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第2章 「あれ??...ターゲットって一人のはずだけど...?」

「無理難題に応えましょう。」

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 「あの...日下部さん???俺たち何とか①から④までの項目をこなしましたけど...この...⑤に書かれている付き合い始めて三日目と5.5時間の二人のおうちデートというのは...一体...。」

 「あ~、それはねぇ。付き合い始めた二人の一週間っていったら、ちょ~熱々なのよ!!!!つまりね、三日目の5.5時間後が私としては、一番書いてみたいシュチュエーションなのよね。だから、初々しさと勇気を振り絞ろうとしている一生懸命さを演出して欲しいのよねぇ~。ということだから、よろしくね。」

 ルグが、顔を真っ青にしながら言った言葉に日下部は、にやにやと微笑みながら、熱いBL論を語り始めたのだった。

 ルグは、自分の中で世界を救うことと、醜態をさらすことを天秤にかけ...結果、世界を救う方を取った。

 「ルー、準備はいいか??こんなのさっさと終わらせて、早く俺たちの世界を救ってもらうんだ。」

 ルグは、苦渋の決断をし、ルーに声をかけたのだが...ルーはというと...

 「...はぁ、ルグ???...俺は、のんびりしてるからルグ...ひとりで、ガンバってね。」

 と言うと、ルーはルグに視線を1度だけ向けて、そのまま遠くの方を見つめだした。

 「くそっ、ルーの奴...。しんどく無いような役を自ら選びやがって...!!!!えぇい、もう分かったよ!!!こうなりゃ、やけだ!!!どっからでも、かかって来い!!!」


 ルグは、目の前のルーを睨みつけると、目に炎を灯しだし...何故か一人やる気になっていた。

 「さぁ、待ちくたびれたわ...。はい、スタート!!!」

 そうして日下部さんがスタートの合図を掛けた瞬間...ルグのやる気スイッチが入ったのだった。

 「なぁ、ルー。お前さ...俺の家って初めて来るよな???...その....どうだ??俺の家...。」

 「...はぁ????五月蠅いんだけど...あのさぁ、今の時期知ってるの???夏だよ夏...!!!!馬鹿なの??夏なのに、そんなに暑苦しくして...一体何を企んでいるわけ???」

 「...そっ...そんなこと言わなくてもいいだろ???俺は...ただ...お前と...。」

 この様子を見ていた日下部は、何故かニヤついてペンを黙々と走らせていた。

 それもそのはず、日下部はペンでメモを執りながら、ひとりでこんなことを語っていたのだから...。

 「はぁ、いいわ!!!このシュチュ...ありありよ!!!!最高じゃない!!!!初々しいカレカノ世代真っ最中かと思いきやの....まさかのツンデレキャラ炸裂!!!!新しいわ!!!!ぐわぁ!!!!!進む進むわ!!!ペンが進む過ぎて...火が出そうよ!!!!」

 というような感じに...こんなことをぶつぶつ言っているなんて、さらさら気がついていないルーとルグは、役そっちのけで、すさまじい攻防戦を続けているのだった。

 「五月蠅いし...気持ち悪い!!!第一...ルグはいつも俺の気持ちも考えずに、自分の意見を押しつけてくるだろ!!!それが...気に入らないんだよ!!!!(本音)」

 「はぁ!???それはお前がいつもいつも、俺の言っている最低限の事をしないからだろう????(本音)」

 「最低限って...最大級の間違いじゃないの????...だって、俺はちゃんとみんなの事を考えて、規則正しい生活を送ってるんだよ???そんな優しい天使の容姿を持ったこの俺に、そんなこと言えちゃうわけ???(本音)」

 「なぁにが、皆のことを考えているだ!!!!どの口が言ってんだよ!!!!第一、お前は自分が使った食器さえも片付けないだろう!!!いいか、流しに持っていくだけだ...!!!それをなんだ????...最低限の事はやっている????ふざけるのも大概にしろよ!!!!(本音)」

 「ぐっ...ルグひどいよ...。俺は、別にふざけているわけじゃ...。(泣)俺だって、出来る事探して...一生懸命にやっているつもりなんだよ???(嘘)」

 「....ごっ...ごめん、なんか言い過ぎちまって...。...その...悪かった。(本音)」

 こう言って、お得意の嘘泣きを始めたルーに、まんまと騙されたルグは、目の前のルーに頭を下げたのだった。

 その様子が面白かったのか...ルーは、自分に頭を下げているルーに対して、先程の涙はどこへやら、こう言葉を発したのだった。

 「...はぁ、しかたないなぁ~。許してあげなくもないよ???...ルグが掃除当番変わってくれるのならね。」

 ルーの態度の変わりように、ルグもルーが嘘泣きをしていたことを理解し、その途端、ルグは眉間に皺を寄せ、ルーにこう言った。

 「....なぁ、ルー。お前...一回死後の世界を見てみる気はないか???...今なら初回限定サービス...特別にタダで見せてやるよ。」

 「...はははっ。...ルグ。やめなよね。笑えない冗談いうの。(笑)」

 「へぇ~、これをお前は笑えない冗談ととるのか???そうかそうか。随分と幸せな頭だな~???よし、追加で特別サービスもつけてやるよ。」

 こう言ったルグは、目の前で状況が掴めていないルーに対して、プロレスっぽい絞め技をキメたのは、言うまでも無い。

 「......ルグ。....ごっごめんなさい。....もう...もうしないから...。だから、どうか命だけは!!!」

 「...あんまり調子に乗ってると、今度は本気で殺してやるからな???覚悟しろよ??」

 ルグとルーの、役そっちのけのガチ喧嘩を、真面目に見ていた日下部は、手を叩き、終了の合図をかけた。

 「はい!!!!もう十分よ!!!!!!あなたたち、BでLな絶妙な駆け引きを分かってるじゃないのよ!!!!もう最高よ!!!!!専属のモデルにならないかしら!!!」

 「いや...遠慮しときます。...おい、ルーいつまでも伸びてないで、さっさとこんな面倒事終わらせるぞ???」

 「...うっ...うううぅ....。関節が...正常に機能しない...。もう少し...だけ時間を...バタッ。」

 ストップをかけた日下部さんの激励に、苦笑いしながら断りの言葉をかけたルグは、背後で伸びているルーに、声を掛けたが...当のルーは、ルグにきつく絞め技をかまされたせいで、絶賛床で伸びていたが、ついに力尽き...意識を失ったのだった。

 それから、ルグは今度から絞める力加減には気をつけようとそっと、気を失っているルーをみて思うのだった。

 「はぁ、やっぱり...BLは実物が一番よね!!!ほら、ルーくん????早く起きて、私にBLのドキドキを書かせてちょうだい!!!!」

 伸びているルーを見ながらこう言った日下部の言葉に、ルグは日下部のことを見つめながら、内心こんなことを考えていた。

 「....。(日下部さん...絶対に彼氏いない人だ。...はぁ、ルーもはやく起きてくれるといいんだがな...。...まぁ、俺が絞めたわけだし...反省だな...。)」
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