるとは翔自身、全く思っていないのだから、どちらでもいいが。
「……登校……ねぇ」
母が言葉を濁した。
「源川第三高校に転入してから、翔くん、自分の部屋からほとんど出てこなくなってしまったのよ。翔くんが、あんな底辺の高校に通うなんて、元々無理な話だったんですわ。だからといって、元の修和学館に戻ることもできないし……。ご近所でも、噂になってるみたいなの。主人が単身赴任中に、こんなことになってしまって……。本当に困るのよ。まあ、主人がいても、どうせ私に丸投げなんだけどね……」
母が、愚痴を言い始めた。愚痴を漏らし始めると、母の話は長い。美奈穂は、どうでもよさそうに、適当に相槌を打っている。おそらく、ほとんど聞いていないだろう。
愚痴を聞くのに飽きて、翔は部屋に戻ろうとした。だがその直後、三人が立ち上がった。美奈穂は会社に戻り、勢田は翔の部屋に来るつもりのようだ。
翔は慌てて部屋に戻った。その一分ほど後に、母がドアを開き、顔を覗かせた。
「翔くん、具合はどう? あのね、新しい家庭教師の先生がいらっしゃったんだけど、入っていただいていいかしら?」
母は、媚びたような笑みを顔に貼り付け、翔の機嫌を取ろうとするような口調で訊ねた。だが、翔の承諾など得る気はないのは見え透いていた。母の背後に、人影が見えた。
「僕、家庭教師なんて来てもらわなくてもいいよ。ちゃんと自分で勉強してるし」
無駄な抵抗とは分かっているが、主張せずにはいられなかった。
「……でも、やっぱりね、色々相談したり、頼ったりできる相手って、今の翔くんには必要じゃないかしら?」
母は曖昧に微笑みながら、小首を傾げた。
母もまた、翔の「イーヴィルアイ」を恐れていた。母は、翔の怒りの矛先を、自分以外の誰かに向けておきたいのだ。
「頼りになるかは分からないけどさ、とりあえず、部屋に入れてよ。それくらい、いいだろ?」
母の背後から、馴れ馴れしい声が聞こえた。男は困惑する母を押し退け、勝手に部屋に入ってきた。
「君が翔くん? 俺、勢田弘明。よろしく」
勢田は満面の笑みを浮かべながら、翔の肩に手を置いた。
よれたTシャツに、所々ほつれたチノパンをという、みすぼらしい装いをしているうえに、馴れ馴れしい態度のせいか、一見軽薄そうに見える。
だが、切れ長の瞳は、威圧感のある強い光を帯びていた。目が合った瞬間、背筋に悪寒が走った。
「……よろしくお願いします」
翔は、慌てて視線を外し、頭を下げた。
無遠慮な闖入者を快く受け入れる気など更々なかった。だが、一瞬見た剣呑な視線に、完全に呑まれてしまった。
母は紅茶を二人分持ってくると、そそくさと立ち去った。
勢田は断りもせずに、ベッドの隅に腰を下ろした。「茶菓子はなしかよ」と小声で呟きながら、紅茶にレモンとミルク両方を入れて乱暴に掻き混ぜ、ズルズルと下品な音を立てながら一気飲みした。
「君、優秀なんだってね。確かに、利発そうな顔してるもんな」
勢田はにやにやしながら、無遠慮に翔の顔を凝視する。翔は目のやり場に困った。この手の馴れ馴れしい人間は、翔が最も苦手とするタイプだ。
「それほどでも……。えっと、あの……、失礼ですが、大学はどちらですか?」
勢田の出身大学になど興味はないが、一応訊ねてみた。さっき、アメリカの大学だという話は聞いたが、名門大学というのは、はったりだろう。多少はきまり悪そうな顔を見せるだろうという思いもあった。
「俺? 高校中退」
勢田は悪びれる様子もなく、平然と答えた。
――え? さっき母さんに言ってたのと、話が違うじゃないか。
「もしかして、リビングの会話、聞き耳立ててた? 美奈ちゃんが言ってたのは、まあ、ちょっとした冗談だな。名門イルカ大学っていうハワイの観光施設、聞いたことない?」
――聞いたことある……。イルカと泳ぐ観光ツアーがあったような……。何がアメリカの名門大学だ? この人も、藤木美奈穂も、ふざけてるのか?
