上 下
13 / 54
第3章 「我が屋敷へようこそ!」

3-1話 「可愛らしい仕立て屋さん。」

しおりを挟む
 屋敷の掃除も、クリアネモネ(箒の形をしている雑草)を使うことによって何とか終えることが出来たラボンは、疲れた顔をして黒猫の姿に戻ると大きな伸びも早々に近くにあったソファに乗ると、丸くなって寝息をたて始めた。
 エピーヌは、ラボンの手伝いを終えると自分の部屋に戻るため、廊下を歩いていた。
 部屋の前に着き中に入ろうとドアに手をかけた時に背後から声をかけられて、開けようとしていた手を制されてしまった。
「エピーヌ??ちょっといいか??」
「ん??あら、ラグルじゃないの。...どうしたの???(汗)」
「急で悪いんだが、今日のパーティーで着る服を作ってもらうから衣装部屋に行って欲しいんだが...。」
 目の前のラグルは、少し疲れた様子でエピーヌにこう話し掛けた。
 エピーヌは、朝の出来事を思い出し、ラグルにこう尋ねた。
「ねぇ、ラグル??ラボンの買ってきていたコーディネーションは、どうなったの???(汗)」
「あー、あれはな...。(汗)」
 ラグルは、目の前のエピーヌに言いにくそうな顔をしていたが、諦めたように口を開いた。
「...さっき、魔界警察に行ってラボンが言っていたオニユリが「コーディネーションを裏ルートで売っていた...。」と言って、事の発端を全て話したら、オニユリは、魔界植物園の中でも違法に植物を売っていたらしく即逮捕されて、俺も...。いや、なんでもない...。(汗)エピーヌが心配しなくても全て解決しそうだ。(笑)...心配かけて悪かったな...。(笑)」
 ラグルは、こう言うと心配そうに話を聞いていたエピーヌの頭を安心させるように、ヨシヨシと撫でた。
 そんなラグルに、困った顔をしていたが、やがてニコッと微笑むと衣装部屋に向かうと言ってラグルに頭を下げ歩いていった。
 エピーヌが去っていったあと、ラグルは独りで頭を抱えていた。
「はぁ、エピーヌにはああ言ったが、密猟者から、違法植物を買ってしまったラボンもただじゃ済まされないだろうし...。はぁ、どうしたものかな...。(汗)」
 こう言うと深いため息をつき、自らの部屋に戻っていくのだった。
 そうして何も知らないエピーヌは、衣装部屋に向かうとそこには可愛らしい容姿をした女の子が立っていた。
「あっ、エピーヌ様ですね??(笑)お待ちしておりました!!僕は、マラタニカ・ルージア。仕立て屋をしております!!(笑)」
 「マラタニカさん??よろしくお願いしますね!!(笑)(名前...少し長い??えっ、女の子??でも僕って...えっ、まさか中性...どっちよ!!(汗)そんな事よりも...。)...でも、パーティーまでもう5時間もないけど...作り終えることは出来るの???(汗)」
 エピーヌは目の前の一見、小学校低学年ぐらいの容姿を持っているマラタニカに、拍子抜けしていた。
 そんなエピーヌにマラタニカは、エピーヌの心情など知る由もなく笑顔で答えた。
「えぇ!その辺りは、お任せ下さい!!ほんの2時間もあれば、余裕で作り終えることができます!!(笑)」
「2時間で出来るなんて...あなた一体...。(汗)」
 目を真ん丸にしてマラタニカを見つめているエピーヌを、特に気にした様子もなく、マラタニカはメジャーを取り出してエピーヌの背後に回った。
「では、早速...エピーヌ様の採寸をさせていただきますね。(笑)」
「あっ、その...えぇ、お願いします。(汗)(いや、性別どっちよ!!!!(汗))」
「ん???あ~、すみません...。よく勘違いされるんですけど、僕は女で、これは仮の姿なんです。人間界の方がいい素材の布や糸が手に入るので、この姿を使ってよく買い物に出かけるんです!(笑)さっきまで人間界の方で少し所用を済ませていたので、この姿のままでいたんですよね~!本当は...。」
 こう言うと、エピーヌの採寸をしながら、自らに呪文をかけると、そこには綺麗な真っ白のドレスを身にまとった女の人が現れた。
「うわっ!!!びっくりしたー...。(汗)鏡に急にと思ったら、マラタニカさんだったのね...。(笑)やっぱり、魔界の人は凄いわね!!(笑)」
 エピーヌは、目の前の姿見で自分の背後に写ったさっきとはまるで別人のマラタニカに口をあんぐりと開けていたが、マラタニカの無邪気な笑顔に本人だとわかり、エピーヌは、目をキラキラさせてマラタニカを褒めた。
 そんなエピーヌに少し照れた様子で、採寸を終わらせるとエピーヌに向き直りこう聞いた。
「採寸は、終わりましたよ!...あとは、エピーヌ様の好みですね!!どうしましょうか??(笑)」
「ありがとう!!マラタニカ!!私が...服のデザインを決めてもいいの!???」
 エピーヌの嬉しそうな表情に笑顔をより一層深くさせて、マラタニカは答えた。
「えぇ!!エピーヌ様のお好きなようにお作り致しますよ!!!(笑)」
「んー、でも、マラタニカさんに任せたいわ!!!(笑)私は、あんまりドレスを選んだことがないから...。」
 エピーヌは、どこか寂しそうな表情をしていた。
 そんなエピーヌの様子にマラタニカは、困った顔をしていたが、ニコッと笑うとエピーヌに向き直った。
「わかりました!!このマラタニカ必ずやエピーヌ様を、より一層エピーヌ様の可愛さを最大限にフル活用できる素晴らしいドレスを仕立ててみせます!!!(笑)楽しみにお待ちください!!(笑)」
 こう言うと、張り切って奥の方へと消えていったマラタニカなのだった。
「マラタニカさん、ありがとう!!楽しみにしているわ!!(笑)...それにしても、魔界には性別を偽ることができる人も居るのね...。(汗)」
 こう言うとエピーヌも衣装部屋にから外に出て、自らの部屋に帰っていくのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。

音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。 だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。 そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。 そこには匿われていた美少年が棲んでいて……

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

処理中です...