ダメな私と吸血鬼

日向 ずい

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第5章 「二人のお仕事。」

ニーソンとラグルの話し合い

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 夕飯を食べ終えたエピーヌは、ニーソンに自室に戻って魔石の加工の仕方とか覚え直してくると伝え、エピーヌが二階の自室に入ったことを確認すると、ニーソンは、まだご飯を食べているラグルに声をかけた。
「なぁ、ラグル??ちょっと...相談したいことがあるんだけど...いいかな??」
そう言ったニーソンをよそにラグルは、禁断症状が出ないようにするための携帯型の輸血ボトルを使い、身体の中に血を取り込んでいた。
「...ん??...今、血~いれてるからちょっと待ってくれ...。これ、口から飲むわけじゃないから結構痛いんだよな...(汗)はぁ、俺は、他の吸血鬼より自制が効くのに...何で、エピーヌに噛み付いちまったんだろうな...?(汗)」
と言って苦笑いしているラグルにニーソンは、
「...ははっ、お前は、あんまり吸血衝動に駆られることが無いのにな...。(笑)」
と言ってキッチンで料理の後片付けを終え、ラグルの正面の椅子に腰をかけた。
 輸血が終わり、はぁーと息をついたラグルはニーソンに
「よし...終わった。で、ニーソン...相談とはなんだ...??俺は、夜の仕事があるからもうじき外に出かけるんだけど...。」
と言って頭をかいたラグルにニーソンは
「...あっ、すぐ終わるし、それに今すぐに言っておく必要がある事だから。...一昨日、エピーヌと仕事のために製石場に行ったんだけど、その日は、エピーヌに俺が加工した石に魔力を吹き込むやり方を見せたんだ。作り方は、わかってもらいたいと思ったから、人間には、魔力が無いからそもそも魔石を作れないって事も説明した状態で、なるほど!程度に覚えておいてって言って、説明し終えたんだけど...。その日の仕事終わりに製石場を片付けようと思って製石場に向かったら...エピーヌが...呪文を唱えて...魔石をつくり出したんだ...。」
うんうん、とうなづきながら聞いていたラグルは、一瞬の間をおいて
「...うん...うん??......えっ、......はっ!?貴様、真面目にいっているのか!??だって、エピーヌは、人間の女の子だろ????なのに、何故魔石を生み出せるんだ!??」
と言って信じられないとばかりに目を見開いてニーソンを見つめている。
「それは...こっちが聞きたい...。だから、お前に相談しているんだろう...??で、何か無いのか???人間の女の子でも、魔力を使える環境みたいな...??(汗)」
ニーソンも困った顔でラグルを見つめた。
「そんなのな、俺だって方法が、分かっていたら......あっ、もしかしたら...方法ではないが、俺と契約してる...貴族のモーリア夫妻が...昔、娘が誘拐されてそれ以来会えていないと言っていたような...。いや、でも、まさかな...?(笑)」
と言って苦笑いしているラグルにニーソンは
「...えっ、それって、何年前??その女の子が何歳の時???」
と言い、ラグルに答えを急いだ。
「...えっと、確か12年前...女の子が3歳のときだって言っていた気が...。」
「...それだよ!!きっとエピーヌだ!!!エピーヌは、今15歳だって言ってた!!だとしたら12年前...つまりエピーヌが3歳の時って言うことで、つじつまが合うんだよ!!!(汗)」
 そう言って珍しく声を荒らげたニーソンにラグルは、びっくりした顔を向けていたが、やがて納得して
「...たしかに...。そう言えば、モーリア夫妻の奥さんの方が人間で夫の方が魔界の魔族ってちらっと聞いたことがあった...。それでかも知れないな...。」
と言っているラグルにニーソンは、ハッとした顔をして
「...えっ、でも、それじゃあ...エピーヌは、重罪人なんじゃ...。だって、魔族と人間は、恋愛は、してもいいけど子供は...作ったらいけないんだろ...。法律で両世界で固く禁止されている...。そんな...もしエピーヌの素性がバレれば...彼女は、両世界から命を狙われる存在となるって事だろ...??(汗)」
そういったニーソンにラグルは、何か思い悩んだ顔を向けていたが、すぐに普通の表情に戻り
「...まぁ、そういう事だな...。でも、この家に住まわせるって約束したんだから...つまり奴は、家族ってことだ...。命は、守らないと...ニーソン。」
と言ってニーソンを見つめるラグルにニーソンは
「...おまえ、魔界出身なのに...そういうところまるで人間みたいだな...。はぁ、わかったよ...。最後まで、責任とるよ。」
と言ってニーソンは、諦めた顔をしていた。
 そんなニーソンに内心
「...人間みたい...。そうかもな...だって俺も...エピーヌと同じような境遇にあったやつだしな...。(笑)まぁ、最後まで誰にも言わないつもりだけどな...。」
と言って苦笑いしていることは、知る由もないニーソンなのであった。
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