翔の怒りは堪えきれず、叫んだ。
「いい加減にしてください。僕の成績、聞いてないんですか? それとも、源川第三高校の生徒だと思って馬鹿にしてるんですか?」
翔が言い終わらないうちに、勢田が失笑した。ひどく侮辱されたような気がして、不快だった。
「君、面白いよ」
ようやく笑いを収めた勢田は、翔を見据えながら、口の端を吊り上げた。
「何がそんなに面白いんですか?」
「分かってるんだろ? 自分に家庭教師を付けられてる理由くらい」
どうやら勢田は、事情をしっかりと把握した上で、引き受けたようだ。
今までにも数人、そんな酔狂な家庭教師がいた。訳知り顔で説教を始める人もいれば、友人気取りで馴れ馴れしく接してきた人もいたが、彼らもまた、翔の「イーヴィルアイ」を目の当たりにすると、一目散に逃げ出した。
妙な威圧感を持つこの男もまた、彼らと同じように醜態を晒すのかと思うと、その姿を想像するだけで笑いが込み上げてきた。
「君の噂は聞いてるよ」
「……どんな噂ですか?」
勢田はすかさず手を伸ばし、翔のノートパソコンを開いた。
「あっ、勝手に触らないでください!」
慌てて止めたが、すでに遅かった。勢田はすでにパソコンの画面に見入っていた。
「ここに書き込まれているのと、同じようなこと。学校でも似たようなことしゃべって騒いでるのに、家でも同じようなネタの書き込みをしてるんだねぇ。そのあたりは、修和学館のお坊ちゃん方も、源川第三のガキ共も、似たようなものなのだな」
「こんなの、どうでもいいんです!」
翔は強引にノートパコンを閉じた。
「どうでもいいのに、いちいちチェックしてるんだ? 大変だねぇ、肥大化したプライドを維持するのも」
嘲りを含んだ声が耳朶に触れた。
――肥大化したプライド……。
刹那、激情が湧き上がり、目の前が真っ赤に染まった。
互いの視線が交錯した瞬間、翔の左目に痺れるような痛みが走る。例のシグナルだった。
直感的に何かを感じ取ったように、勢田が眉根を上げた。
次の瞬間、甲高い音が響いた。
机の上に置かれていたティーカップが、弾けるように砕け散っていた。冷めた紅茶が机の上にじわじわと広がり、床に零れ落ちた。
左目の痛みとともに、付近の物体が動き、翔が憎悪を抱いた人間に何らかのダメージを与える。これが、翔の「イーヴィルアイ」の法則だ。
勢田にどのようなダメージを与えたのか確かめたくて、翔は勢田に目を向けた。だが、どういうわけか、勢田は被害も受けた様子がない。
「へえ、今のが、例の『イーヴィルアイ』?」
勢田が翔の腕のほうに、ゆっくりと右手を伸ばした。
翔の自分の腕に目を遣った。陶器の破片がカーディガンの上から突き刺さっていた。翔は愕然としながら、自分の腕に見入った。
――どうして?
