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第三章【パシフィス王国編】

急襲

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宿のダイニングで夜ご飯を終えた村田とライトは、部屋に戻る準備をしていた。
村田の体調は少し良くなっており、しっかりと食事を取ることができたのは幸いだった。
食後、村田は医師から処方された風邪薬を飲み、
その効果を期待しながら彼らの部屋へと向かった。

部屋の鍵を開けると、冷たい夜風が彼らを迎え入れた。
窓がわずかに開いており、その縁には誰かが腰かけていたのが見えた。
部屋に足を踏み入れると、月明かりで照らされたその人物の顔がはっきりと見えてきた。
それは今日病院で会ったはずの女性看護師だった。

「ライト君、おかえり。迎えに来たよ」
と看護師は穏やかに言った。

「君は、確か今日病院で..何故ここにいる?どうやって入った?」
村田は驚き、疑念を隠せなかった。

「だから今言ったじゃない、彼を迎えに来たの。窓からお邪魔したわ」
と彼女は答えたが、その言葉は村田にとっては納得がいかないものだった。
窓の鍵はしっかりと閉めてあったはずで、しかもここは2階でベランダもない。
どうやって彼女は入って来たのか、そして何故ライトを「迎えに来た」と言うのか。

不穏な空気を感じ取った村田は、ライトを自分の体で隠しながら、警戒心を強めた。
「迎え..?何のことだか知らないが、勝手に連れて行かせることはできない」
村田は強く言い放った。

そして、彼はライトに小声で
「ライト、一階に降りて宿の主人の所へ行くんだ」
と指示した。
この状況を誰かに知らせなければならないと思ったのだ。

「そう....残念ね」
突然、彼女の瞳が黒から赤へと変わり、背中からマチェーテを2本取り出した。
村田の心は確信に変わった。
(赤い瞳、間違いない..こいつは魔人だ)

「早くいけ!!」
村田の叫び声とともに、ライトは1階へと走り出した。
しかし、彼女はその動きを見逃さず、壁を蹴って急接近し村田を袈裟懸けに斬った。
村田は倒れ、大量の血を流し声も出せずに苦しんだ。

ライトは倒れた村田に駆け寄り、懸命に彼を揺さぶった。
「シュン!!」
と彼は絶望的に叫んだ。

「ねぇ!起きてよ!シュン!!」

しかし、彼女は冷酷に笑い、
「じゃあ、行こうかライト君?」
と言い放った。

ライトが魔法を放とうとしたその瞬間、
彼女は一瞬で彼の後ろに回り込み、彼の首を峰で打ち気絶させた。
ライトの意識は闇に飲み込まれ、彼は彼女に連れ去られることとなった。
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