ファンタジア!!

日向 ずい

文字の大きさ
上 下
76 / 102
第7章「紫翠との熾烈な戦い。」

「そして俺は逃げ出した。」

しおりを挟む
「...えっと......みやび...その...昨日はごめん...。...すこし、ムシャクシャしてて...。」

 俺は、目の前の雅を見て、居心地の悪さを感じていた。

 それもそうだ。...なんて言ったって...昨日、俺は雅の事を食ったのだから。

 それはもう盛大に...。

 そんな俺に雅は、警戒心MAXどころか...なんと、その真逆......。

 なんでか、凄く懐かれていて...今日は、鍵盤ハーモニカなんて持ってきてて...何すんのかなーって思っていたら、いつもの滑り台から降りて...ギターを弾く俺の真ん前まで来ると大きな声で......

「ふみにぃちゃん!!!...俺とセッ〇スしよ!!!」

「......は???」

 俺の反応は間違ってないと思う...。

 だって...鍵盤ハーモニカ見せびらかして...セッ〇スだぞ。

 大人のおもちゃとかいう、訳分からんもん以上に...幼い俺には...どう反応していいのか、全くと言っていいほど分からない状況であった...。

 暫く固まったままの俺に雅は、首をかしげながらこう尋ねてきた。

「ふみにぃちゃん???...聞いてる???ボクとセッ...『おい!...お前......マセガキか???最近はやりの!!!』...ん???マセガキ...???って何???...しぶがきならわかるよ!!!...おばあちゃんの家に行くと、食べさせてくれるんだ~...って、ふみにぃちゃん???」

 一回初心に戻るか。...うん。

「...その...みやび???」

「ん???...なぁに、ふみにぃちゃん。」

「その...ふみにぃちゃんっていうのと......昨日のこと...なんとも思ってないのか???」

「...えっ!??...だってふみにぃちゃんの名前は、みつ ふみなり...でしょ???...それに昨日のは、ふみにぃちゃんを慰めたんだよね???...ボク...何か変な事言ってる???」

 目の前で困り顔をしている雅に俺は、これ以上何も言えなくなり、弾いていたギターをベンチに置くと、目の前で首を傾げている雅に、自らの膝の上を叩き、俺の膝の上に座らせた。

 そうして雅を背後から抱っこする形で、お腹に手を回すと、雅はどこか嬉しそうに背後にいる俺の方を振り向き、こう声をかけてきた。

「ふみにぃちゃん。...ボク...ふみにぃちゃんが構ってくれるの......すごく好き。.........ボクの家...みんな忙しくて...ボクの相手してくれないんだ。...だから、ボク...ふみにぃちゃんが、構ってくれるの...とても楽しい!!!...それに......お兄ちゃんが、昨日ボクのこと気持ちよくしてくれたでしょ???...ボク......ふみにぃちゃんだったからか...全然平気だったよ???...ふみにぃちゃん......ボクと鍵盤ハーモニカでセッ『バカ...お前が言おうとしていること...何となく分かったぞ??...お前...セッションって言いたいんだろ。』......ん......うにゃ!!!...そうそう!!!セッションだよ!!!!.........ってあれ......???...じゃあ、ボクがさっきまで言ってた言葉って...何???」

 あーもう...サイコーに可愛い...。

 出来ることなら、今すぐに抱きたい。

 まぁ...でも言葉の意味を教える方が、この子の将来考えると......はぁ...仕方ないか。

 俺はこう考えると、雅の耳元に唇を寄せ、こう囁いた。

「みやび??...お前がさっきまで言っていたのは......昨日俺がお前にやったような行為の事を言うんだよ???(笑)......みやび...気持ちよかったの??...クスッ...かわいいな...お前は...。」

 俺はみやびの耳元から唇を離すと、思っていた通り真っ赤に染った雅の頬を眺めながら、サラサラの髪の毛に覆われた頭をヨシヨシと撫でたのだった。

 ふふっ...なんだかんだ言って...俺が...多分、雅のこと好きなんだろうなぁ...。

 雅の照れた様子に笑っていると、頬をプクッと膨らませた雅が、背後にいる俺のことを見つめ、一言こう言ってきた。

「ふみにぃちゃん...って...変態さん???」

「うぇっ!!??......ふふふっ...みやびだって...そうだろ???」

「んなっ!??...ボクは.........そんなんじゃないもん!!!(照)」

「はははっ、そっか。(笑)...なぁ、みやび???...セッション...するか???」

「...ふみにぃちゃん...いいの???......ボクと楽器合わせてくれるの!???」

 「あぁ、良いよ。可愛い雅に免じてね??」

 俺のこの言葉に雅は、満面の笑みで......そんな顔が至近距離にあったから、俺は微笑みながら、抑えきれなくなってきた理性を保つために、雅の唇にチュッと軽くキスをしたのだった。

「...みやび...お前...可愛すぎ...。そんな可愛い顔...俺以外には見せるなよ???...チュッ。...さぁ、じゃあ...練習始めるか!!」

 「うん!!!!始めよ、ふみにぃちゃん!!!」

そう......こうして俺と雅は、出会い......互いに音楽を高め合う...そんな関係になっていった。

 俺が......マフィアのボスになるまでは...。

 はははっ......マフィアの元に生まれてよかったのは...雅に出逢えたこと。

 でも.........それでも...叶わないのは............俺には、雅のように人生への選択肢がないことだったんだ...。

 俺は......マフィアに生まれていて、雅は、一般家庭に生まれている...。

 俺は...マフィアになるしかない...。

.........でも雅は???

 そんなことを考えるようになってから......次第に俺は、雅に会うことを避けるようになっていた。

 奴には出来て......俺には出来ない。

 俺は......定められたレールしか歩くことが叶わなかった......。

 そんな中...雅が自由にレールを組み変えることが出来る環境に生まれている...。

 そんな状況...現状を恨むことしか出来ず.........その虚しさから...俺は、また逃げ出したんだ......。

 もう耐えきれなかったんだ。

 雅という存在からも..俺という、醜い存在とも...俺の弱虫な性格も...全て、すべてだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

壁穴奴隷No.19 麻袋の男

猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。 麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は? シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。 前編・後編+後日談の全3話 SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。 ※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。 ※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。

新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~

焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。 美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。 スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。 これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語… ※DLsite様でCG集販売の予定あり

娘の競泳コーチを相手にメス堕ちしたイクメンパパ

藤咲レン
BL
【毎日朝7:00に更新します】 既婚ゲイの佐藤ダイゴは娘をスイミングスクールに通わせた。そこにいたインストラクターの山田ケンタに心を奪われ、妻との結婚で封印していたゲイとしての感覚を徐々に思い出し・・・。 キャラ設定 ・佐藤ダイゴ。28歳。既婚ゲイ。妻と娘の3人暮らしで愛妻家のイクメンパパ。過去はドMのウケだった。 ・山田ケンタ。24歳。体育大学出身で水泳教室インストラクター。子供たちの前では可愛さを出しているが、本当は体育会系キャラでドS。

永遠の快楽

桜小路勇人/舘石奈々
BL
万引きをしたのが見つかってしまい脅された「僕」がされた事は・・・・・ ※タイトル変更しました※ 全11話毎日22時に続話更新予定です

処理中です...