翔は痛みを感じる余裕がないほど、混乱していた。
「イーヴィルアイ」の発動により、翔自身の身体が傷つけられたことは、今までなかった。それなのに、陶器の破片はまるで勢田を避けるように、翔に向かって弾け飛んだ。
勢田が、翔の腕に刺さった破片を抜き取った。僅かに血のついた破片を掌で転がしながら、勢田がにやりと笑った。
「俺を狙ったんじゃなかったのか?」
薄笑いを浮かべたまま、勢田は破片を握りしめた。
「あっ……」
翔は思わず声を上げた。
勢田の指の間から、血が滴り落ちた。やがて幾筋もの血が溢れ落ちていく。勢田は自分の血を、眉ひとつ動かさずに見据えていた。
声が出なかった。
出血量からして、ちょっとした切り傷とは思えなかった。すぐに掌を開かせ、怪我の状況を確認して、場合によっては救急病院に連れて行かなければいけないかもしれない。
頭の中では、そう考えたが、言葉にできなかった。
そんな月並みな言葉を掛けるには、目の前の男の纏う雰囲気は、不気味すぎた。
勢田が突然、哄笑した。この状況にそぐわない頓狂な笑い声が、部屋に木霊した。
「そんな深刻な顔しちゃって、どうしたんだよ? まさか、自分が怪我したことにショックを受けてる? カーディガンの上からだったら、かすり傷程度だろ。でも、実験用マウスみたいに無菌状態で育ったお坊ちゃんには、ショックかも。よしよし、かわいそうに」
勢田は幼児をあやすように、翔の頭をぐりぐりと撫でた。
「でも、どっちかというと、かわいそうなのは、ティーカップのほうだよな。こんなに粉々に砕かれちゃって。ねえ、バケモノ君」
――バケモノ……。
聞くたびに、激しい憤りを覚える言葉だった。そんな言葉をさらりと口にする勢田に、翔は腸が煮えくり返った。翔は勢田の言葉を遮るように叫んだ。
「僕が何をしたって言うんですか?」
「何もしてないの? じゃあ、どうしてティーカップは割れたのかなぁ」
勢田は明らかに、意図的に翔を挑発している。そんなわざとらしい挑発に、乗る必要などなかった。
「知りませんよ、そんなこと」
「どうして君に暴行を加えていた子の頭に、ジュースの缶が直撃したのかな? 缶を頭にぶつけたら危ないってことくらい、分かってるよね? ついでに、他人が買ったジュースを、勝手に凶器に使うのは良くないなぁ」
翔は息を呑んだ。例の事故があった時、勢田は一部始終を見ていたのだ。
――あの視線……。
突き刺すような、鋭い視線を思い出した。
視線を感じて振り向くと、女子生徒と目が合った。
だが、あの鋭い刃のような視線は、平凡な女子生徒には似つかわしくなかった。
――この人の視線だったとすれば、合点がいくけど……。でも、あの場にいたなら、どうして助けてくれなかったんだ? 止めてくれていたら、あの事故は起こらなかったんだよ!
必死で抑えていた激情が、一気に爆発した。
「あの場にいたなら、助けてくれてもよさそうなものじゃないですか。目の前で集団リンチがあっても、見て見ぬふりをする人に、僕を非難する資格なんか、あるんですか?」
「君、大したもんだよ。すごい責任転嫁するねぇ。将来、大物になれるよ」
揶揄するように、にやにやと笑う勢田の表情を前に、ますます頭に血が昇った。
「僕が何をしたって言うんですか? 僕がジュースの缶をぶつけたって、証拠はあるんですか? あるなら、見せてくださいよ」
翔は口早に捲くし立てた。やり込めたつもりが、勢田は全く動じる様子を見せない。その悠然とした態度を前に、翔は焦りと息苦しいような圧迫感を覚えた。
「どうしてそんなに突っかかってくるんだろうねぇ。疚しいことでもあるみたいに見えるのは、気のせいかなぁ」
勢田の視線に耐え切れず、翔は視線を落とした。
勢田の右手が、視界に入った。勢田の右手の指の間から、血が滴り落ちていた。
――え? まだ破片を握ったままなのか? まだ出血してる……。やっぱり、早く手当てした方がいいんじゃ……。
「気になる?」
勢田は、面白そうに翔の顔を覗きこんだ。翔は慌てて目を背けた。
「心配してくれるんだ? 優しいんだね」
どこか馬鹿にしたような口調だった。何を言われても、癇に障る相手だ。
翔が顔を背けると、勢田は強引に翔の顎を掴んで顔を上げさせた。顎の骨に痛みが走った。目を逸らそうにも、勢田のガラス玉のような無機質な瞳が、それを許さない。表情がない時の勢田の相貌は、妙に威圧感が漂っている。翔は顔を背けることもできず、視線を逸らすこともできなかった。
「……結構、好みかも」
勢田がぽつりと呟いた。
思いがけない科白に、翔は目を瞠った。
「そういや俺、自分の趣味について、まだ話してなかったよな」
――あんたの趣味なんて、興味ないけど……。
翔は不快な思いを隠そうともせず、眉根を寄せた。そんな翔を前に、勢田の頬に浮かぶ笑みが濃くなった。
「俺さ、君みたいなお坊ちゃんが、大嫌いなんだ。自分の力で勝ち取ったわけでもないのに、当たり前みたいな顔して、人を人とも思わないような態度を取る上流階級の御子息。そういう奴の、鼻より高いプライドをへし折って、地面に這いつくばらせるのって、最高に楽しいよ。プライドをこっぱみじんにされたお坊ちゃんって、面白いくらい卑屈になって、言いなりになるんだ。涎垂らして、腰振りながら縋りついてくる姿、何度見ても飽きないな」
仄暗い情念を宿した双眸に、翔の全身が粟立った。
――こいつ……、何をする気なんだ?
