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「さてローズ。頑張って俺をイかせてくれたら、今日は一回で終わってあげる」
 悪魔のような微笑みを浮かべる彼。意地悪だ、意地悪すぎるっ。
「じゃあ、わたしに触らないでっ」
「いいだろう」
 彼が起き上がりあぐらをかく。わたしは彼の前に座り、彼のモノを再び舐め始める。
 彼はわたしの髪をすきながら眺めている。そんな彼に一泡吹かせたくてあちこち舐める。そのうちピクリと反応する部分があって、そこを見つけたわたしは執拗に舐め始める。いつものお返しだ。
 みるみるうちの大きくなっていく彼のモノに若干引きながらついでに空いてる手で口に入らなかった所を扱く。
「っく……」
 彼の小さな呻き声の後、口の中に何かが吐き出された。
 に、苦い……
 ぐいぐい彼が口を動かすもんだから思わず飲み込んでしまった。

「ああ、飲んでくれたの?ありがとう」
 喜びが溢れ出ているような表情にどきりとする。よかった。満足してもらえたようだ。
「じゃあ、約束通り一回ね」
 その言葉にホッとしたのは間違いだったと、後になって後悔するのであった。


 目を覚ますともう昼下がり。
 昨日はあのまま彼が果てるまで何時間も抱かれ続けた。その間何回イったか覚えてない……
 もそもそと体を起こして部屋を見渡すと彼が既に料理を作って待っていて。
 むくれながらも、彼の手料理を食べた。



「え、討伐?」
 あれからしばらくは平和な日々を過ごしていた。そんなある日、ウィルはどうやら王家からの討伐依頼を持ち込まれたらしい。すでに市井では被害が出ているらしく、早急に解決してほしいとのことだった。
「どうしてもダメだって言われたんだ。仕方ないから行くことにしたよ」
 なるほど。それは仕方ないな。
「だから、討伐に行っている間は、ルージュのところに住んでくれ。マクルトにも頼んでるから」
 おおっ。女子会ができるっ。楽しみだ。
「……楽しそうだな。俺の心配は全くしていないのか」
 あ。忘れてた。
「怪我しないでね」
「……心がこもってない」
 あ、拗ねちゃった。ほっぺにキスで許してもらおう。
 ちゅっと頬に口付けると一気に機嫌が治る。面白い。


 その日からわたしは娼館の近くにあるルージェの家へ向かった。
「いらっしゃい、ローズちゃんっ」
 わたしとルージェちゃんはすっかり仲良しだ。キャッキャしながら、討伐に向かう彼を見送った。
 ルージェちゃんの部屋はなんというかピンクだ。可愛らしい装飾品で輝いている。
「部屋かわいいね、ルージェちゃん」
 可愛らしい彼女にとても似合っている。そんな彼女とソファにお茶を飲みながら語り合う。
「ところで、マクルトとはどうなの?」
 ふと思いつき話を振ってみる。この間見た限りでは順調そうだったが、どうも女の子というのはその手の話が好きだ。気になって仕方がない。
「え、どうって……?すごく良くしてくれてるよ。こんなにいらないって言ってるのに次々ピンク色の家具とかが増えてくの」
 ちょっともじもじしながら頬を染めて話すルージェちゃんがすごく可愛くて。思わず抱きしめてしまった。
「で?どうなのっ。好きなの?」
 にやにやしながら問うとルージェちゃんはさらにもじもじする。
「す、好きかはわからない。けどっ、いい人だなって思う」
 ほほう。マクルトも脈なしということだはないみたい。
 あのカフェでわかった。マクルトは間違いなくルージェちゃんが好きだと。世話好きなマクルトでも、いくらなんでもここまでしないからね。
 異様に気にしてるし。
 それはもう隅から隅までマクルトとのエピソードを聞きまくるわたし。実に楽しい。
 なんでこんなに人の恋バナは楽しいのかしら……

「あ、アタシのことはもういいでしょう?ローズちゃんはどうなのよっ」
「うちは普通というか落ち着いたというか。話すようなこともないと思うんだけど……」
 ニヤリと意地悪く笑い、今度はわたしが詰められる番のようだ……
「さあ、アタシが話したんだから、今度はローズちゃんの番!」
 今度は攻守交代して夜更けまで続いたのだった。



 
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