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第4章 「真実の幕開け」

「う~ん、ベーコンレタス100シリーズ分のモデルになれば即決するわ!」

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 「....ん???何これ???見たこと無い封筒ね。.....ってこれ。なんか嫌な予感がするんだけど....。」

 日下部は、最近描いているBL話の調子が良く、今日は久しぶりの買い物に出かけていた。

 るんるん気分で家に帰り、郵便ポストを開けた瞬間、数枚の折り込みチラシと、一枚の紫色と黒色のコントラストが印象的な分厚い封筒が落ちできたのだ。

 普段日下部の元には、まるで大学生のアパートにくるような、情報誌や宗教勧誘の広告しかポストには入っていないのだが...。

 上質な紙で送られてきた派手な封筒が入っていたのだ。

 それは、驚かない方が無理な話である。

 暫くその怪しい封筒をどうするのか思考を巡らせていたが、ずっとポスト前で、立ち尽くしているわけにもいかず、仕方なくその封筒と情報誌を持って、自分の部屋へと帰ったのだった。

 「はぁ、ただいま~。な~んか今日は10年ぶりに料理をしようっていう気になったのに、この怪しい封筒のせいでやる気が完全に失せたわ...。いっその事、ガスコンロで燃やしてやろうかしら??」

 日下部は玄関からリビングに入ると、困った顔をして派手な手紙をまじまじと眺めだした。

 「ん???この封筒...よくみると、切手が貼ってない。....それに、なにこの印....コウモリ???...なんだか異世界からの手紙みたいで不気味ねぇ...。まぁ、開けて何かの勧誘だったら捨てればいいわけだし。とりあえず、開けてみるか。」

 日下部はこう言うと、目の前の封筒を開封したのだった。

 中の手紙を取り出し開くと、そこには...

 「あれっ....この手紙.....差出人は...........あっ、やっぱり。ルグ達だわ...。一体どうしたのかしら???....ん~と...何々~『日下部さんへ こんな手紙を急に出してしまい申し訳ありません...。ですが、今は時間が無いのです。魔王さんが近いうちに魔法使いの手によって、街の人たちから命を狙われます。魔王さんが殺される事があっては決してならない。それと同時に、魔法使いが私たちの国を支配下にすることも、決して許していいことではない。その為、日下部さんにはあることに協力して欲しいんです。...報酬はいくらでも払います。.....明日の朝、私たちの世界に飛んだ時と同じ時間に迎えに行きます。詳細は、以下に記しておきます。 ルグ』....って、なんなのこの手紙は!!!!マオちゃんが殺される????あんなに優しいニューハーフが!???あり得ないわ!...対価はいくらでも....よし、ルグ達にベーコンレタス100シリーズ分のモデルをしてもらおうかしら!!!!...そうと決まれば、さっさと魔界に向かう準備を整えなきゃ。」

 日下部は、にやにやとしながら、手紙を封筒にしまうと、少し大きめに鞄に荷造りをしだしたのだった。

 その頃屋敷では....

 「はぁ、魔界の宅配に頼んだからちゃんと届いているか心配だが....まぁ、対価はいくらでも払うと言っているし、協力はしてくれるだろうな。おそらく、彼女が俺たちに頼むこととすれば、BLのモデル50シリーズ......いや、あの日下部さんのことだ。おそらく、50なんて可愛い数字だしてくるはずがない。100シリーズといったところか....。はぁ、この件が片付いたら、潔く日下部さんの奴隷となるか...。はぁ...今から、先がおもいやられるなぁ....。」

 なんて大広間での話し合いを終え、一息ついていたルグが酷な表情を浮かべていたことは、荷造りをしている日下部が知ることは無いのである。
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