体が小刻みに震えだした。抑えようとすればするほど、なぜか震えが激しくなってしまう。
竦み上がる翔の姿に満悦したのか、勢田の口の端が、きゅっと吊り上がった。悪魔が存在するとすれば、きっとこんな風な笑みを浮かべているに違いない。
勢田はそっと唇を翔の耳元に寄せ、囁いた。
「自分だけが特殊な力を持っている、って思ってるだろ? 同じ力を別の人間も持っている可能性だって、あるのにさ」
勢田は翔の手を取ると、自分が右手に握っていた物体を翔の手に握らせた。
「じゃあ、次は二日後だね」
何事もなかったように無邪気な笑みを浮かべて、勢田は部屋を後にした。階段を下りる音が遠ざかり、やがて音がしなくなった。
勢田が家を出たことを確認してから、翔は恐る恐る、掌を開いた。勢田の血で染まった物体は、カップの破片ではなかった。
――何だ、これ……。半球型の物体……。
血をふき取った途端、翔は悲鳴とともに、その物体を投げ出した。
人間の目玉そっくりの物体だった。瞳孔や虹彩のみならず、毛細血管までリアルに再現されている。生理的な嫌悪感に、総毛立った。
――カップの破片が、どうしてこんなものに変わるんだよ?
勢田が帰り際に囁いた言葉を思い出し、背筋が寒くなった。
――あいつも、特殊な力を持ってるのか?
床に転げ落ちた目玉そっくりの半球型の物体から逃げるように、目をぎゅっと閉じると、翔は両腕で自分の身体を強く抱きしめた。
家庭教師派遣会社の営業担当をしている藤木美奈穂が、媚びるような笑みを浮かべながら、言いにくそうに切り出した。
母は聞こえよがしに、大きな溜息を吐いた。
「またなの? あの方、翔くんの部屋に入ってから10分もしないうちに、飛び出して行ってしまったんですけど? 『バケモノ』だとか、よく分からない雄叫びを上げながら。どういう教育をなさってるのかしら?」
「申し訳ありません」
藤木美奈穂は、深々と頭を下げた。
「あの方で、35人目ですわよね? みなさん、初日で辞めてしまわれるのは、どういうことなんですの?」
母が、とげとげしい声で問い質した。
――母さんだって、気づいてるくせに。僕の「イーヴィルアイ」のこと……。
二階の柱の陰に身を潜めながら、一階のリビングでの会話に聞き耳を立てていた翔は、眉根を寄せた。
――母さんも母さんだけど、藤木さんって人もいい根性してるよな。
今まで派遣された家庭教師は全員、初回授業の途中で必ず逃亡していた。それなのに、藤木美奈穂は愛想笑いを顔に貼りつけながら、毎週新しい家庭教師を連れてくる。もっとも、派遣できる人員が底をついたのか、最近は、雇いたての学生バイトといった風情の家庭教師が派遣されているが。
――今回のは、どうかな?
