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番外編
採用試験を突破したい3
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うん、正攻法が無理なら他の道を探そう。
そう結論付けた僕は、早速行動に出た。
「エドワードが決めてんの? 採用」
「ん? いや、担当者がいるが」
言葉を切ったエドワードはなにやら変な顔をする。
夕食の時間である。
本日もアルコールの力を借りてエドワードを酔わせようと奮闘していた僕であったが、なかなか上手くいかない。どうやらエドワードは酒に強いらしい。この間から事あるごとにガンガン飲ませているが一向に顔色が変わらない。
「この間からどうした? なんでそんなに事務官のことを知りたがるんだ」
「ちょ、ちょっと気になって」
まずい。流石に不審だったか。
慌てて笑って誤魔化せば、エドワードが真顔になる。その後みるみる不機嫌に歪められる。気が短い奴である。
「なんだ。どういうつもりだ」
「どうって、別に」
一体なにが気に障ったというのか。これは早急にご機嫌取りをしないと。
にこにこ笑って「これ美味しいよ」と目の前の皿を示すが、エドワードは不機嫌顔のままだ。
「リア」
「なに?」
へへっと愛想よく笑えばエドワードの眉間に皺がよる。僕の可愛い顔を見てなんでそんな顔になるんだよ。笑えよ。
「今度は事務官の誰かでも引っ掛けるつもりか?」
「……は?」
なに言ってんだ、こいつ。
きょとんとすれば、エドワードが意外そうに片眉を持ち上げた。
「なんだ、違うのか?」
「違うよ。なにその思い込み」
僕に対して失礼だろ。なんで僕が事務官なんて引っ掛けないといけないのだ。もっと金持ってる男じゃないと相手にしないから、僕。いやまぁ試験担当者を狙ってはいるけどね。それはほら、採用試験のためだから。金づる探しではないからセーフだと思う。
採用試験のことは隠して、胸を張って主張すれば「金持ってる男でも引っ掛けるなよ」と怒られてしまった。なぜ。
※※※
しかし僕は優秀である。まぁ、暇人とも言う。
時間を持て余していた僕は地道に情報を集めた。主にエドワードやスコットから。
雑談の中にうまいこと質問を混ぜて情報を引き出した。僕が今まで何人の男を引っ掛けて金を引き出して来たと思っている。僕のコミュニケーション能力を舐めてはいけない。
そうして今度の採用試験の担当者だという男を突き止めた。ターゲットがわかればあとは簡単。
エドワードの目を盗んで接触すればいいだけだ。これは割と簡単に達成できた。なんせ僕は顔がいい。帰宅する担当者に何食わぬ顔で近寄ってちょっと色目を使えばあっさり落ちた。遊び慣れていない男だったようでほいほい僕について来た。
そうして僕を採用するようにと念押しした僕は、もはや合格を勝ち取ったも同然だった。
しかし問題はあった。
「最近なにをコソコソやっているんだ」
唐突にエドワードから投げかけられた言葉に、僕は固まった。え、もしかしてバレてる?
たらりと流れる冷や汗。
頑張って愛想笑いをした僕は「なんのこと?」としらばっくれておく。だがエドワードの目がすっと細められる。
「やたら外出しているだろ。なにをしているんだ?」
「散歩」
なにやら眉を顰めたエドワードは、僕の言葉を信じていないようだった。
「なにを企んでいる」
「企んでない」
きっぱり断言すれば、エドワードが舌打ちした。僕の言葉をまったく信じていないらしい。なんて横暴さだ。
「新しい男でも見つけたのか? おまえのその浮気癖はいつになったら改善するんだ?」
「違うよ。そんなんじゃないって」
あと浮気癖ってなに?
