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第三章【パシフィス王国編】

変態魔人

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「..ん?あなた..どうして..!?」
ケイラは村田を見て、驚愕と戸惑いを隠せずに発した。
その突然の出来事に彼女はアップルパイを喉に詰まらせ、むせ返る。

「目覚めていたのか、てか大丈夫か..」
村田の声には、見つけた安心感と同時に新たな心配が現れていた。
彼は迅速に彼女の近くへと進み、優しく背中をさすって助けた。

「なんで..生きてるのよっ!」
ケイラの言葉は混乱と驚きを隠せずに漏れた。
彼女は村田を信じられないような表情で見つめていた。

「いや酷いないきなり....てか俺の事ケラプさんから聞いてないのか?」
村田は少し怒り交じりに反問した。

「もちろん聞いたけど、正直信じられなかったの。一体どうやって..」
ケイラの声は震え、彼女自身も事件の全貌を理解できていない様子だった。

「正直俺もよくわかっていない、あれほどの傷がどうして一晩で治ったのか。というか俺に対して何か他に言う事があるんじゃないか?」
村田は真剣な表情で問い詰める。

「その..申し訳なかったわ..急に斬りかかったり、攫ったりして..」
ケイラは言葉に詰まりながら、心からの謝罪を口にした。
頭を深く下げ、彼女の目には真摯な後悔が浮かんでいた。

「あとありがとう..あれ」
村田が首元に置いたタオルを指さす。
そのジェスチャーは、彼女の行動に対する感謝と、事件が彼らの間に残した複雑な絆を象徴していた。

「あぁ、気にすんな..まぁ今後どうするかはライトを交えてだな」
と村田は穏やかに言い、カフェのテーブルに座る。

「で、色々と君に聞きたいことがある」
と村田は真剣な面持ちでケイラの目を見つめた。

「まず、どうしてライトの事を..いや、ライトの血液を求めた理由だ」
村田の声は静かでありながら、その質問には重みがあった。

「..『ヘマトフィリア』って知ってる?」
ケイラの声は静かで、少し控えめだった。

「あぁ、血液に対して性的興奮を覚えるってやつか」
村田の返答は冷静だったが、内心では驚きを隠せなかった。

「そう。私の場合は魔素濃度の高いものに惹かれる。ライト君のはまさにドストライクだったの。..正直今思い出すだけでも」
とケイラは言いながら、少し顔を赤らめた。

「まぁその話はそこまでにしようか..次なんだが、君は魔人なのか?」
村田は話題を変え、彼女の本質に迫ろうとした。

「いや、正確には魔人ではないわ」
とケイラは少し首をかしげながら答えた。

「あれ..?でも魔人の特徴である目が赤..くないな」
と村田はケイラの瞳を注意深く見つめるが、確かに赤ではなかった。

「今は..ね。さっきの話に戻るけど、私は性的興奮が高まると魔人になるのよ」
とケイラが説明した。

「つまり変態魔人ってことか」
と村田は冗談めかして言ったが、その瞬間ケイラの表情が一変した。

ケイラは村田の脳天にフォークの柄を突き刺す。
村田はあまりの痛みに顔を歪めながらもがき苦しんだ。

「....今変態魔人じゃなくてよかったわね」
とケイラは冷静ながらも怒りを込めて言った。

「うぅ..いや、すみません..」
村田は痛みに顔を歪めながら、その場で謝罪した。

村田は少し首を傾げながらケイラに問いかけた。
「それで、これからどうするんだ?」
彼の声には決断を求める重さが含まれていた。

ケイラは少し眉をひそめながら答えた。
「どうする..って、それはあなた達次第でしょ?」
彼女の反応は防御的だったが、同時に未来への不確かさを隠せずにいた。

村田は深く息を吸い込んでから言葉を続けた。
「と、そうだったな。..色々考えたが、今は何か償ってほしいとか、そんなことは望んでいない」
彼の声は決意を示しており、ケイラに対する理解と許しの気持ちが感じられた。

「えっ....私がいうのもおかしな話だけど、それでいいの?」
彼女の声には、予想外の優しさに対する戸惑いと、一線を越えた後の安堵が混在していた。

「いや、結構正直に話してくれたし、案外悪い奴じゃないなぁ..と」
村田は笑いながら応じ、その言葉は場の緊張を和らげた。
彼の態度は、彼が持つ深い寛容さと人間性を示していた。

ケイラは心からの感謝を表し、
「あなた、人が良すぎるわよ..でも、ありがとう」
と優しく微笑んだ。
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