翔は意地の悪い興味を抱きながら、藤木美奈穂の隣に座る、彼女と同年代の男に視線を向けた。男は美奈穂と母とのやり取りに、口を挟む気がないらしく、興味なさげに欠伸をかみ殺している。
――何なんだ、このやる気のなさそうな態度は……。
やる気満々の家庭教師も鬱陶しいが、ここまでやる気のなさそうな家庭教師も、どうかと思った。
「……まあ、それは、色々難しいお年頃ですしねぇ……。それに、翔くんは、とても繊細な一面をお持ちですし……。あ、でも、今回の勢田は、大丈夫です」
「あら、そうなの?」
急に母の声が弾んだ。美奈穂が大きく頷いて、言葉を継いだ。
「勢田は、今までの講師とは違って、不登校やイジメを受けるなどの問題児が専門で……、っ……」
美奈穂が急に言葉を切ったのは、隣の男に足を踏みつけられたからだった。二階から眺めている翔には見えたが、母は気づかなかっただろう。
美奈穂は咳ばらいをしてから、続けた。
「……勢田は、心理学や人間行動学にも精通しております。必ず翔くんを、きちんと登校できるようになるまで、導いてみせます」
――導かれても、困るんだけど……。
翔は、源川第三高校になど、通いたくはなかった。
あの高校のことが頭を掠めるたびに、初日の登校中に起きた同級生の転落事故が脳裏に甦った。
「イーヴィルアイ」の発動そのものは、見慣れたものだった。だが、頭部から血を噴き出しながら、ホームに転落した人間を見たのは、初めてだった。
その上、あの転落事故のせいで、源川第三高校の裏サイトでは、毎日のように翔を誹謗中傷する内容が書き込まれていた。彼らは翔を「バケモノ」「殺人鬼」などと呼んでいる。
――前の高校と同じ……。いや、学校のレベルが低いだけに、前の高校の時よりも、ずっと口汚く罵られてるような……。
「あら、勢田先生のご出身の大学……、プレスティジャス・ドルフィン大学? 存じませんわ」
「アメリカの名門大学ですわ」
「そうなんですか? それならいいんですけど……。うちの翔くんの成績を考えると、やはり旧帝大レベルじゃないと……」
母が美奈穂に渡された書類を見ながら、不満げに呟いた。
本人を前に、失礼な物言いだが、美奈穂はその言葉を予想していたようだ。微笑みながら頷いた。
「ご心配は、ごもっともですわ。翔くんが無事、登校できるようになれば、翔くんの成績に見合う、当社の中でもトップクラスの講師に代えさせていただきます」
――おいおい、登校するようになっても、まだ家庭教師を派遣する気なのか?
母は翔に対して、登校できるようになるまで家庭教師に来てもらおうと、言ったはずだ。もっとも、登校できるようになるとは翔自身、全く思っていないのだから、どちらでもいいが。
「……登校……ねぇ」
母が言葉を濁した。
「源川第三高校に転入してから、翔くん、自分の部屋からほとんど出てこなくなってしまったのよ。翔くんが、あんな底辺の高校に通うなんて、元々無理な話だったんですわ。だからといって、元の修和学館に戻ることもできないし……。ご近所でも、噂になってるみたいなの。主人が単身赴任中に、こんなことになってしまって……。本当に困るのよ。まあ、主人がいても、どうせ私に丸投げなんだけどね……」
母が、愚痴を言い始めた。愚痴を漏らし始めると、母の話は長い。美奈穂は、どうでもよさそうに、適当に相槌を打っている。おそらく、ほとんど聞いていないだろう。
愚痴を聞くのに飽きて、翔は部屋に戻ろうとした。だがその直後、三人が立ち上がった。美奈穂は会社に戻り、勢田は翔の部屋に来るつもりのようだ。
翔は慌てて部屋に戻った。その一分ほど後に、母がドアを開き、顔を覗かせた。
「翔くん、具合はどう? あのね、新しい家庭教師の先生がいらっしゃったんだけど、入っていただいていいかしら?」
母は、媚びたような笑みを顔に貼り付け、翔の機嫌を取ろうとするような口調で訊ねた。だが、翔の承諾など得る気はないのは見え透いていた。母の背後に、人影が見えた。
「僕、家庭教師なんて来てもらわなくてもいいよ。ちゃんと自分で勉強してるし」
無駄な抵抗とは分かっているが、主張せずにはいられなかった。
「……でも、やっぱりね、色々相談したり、頼ったりできる相手って、今の翔くんには必要じゃないかしら?」
母は曖昧に微笑みながら、小首を傾げた。
母もまた、翔の「イーヴィルアイ」を恐れていた。母は、翔の怒りの矛先を、自分以外の誰かに向けておきたいのだ。
「頼りになるかは分からないけどさ、とりあえず、部屋に入れてよ。それくらい、いいだろ?」
母の背後から、馴れ馴れしい声が聞こえた。男は困惑する母を押し退け、勝手に部屋に入ってきた。