僕たちただの愛人、セフレだろ。なにを彼氏みたいなこと言っているんだ。
だがエドワードのご機嫌取りをしておかないと後々面倒だ。とりあえずにこっと笑って「エドワードが一番だよ?」とごまをすっておく。
しかしこれはあれだな。
採用試験突破しても、毎日仕事に行くとなると大変そうだな。すべてはエドワードが嫉妬深いせいだ。一度、愛人との正しい距離感について教えてやりたい。
そう結論付けた僕は、早速行動に出た。
「エドワードが決めてんの? 採用」
「ん? いや、担当者がいるが」
言葉を切ったエドワードはなにやら変な顔をする。
夕食の時間である。
本日もアルコールの力を借りてエドワードを酔わせようと奮闘していた僕であったが、なかなか上手くいかない。どうやらエドワードは酒に強いらしい。この間から事あるごとにガンガン飲ませているが一向に顔色が変わらない。
「この間からどうした? なんでそんなに事務官のことを知りたがるんだ」
「ちょ、ちょっと気になって」
まずい。流石に不審だったか。
慌てて笑って誤魔化せば、エドワードが真顔になる。その後みるみる不機嫌に歪められる。気が短い奴である。
「なんだ。どういうつもりだ」
「どうって、別に」
一体なにが気に障ったというのか。これは早急にご機嫌取りをしないと。
にこにこ笑って「これ美味しいよ」と目の前の皿を示すが、エドワードは不機嫌顔のままだ。
「リア」
「なに?」
へへっと愛想よく笑えばエドワードの眉間に皺がよる。僕の可愛い顔を見てなんでそんな顔になるんだよ。笑えよ。
「今度は事務官の誰かでも引っ掛けるつもりか?」
「……は?」
なに言ってんだ、こいつ。
きょとんとすれば、エドワードが意外そうに片眉を持ち上げた。
「なんだ、違うのか?」
「違うよ。なにその思い込み」
僕に対して失礼だろ。なんで僕が事務官なんて引っ掛けないといけないのだ。もっと金持ってる男じゃないと相手にしないから、僕。いやまぁ試験担当者を狙ってはいるけどね。それはほら、採用試験のためだから。金づる探しではないからセーフだと思う。
採用試験のことは隠して、胸を張って主張すれば「金持ってる男でも引っ掛けるなよ」と怒られてしまった。なぜ。
※※※
しかし僕は優秀である。まぁ、暇人とも言う。
時間を持て余していた僕は地道に情報を集めた。主にエドワードやスコットから。
雑談の中にうまいこと質問を混ぜて情報を引き出した。僕が今まで何人の男を引っ掛けて金を引き出して来たと思っている。僕のコミュニケーション能力を舐めてはいけない。
そうして今度の採用試験の担当者だという男を突き止めた。ターゲットがわかればあとは簡単。
エドワードの目を盗んで接触すればいいだけだ。これは割と簡単に達成できた。なんせ僕は顔がいい。帰宅する担当者に何食わぬ顔で近寄ってちょっと色目を使えばあっさり落ちた。遊び慣れていない男だったようでほいほい僕について来た。
そうして僕を採用するようにと念押しした僕は、もはや合格を勝ち取ったも同然だった。
しかし問題はあった。
「最近なにをコソコソやっているんだ」
唐突にエドワードから投げかけられた言葉に、僕は固まった。え、もしかしてバレてる?
たらりと流れる冷や汗。
頑張って愛想笑いをした僕は「なんのこと?」としらばっくれておく。だがエドワードの目がすっと細められる。
「やたら外出しているだろ。なにをしているんだ?」
「散歩」
なにやら眉を顰めたエドワードは、僕の言葉を信じていないようだった。
「なにを企んでいる」
「企んでない」
きっぱり断言すれば、エドワードが舌打ちした。僕の言葉をまったく信じていないらしい。なんて横暴さだ。
「新しい男でも見つけたのか? おまえのその浮気癖はいつになったら改善するんだ?」
「違うよ。そんなんじゃないって」
あと浮気癖ってなに?
僕たちただの愛人、セフレだろ。なにを彼氏みたいなこと言っているんだ。
だがエドワードのご機嫌取りをしておかないと後々面倒だ。とりあえずにこっと笑って「エドワードが一番だよ?」とごまをすっておく。
しかしこれはあれだな。
採用試験突破しても、毎日仕事に行くとなると大変そうだな。すべてはエドワードが嫉妬深いせいだ。一度、愛人との正しい距離感について教えてやりたい。
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