ダメな私と吸血鬼

日向 ずい

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第8章 「人間界と魔界の繋がりについて」

ラグルの魔界調査

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「はぁ、はぁ...禁断症状が出そうだ...。携帯用の輸血ボトル...1本打っとくか...。......っ!!」
と言って木の小陰で休むラグルは、自分の胸元から携帯用の輸血ボトルを取り出し、自分の腕に打ち込んだ。かなり痛みが走るため顔を歪めているラグルの額からは、汗が流れている。
 輸血ボトルを打ち終わると、立ち上がりふらつく足を必死に動かして、魔界と人間界の境界線へと向かった。
 境界線に着くと森の茂みに隠れて人間が現れるのを、じっと待っていた。
 暫く観察していると緑の魔石で出来たピアスを付けている人間の女性が一人魔界に入ってきた。
「...あの緑色の魔石...どこかで...。まぁ、いいか。とりあえず、追いかけてみよう...!!」
と考えると女性の後を追って動き出した。
 女性がたどり着いたのは...錆びれた檻がある小さなコンテナの入口だった。
 女性は、そのままコンテナに入ると錆びれた檻に自分から入り、奥に置かれた椅子に腰をかけた。
「...何やってんだ...あの女...。自分から檻に入るって...。...ん??まずいな...足音だ...。どっかに隠れないと...。(汗)」
と言ってラグルがコンテナの入口から女性の様子を伺っていると背後から足音が聞こえ、急いでその場から身を隠した。
「...はぁ、どうやら1体帰ってきたようだな...?」
「えぇ、何か良い情報...あら??このお店の魔石...何だかほかの所より輝きが違うわ...。...怪しいわね...。」
そう言って、コンテナの中の檻にさっき入った女性を...モーリア夫妻が観察していた。
 彼女が手に持っていた魔石を奪い取ると妻のハイアは、魔石をじっと観察して女性に訊ねた。
「...ねぇ??この石をどこで手に入れたの???答えられるわよねぇ???」
と言って女性に問いただしたハイアの顔は、悪魔のように歪んでいた。
 女性は、目の焦点があっておらず...抑揚のない声で答えた。
「...はい。ハイア様...この石は...『Magical Stone!』で手に入れてきました...。恐らく...あの店で働いている...娘が作ったものだと...思われます...。」
と言ってハイアをじっと見つめていた。
 そんな女性にニコッと笑いかけると
「んふふ!!ご苦労さま...もうそろそろ...お暇...欲しいでしょ??...だ~か~ら!!私が...アナタを...食べてあげる...。(笑)」
と言ってハイアは、女性の首に自らの持っていた携帯用のナイフで傷をつけ...吸血しだした。
 ものの数秒で身体の全ての血を失った女性の目からは、涙がこぼれており...真っ白になっていた。
 女性から口を離すと乱暴に女性を投げ捨ててハイアは、舌なめずりをした。
「んふふ...美味しかったとまでは言わないけど...美容には...良さそうよね...??(笑)でも、ラグルちゃんの血には、適わないわね...。(笑)」
と言ってニヤッと笑っているハイアと茂みに隠れてその様子を見ていたラグルは、一瞬目が合ったように思い...その瞬間ラグルは、全身に鳥肌がたち身体の震えが止まらなかった...。
「ねぇ??サレラ??...私たちのこと...ずーっと見ている趣味の悪い人が居るみたいね...??」
「あぁ、そうだね...。全く...それで気づかれてないとでも思っているのだろうか...??(笑)」
ラグルは、茂みに隠れながら徐々に近づいてくる足音と話し声に冷や汗が止まらなかった。
「...こうなれば...瞬間移動だ...。」
と小さく言うと呪文を唱え、瞬間移動をした。
 その瞬間、茂みを覗いた夫妻に見つかる前に何とか消えることが出来た。
 茂みを覗いた夫妻は
「...あーあ、逃げられちゃったわね...。」
「まぁ、誰かっていうのは...大体検討がついているからね...。やつは、また戻ってくるよ...??(笑)」
と言って二人は、踵を返すと屋敷に向かって歩き出した。
 瞬間移動で何とか人間界と魔界の境界線まで戻ることが出来...息を吐いたラグルは
「...まずいな...。多分、あの夫妻のことだ...。きっと俺だとはバレてなくても...大体の検討はついているだろうな...。(汗)」
と言って自分の額から流れる冷や汗を袖で拭うのであった。
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