「君が翔くん? 俺、勢田弘明。よろしく」
勢田は満面の笑みを浮かべながら、翔の肩に手を置いた。
よれたTシャツに、所々ほつれたチノパンをという、みすぼらしい装いをしているうえに、馴れ馴れしい態度のせいか、一見軽薄そうに見える。
だが、切れ長の瞳は、威圧感のある強い光を帯びていた。目が合った瞬間、背筋に悪寒が走った。
「……よろしくお願いします」
翔は、慌てて視線を外し、頭を下げた。
無遠慮な闖入者を快く受け入れる気など更々なかった。だが、一瞬見た剣呑な視線に、完全に呑まれてしまった。
母は紅茶を二人分持ってくると、そそくさと立ち去った。
勢田は断りもせずに、ベッドの隅に腰を下ろした。「茶菓子はなしかよ」と小声で呟きながら、紅茶にレモンとミルク両方を入れて乱暴に掻き混ぜ、ズルズルと下品な音を立てながら一気飲みした。
「君、優秀なんだってね。確かに、利発そうな顔してるもんな」
勢田はにやにやしながら、無遠慮に翔の顔を凝視する。翔は目のやり場に困った。この手の馴れ馴れしい人間は、翔が最も苦手とするタイプだ。
「それほどでも……。えっと、あの……、失礼ですが、大学はどちらですか?」
勢田の出身大学になど興味はないが、一応訊ねてみた。さっき、アメリカの大学だという話は聞いたが、名門大学というのは、はったりだろう。多少はきまり悪そうな顔を見せるだろうという思いもあった。
「俺? 高校中退」
勢田は悪びれる様子もなく、平然と答えた。
――え? さっき母さんに言ってたのと、話が違うじゃないか。
「もしかして、リビングの会話、聞き耳立ててた? 美奈ちゃんが言ってたのは、まあ、ちょっとした冗談だな。名門イルカ大学っていうハワイの観光施設、聞いたことない?」
――聞いたことある……。イルカと泳ぐ観光ツアーがあったような……。何がアメリカの名門大学だ? この人も、藤木美奈穂も、ふざけてるのか?
翔の怒りは堪えきれず、叫んだ。
「いい加減にしてください。僕の成績、聞いてないんですか? それとも、源川第三高校の生徒だと思って馬鹿にしてるんですか?」
翔が言い終わらないうちに、勢田が失笑した。ひどく侮辱されたような気がして、不快だった。
「君、面白いよ」
ようやく笑いを収めた勢田は、翔を見据えながら、口の端を吊り上げた。
「何がそんなに面白いんですか?」
「分かってるんだろ? 自分に家庭教師を付けられてる理由くらい」
どうやら勢田は、事情をしっかりと把握した上で、引き受けたようだ。
今までにも数人、そんな酔狂な家庭教師がいた。訳知り顔で説教を始める人もいれば、友人気取りで馴れ馴れしく接してきた人もいたが、彼らもまた、翔の「イーヴィルアイ」を目の当たりにすると、一目散に逃げ出した。
妙な威圧感を持つこの男もまた、彼らと同じように醜態を晒すのかと思うと、その姿を想像するだけで笑いが込み上げてきた。
「君の噂は聞いてるよ」
「……どんな噂ですか?」
勢田はすかさず手を伸ばし、翔のノートパソコンを開いた。
「あっ、勝手に触らないでください!」
慌てて止めたが、すでに遅かった。勢田はすでにパソコンの画面に見入っていた。
「ここに書き込まれているのと、同じようなこと。学校でも似たようなことしゃべって騒いでるのに、家でも同じようなネタの書き込みをしてるんだねぇ。そのあたりは、修和学館のお坊ちゃん方も、源川第三のガキ共も、似たようなものなのだな」
「こんなの、どうでもいいんです!」
翔は強引にノートパコンを閉じた。
「どうでもいいのに、いちいちチェックしてるんだ? 大変だねぇ、肥大化したプライドを維持するのも」
嘲りを含んだ声が耳朶に触れた。
――肥大化したプライド……。
刹那、激情が湧き上がり、目の前が真っ赤に染まった。
互いの視線が交錯した瞬間、翔の左目に痺れるような痛みが走る。例のシグナルだった。
直感的に何かを感じ取ったように、勢田が眉根を上げた。
次の瞬間、甲高い音が響いた。
机の上に置かれていたティーカップが、弾けるように砕け散っていた。冷めた紅茶が机の上にじわじわと広がり、床に零れ落ちた。
左目の痛みとともに、付近の物体が動き、翔が憎悪を抱いた人間に何らかのダメージを与える。これが、翔の「イーヴィルアイ」の法則だ。
勢田にどのようなダメージを与えたのか確かめたくて、翔は勢田に目を向けた。だが、どういうわけか、勢田は被害も受けた様子がない。
「へえ、今のが、例の『イーヴィルアイ』?」
勢田が翔の腕のほうに、ゆっくりと右手を伸ばした。
翔の自分の腕に目を遣った。陶器の破片がカーディガンの上から突き刺さっていた。翔は愕然としながら、自分の腕に見入った。
――どうして?
