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第13号 「歪み出した日々。」

「中谷と女...。」

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 気だるげ警官として名が広まりつつある中谷大馳(なかたに だいち)は、琉架とストーカー女の通話履歴から位置情報を解析してもらうためにある部署を訪ねていた。
「これ...音声の解析お願いします。(汗)...例の冬月琉架さんのストーカー女との通話履歴なんですけど、これから位置情報を解析して欲しいんです。書類も回ってきてると思うんでわかると思うんですけど...。(あー、そう言えばこの部署......あの男が居るんだった...くそっ、厄介だ......。(汗))」
 中谷が遠慮がちに受付で声をかけると、奥の席から背の高い眼鏡をかけた男が近寄ってきた。中谷の顔を見ると露骨に嫌な顔をして、中谷の持ってきたメモリーチップを嫌々受け取ると、低い声でこう話し出した。
「...誰かと思ったら気だるげ警官で有名な中谷さんじゃないですか??(笑)...今日は珍しくお仕事ですか??(笑)...それより聞きましたよ...最近、お付き合いされていた彼女さんと別れたとか??...なんでも理由は貴方の浮気だとか。(笑)...警察官もいいところですよ...この恥さらしが...。(怒)」
「...すみませんねぇ~、気だるげで...!!(怒)...いつもアンタよりは真面目に仕事してるし...(ボソッ)......あ~、そうなんですよね...。いや~、でも俺が浮気したんじゃないんですよ??(俺は...チャラいって言われるけど...一途なんだよ!この黒縁メガネが...モテねぇーからって僻(ひが)みかよ...!!!(怒))...彼女とは、折が合わなかったんですよ...。(汗)(つーか、マジだし...!性格合わなさ過ぎて...破局だし...!!未練なんて垂れてねぇし...!!(怒)イーーーーだ!!!(怒))」
 中谷は、目の前の黒縁メガネが印象的な男...狩賀見 拓士(かるがみ ひろと)に対して内心、敵意をメラメラ燃やしていたが、相手の方が管轄(かんかつ)的にも立場が上のため当たり障りのないように言葉を返していた。そんな中谷の様子に狩賀見は、気味の悪い笑みを零し、書類を一枚...中谷の前に突き出した。
「まぁ、世間ばなしはこれぐらいで...。この書類に必要事項を記入してください...。漢字で...書いてくださいね??(笑)...それが終わったら、ここの空気が貴方の日頃のたるみのせいで...環境汚染を起こしそうなので、さっさと!とっととお引き取り願いたいところですね。(笑)」
「...あぁ、分かりました...。(なーにが、漢字で書いてくださいね。だ...!!!(怒)...こう見えても俺は、漢字検定準2級は落ちたけど3級は一発合格してるんだよ!!!文句言うな!!!(怒)...ここの空気がたるむだ~!???(怒)...てめぇの堅苦しさのせいで、ここの部署は既に窮屈満員電車になってるんだよ...!!!!(怒)...汗臭いったらありゃしねぇーよ...!!!!(怒))...ほんと、忙しい中すみませんねぇ...。(あー、早く俺の部署に帰りたい...。と言うよりも、こいつの言ってた俺の彼女......今回の事件関係者なんだよな...恐らく...。(汗)はぁ......ま~た、こいつに色々言われそうだわ...。(汗))」
 中谷は、テキパキと書類に必要事項を記入すると...狩賀見の言葉にイライラが掻き立てられるため、さっさと自分の部署に帰っていった。
 部署に戻っている最中...中谷は、ひとり頭の中でこんなことを考えていた。
「...はぁ...みんなに言ってないけど、冬月琉架さんのストーカー...俺の彼女だったやつなんだよな......多分...。(汗)...はぁ、アイツなんでストーカーなんて...確か...アイツは、姫崎るかちゃんの事務所に勤めてたんだったっけ...??なーんかでも、色々厳しいとかでやめたんだったよな...。るかちゃんだったら狙う理由も分かるぞ???...でも確かに名前は姫崎ちゃんと冬月さんは一緒だけど...一体どうしてこの子だったんだ...???(汗)......これは...少し自主勉強がてら調査...してみるべきかもな...。」
 
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