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第二章 人形の怪
【肆】ー3
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――これはあの時見た夢だ。
そう感じながらも晴明はふわふわと遠い昔の夢を見続けていた。
「『妖狐』では味気ない。そうだな……、ああ、丁度雨が降ってきた。『雨月』はどうだ?」
いつの間にか鈴虫の鳴き声が消え、シトシトと雨音が近付いてきていた。四半刻もすれば大雨になるだろう。
「好きにしろ。だが、返事をするかは俺が決める」
「では返事をしてもらえるまで呼び続けるとしよう。雨も激しくなるだろうから今日は泊まっていくだろう? 雨月?」
最後に名前をつけてまで問う必要はないが、彼の面白くないといった表情が晴明の好奇心を駆り立てた。
「長居するつもりはない。あんたがしつこいから会ってやったまでだ。俺はもう行く」
そう言って立ち上がる雨月に次の約束を取り付ける。
「今度は私が会いに行こう。雨月、その時は君のことをもっと教えてくれ」
そして音もなく消えてしまった彼に聞こえるはずもない言葉を添える。
「……返事をしてくれるまで会いに行くよ、――」
――これはあの時見た夢だ。
そう感じながらも晴明はふわふわと遠い昔の夢を見続けていた。
「『妖狐』では味気ない。そうだな……、ああ、丁度雨が降ってきた。『雨月』はどうだ?」
いつの間にか鈴虫の鳴き声が消え、シトシトと雨音が近付いてきていた。四半刻もすれば大雨になるだろう。
「好きにしろ。だが、返事をするかは俺が決める」
「では返事をしてもらえるまで呼び続けるとしよう。雨も激しくなるだろうから今日は泊まっていくだろう? 雨月?」
最後に名前をつけてまで問う必要はないが、彼の面白くないといった表情が晴明の好奇心を駆り立てた。
「長居するつもりはない。あんたがしつこいから会ってやったまでだ。俺はもう行く」
そう言って立ち上がる雨月に次の約束を取り付ける。
「今度は私が会いに行こう。雨月、その時は君のことをもっと教えてくれ」
そして音もなく消えてしまった彼に聞こえるはずもない言葉を添える。
「……返事をしてくれるまで会いに行くよ、――」
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