翔は痛みを感じる余裕がないほど、混乱していた。
「イーヴィルアイ」の発動により、翔自身の身体が傷つけられたことは、今までなかった。それなのに、陶器の破片はまるで勢田を避けるように、翔に向かって弾け飛んだ。
勢田が、翔の腕に刺さった破片を抜き取った。僅かに血のついた破片を掌で転がしながら、勢田がにやりと笑った。
「俺を狙ったんじゃなかったのか?」
薄笑いを浮かべたまま、勢田は破片を握りしめた。
「あっ……」
翔は思わず声を上げた。
勢田の指の間から、血が滴り落ちた。やがて幾筋もの血が溢れ落ちていく。勢田は自分の血を、眉ひとつ動かさずに見据えていた。
声が出なかった。
出血量からして、ちょっとした切り傷とは思えなかった。すぐに掌を開かせ、怪我の状況を確認して、場合によっては救急病院に連れて行かなければいけないかもしれない。
頭の中では、そう考えたが、言葉にできなかった。
そんな月並みな言葉を掛けるには、目の前の男の纏う雰囲気は、不気味すぎた。
勢田が突然、哄笑した。この状況にそぐわない頓狂な笑い声が、部屋に木霊した。
「そんな深刻な顔しちゃって、どうしたんだよ? まさか、自分が怪我したことにショックを受けてる? カーディガンの上からだったら、かすり傷程度だろ。でも、実験用マウスみたいに無菌状態で育ったお坊ちゃんには、ショックかも。よしよし、かわいそうに」
勢田は幼児をあやすように、翔の頭をぐりぐりと撫でた。
「でも、どっちかというと、かわいそうなのは、ティーカップのほうだよな。こんなに粉々に砕かれちゃって。ねえ、バケモノ君」
――バケモノ……。
聞くたびに、激しい憤りを覚える言葉だった。そんな言葉をさらりと口にする勢田に、翔は腸が煮えくり返った。翔は勢田の言葉を遮るように叫んだ。
「僕が何をしたって言うんですか?」
「何もしてないの? じゃあ、どうしてティーカップは割れたのかなぁ」
勢田は明らかに、意図的に翔を挑発している。そんなわざとらしい挑発に、乗る必要などなかった。
「知りませんよ、そんなこと」
「どうして君に暴行を加えていた子の頭に、ジュースの缶が直撃したのかな? 缶を頭にぶつけたら危ないってことくらい、分かってるよね? ついでに、他人が買ったジュースを、勝手に凶器に使うのは良くないなぁ」
翔は息を呑んだ。例の事故があった時、勢田は一部始終を見ていたのだ。
――あの視線……。
突き刺すような、鋭い視線を思い出した。
視線を感じて振り向くと、女子生徒と目が合った。
だが、あの鋭い刃のような視線は、平凡な女子生徒には似つかわしくなかった。
――この人の視線だったとすれば、合点がいくけど……。でも、あの場にいたなら、どうして助けてくれなかったんだ? 止めてくれていたら、あの事故は起こらなかったんだよ!
