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第二章【カバルの村編】

恩返し

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時間は少し遡り、村田とベルタが家を離れたころ。
ライトは、遠くから聞こえる騒がしい声にゆっくりと目を開けた。
村田がどこにいるのか気になり、彼は声のする方向に足を向ける。
歩いていると、村の入り口で慌ただしく動くガガリアの姿があった。

「おやライト君、どうしたのかな?」
彼の声は心配と温かさを含んでいた。

ライトは少し戸惑いながらも、
「うん、シュンがどこかに行っちゃって..」
と答えた。彼の声には、失われた安心感と村田を探す切迫感が混ざり合っていた。

ガガリアは、ライトの言葉に頷きながら、
「シュン?..あぁ、村田さんのことか。彼なら今怪我人の治療中だよ」
と優しく説明した。

「怪我?何かあったの?」
ライトの声は心配と好奇心で震えていた。

「うちの村人が熊に襲われたみたいでね、これから討伐に向かうところなんだ」
ガガリアの言葉には重みがあり、ライトの表情も真剣なものに変わった。

「ライト君、君は家に戻っていなさい。村田さんもじきに戻ってくるよ」
ガガリアは優しくライトを促したが、ライトの心はまだ落ち着かなかった。

「..ねぇ、それ僕も連れて行ってくれない?」
彼の目には、何かを助けたいという純粋な意志が輝いていた。

しかし、ガガリアは頭を横に振り、
「..君は魔法が使えるみたいだけど、流石に客人を参加させるわけにはいかないね」
と優しく断った。

「なんで僕が魔法使いだってわかったの?」
ライトの目は驚きで広がった。

ライトの純粋な疑問に、ガガリアは父親のような優しさで答えた。
「私も魔法使いだからね、なんとなく。それに君は魔力ダダ洩れだからわかりやすいね」
その言葉に、ライトは驚きと新たな発見の喜びを感じ、少しの間、その場に立ち尽くした。

「さてと、そろそろ私は行かないと。家から出ちゃだめだよ」
とガガリアは言ったが、ライトは一歩を踏み出し、切実な願いを口にした。

「僕、助けられてばっかりで..シュンみたいに僕も何か力になりたい。魔法使いとして、恩返しがしたいんだ」
とライトは力強く言い、その目には決意の光が宿っていた。

「だからお願い。僕も連れて行って」
とライトはガガリアに懇願した。

「ふふ、君は優しい子だね。..わかった、でも私の傍から離れないこと、それだけは守ってくれ」
ガガリアはライトの熱意に打たれ、彼の参加を許可した。
彼の言葉には、ライトへの信頼と、彼を守るという強い決意が込められていた。
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