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とにかく偽ノエルはやっぱり偽物で、本当はノアお兄さんだったということをライアン相手に頑張って説明する。
ぼくの話をふむふむと聞いていたライアンは、時折ロルフに視線を注いでいた。本当なのか? と言わんばかりの目に、ロルフがこくこく頷いていた。なんでロルフに確認するのだろうか。ぼくが五歳だから?
「……つまり、ノエル様は結局双子だったって話ですか?」
「そうでーす」
さすが副団長。あっさりと事情を飲み込んでくれたライアンは頼りになりそう。
ね? とロルフのことをペシペシ叩けば、彼は弾かれたように「はい!」とお返事してくれた。元気がよくていいと思うよ。
だが、ノエル本人は自分が双子だとは知らないと追加で教えてあげればライアンが困った顔をする。「これはまた面倒な」と苦い声。
確かに。すごく面倒だな。
モルガン伯爵家も絡む事態である。さらっと解決できるようなものではない。どう考えても大騒動になってしまう。
「ロルフ。どうにかしてくださぁい」
「すごい無茶振り」
頼れるお世話係さんを振り返ってみるが、「俺にはどうにもできませんよ」と静かに首を左右に振られてしまった。このお世話係さん、あんまり頼りにならないかもしれない。
ライアンもライアンでずっと唸っている。
このとんでもない事実を前に、どういう解決策をとればいいのか見当もつかないといった雰囲気だ。ぼくにも分からない。必死に考えるが、五歳には無理。ぼくは早々に諦めてライアンを頼りたいのに、肝心のライアンも曖昧な態度。
ライアンは主人公なのに。原作小説だったら大活躍しているのに。リッキーと共に解決をするところでは?
しかしよく考えてみれば、このノエルをめぐるややこしい問題は原作小説には出てこなかった。原作においてノエルは単なるトラブルメーカー。双子なんて話は初耳。ここも原作から大きく展開がズレている。
考え込むあまり固まるぼく。
「……リオラ様に相談してみますか?」
ライアンから窺うような視線を向けられて、しばし考える。
リオラお兄様は果たして頼りになるのだろうか。一見頼りになりそうなお兄様であるが、ちょいちょいとぼけたところがある。報告しても真面目に考えてくれない可能性がちょっぴりある。
しかし、このまま三人で固まっていても仕方がない。ノアには悪いが、やっぱり全部を内緒にしておくのは無理がある。だってノエルがふたり居ることは既にぼくがあちこちで話してしまった。
「リオラお兄様に相談しまーす」
両手をあげて結論を伝えれば、ライアンとロルフが「そうですね」と同調してくれた。ぼくらで結論が出せないのであれば、やっぱりお兄様に頼るべきだろう。
「屋敷に戻ります。行くよ、ロルフ!」
彼より先に玄関に置いたままにしていた傘のもとへ走れば、ロルフが「あ!」と慌てて追いかけてくる。
「俺が持ちますって」
「いやでーす。ぼくが傘さす」
「だからアル様には大きいですって」
「大きくないもん」
馬鹿にするんじゃない。傘くらい持てる。
頑張ってロルフと格闘するが、彼も手強い。まったく力を緩めることなく傘を奪い取っていく。
「返してくださぁい! ぼくのです!」
「違いますってば」
我儘ロルフめ。
むすっと頬を膨らませて抗議しておいた。
ぼくの話をふむふむと聞いていたライアンは、時折ロルフに視線を注いでいた。本当なのか? と言わんばかりの目に、ロルフがこくこく頷いていた。なんでロルフに確認するのだろうか。ぼくが五歳だから?
「……つまり、ノエル様は結局双子だったって話ですか?」
「そうでーす」
さすが副団長。あっさりと事情を飲み込んでくれたライアンは頼りになりそう。
ね? とロルフのことをペシペシ叩けば、彼は弾かれたように「はい!」とお返事してくれた。元気がよくていいと思うよ。
だが、ノエル本人は自分が双子だとは知らないと追加で教えてあげればライアンが困った顔をする。「これはまた面倒な」と苦い声。
確かに。すごく面倒だな。
モルガン伯爵家も絡む事態である。さらっと解決できるようなものではない。どう考えても大騒動になってしまう。
「ロルフ。どうにかしてくださぁい」
「すごい無茶振り」
頼れるお世話係さんを振り返ってみるが、「俺にはどうにもできませんよ」と静かに首を左右に振られてしまった。このお世話係さん、あんまり頼りにならないかもしれない。
ライアンもライアンでずっと唸っている。
このとんでもない事実を前に、どういう解決策をとればいいのか見当もつかないといった雰囲気だ。ぼくにも分からない。必死に考えるが、五歳には無理。ぼくは早々に諦めてライアンを頼りたいのに、肝心のライアンも曖昧な態度。
ライアンは主人公なのに。原作小説だったら大活躍しているのに。リッキーと共に解決をするところでは?
しかしよく考えてみれば、このノエルをめぐるややこしい問題は原作小説には出てこなかった。原作においてノエルは単なるトラブルメーカー。双子なんて話は初耳。ここも原作から大きく展開がズレている。
考え込むあまり固まるぼく。
「……リオラ様に相談してみますか?」
ライアンから窺うような視線を向けられて、しばし考える。
リオラお兄様は果たして頼りになるのだろうか。一見頼りになりそうなお兄様であるが、ちょいちょいとぼけたところがある。報告しても真面目に考えてくれない可能性がちょっぴりある。
しかし、このまま三人で固まっていても仕方がない。ノアには悪いが、やっぱり全部を内緒にしておくのは無理がある。だってノエルがふたり居ることは既にぼくがあちこちで話してしまった。
「リオラお兄様に相談しまーす」
両手をあげて結論を伝えれば、ライアンとロルフが「そうですね」と同調してくれた。ぼくらで結論が出せないのであれば、やっぱりお兄様に頼るべきだろう。
「屋敷に戻ります。行くよ、ロルフ!」
彼より先に玄関に置いたままにしていた傘のもとへ走れば、ロルフが「あ!」と慌てて追いかけてくる。
「俺が持ちますって」
「いやでーす。ぼくが傘さす」
「だからアル様には大きいですって」
「大きくないもん」
馬鹿にするんじゃない。傘くらい持てる。
頑張ってロルフと格闘するが、彼も手強い。まったく力を緩めることなく傘を奪い取っていく。
「返してくださぁい! ぼくのです!」
「違いますってば」
我儘ロルフめ。
むすっと頬を膨らませて抗議しておいた。
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