必死で抑えていた激情が、一気に爆発した。
「あの場にいたなら、助けてくれてもよさそうなものじゃないですか。目の前で集団リンチがあっても、見て見ぬふりをする人に、僕を非難する資格なんか、あるんですか?」
「君、大したもんだよ。すごい責任転嫁するねぇ。将来、大物になれるよ」
揶揄するように、にやにやと笑う勢田の表情を前に、ますます頭に血が昇った。
「僕が何をしたって言うんですか? 僕がジュースの缶をぶつけたって、証拠はあるんですか? あるなら、見せてくださいよ」
翔は口早に捲くし立てた。やり込めたつもりが、勢田は全く動じる様子を見せない。その悠然とした態度を前に、翔は焦りと息苦しいような圧迫感を覚えた。
「どうしてそんなに突っかかってくるんだろうねぇ。疚しいことでもあるみたいに見えるのは、気のせいかなぁ」
勢田の視線に耐え切れず、翔は視線を落とした。
勢田の右手が、視界に入った。勢田の右手の指の間から、血が滴り落ちていた。
――え? まだ破片を握ったままなのか? まだ出血してる……。やっぱり、早く手当てした方がいいんじゃ……。
「気になる?」
勢田は、面白そうに翔の顔を覗きこんだ。翔は慌てて目を背けた。
「心配してくれるんだ? 優しいんだね」
どこか馬鹿にしたような口調だった。何を言われても、癇に障る相手だ。
翔が顔を背けると、勢田は強引に翔の顎を掴んで顔を上げさせた。顎の骨に痛みが走った。目を逸らそうにも、勢田のガラス玉のような無機質な瞳が、それを許さない。表情がない時の勢田の相貌は、妙に威圧感が漂っている。翔は顔を背けることもできず、視線を逸らすこともできなかった。
「……結構、好みかも」
勢田がぽつりと呟いた。
思いがけない科白に、翔は目を瞠った。
「そういや俺、自分の趣味について、まだ話してなかったよな」
――あんたの趣味なんて、興味ないけど……。
翔は不快な思いを隠そうともせず、眉根を寄せた。そんな翔を前に、勢田の頬に浮かぶ笑みが濃くなった。
「俺さ、君みたいなお坊ちゃんが、大嫌いなんだ。自分の力で勝ち取ったわけでもないのに、当たり前みたいな顔して、人を人とも思わないような態度を取る上流階級の御子息。そういう奴の、鼻より高いプライドをへし折って、地面に這いつくばらせるのって、最高に楽しいよ。プライドをこっぱみじんにされたお坊ちゃんって、面白いくらい卑屈になって、言いなりになるんだ。涎垂らして、腰振りながら縋りついてくる姿、何度見ても飽きないな」
仄暗い情念を宿した双眸に、翔の全身が粟立った。
――こいつ……、何をする気なんだ?
体が小刻みに震えだした。抑えようとすればするほど、なぜか震えが激しくなってしまう。
竦み上がる翔の姿に満悦したのか、勢田の口の端が、きゅっと吊り上がった。悪魔が存在するとすれば、きっとこんな風な笑みを浮かべているに違いない。
勢田はそっと唇を翔の耳元に寄せ、囁いた。
「自分だけが特殊な力を持っている、って思ってるだろ? 同じ力を別の人間も持っている可能性だって、あるのにさ」
勢田は翔の手を取ると、自分が右手に握っていた物体を翔の手に握らせた。
「じゃあ、次は二日後だね」
何事もなかったように無邪気な笑みを浮かべて、勢田は部屋を後にした。階段を下りる音が遠ざかり、やがて音がしなくなった。
勢田が家を出たことを確認してから、翔は恐る恐る、掌を開いた。勢田の血で染まった物体は、カップの破片ではなかった。
――何だ、これ……。半球型の物体……。
血をふき取った途端、翔は悲鳴とともに、その物体を投げ出した。
人間の目玉そっくりの物体だった。瞳孔や虹彩のみならず、毛細血管までリアルに再現されている。生理的な嫌悪感に、総毛立った。
――カップの破片が、どうしてこんなものに変わるんだよ?
勢田が帰り際に囁いた言葉を思い出し、背筋が寒くなった。
――あいつも、特殊な力を持ってるのか?
床に転げ落ちた目玉そっくりの半球型の物体から逃げるように、目をぎゅっと閉じると、翔は両腕で自分の身体を強く抱きしめた。
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