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伊勢谷慎二/miu√ 二部
伊勢谷慎二
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伊勢谷慎二という男は、何をしても何を頑張っても、すべてを無に帰すことのできる男だった。すべてを無に帰す男は言った。ここですべてが終われば僕は要らなくなると。だけどその男は飽きらめなかった。自分がどうにかなるのを止めたのだ。しかし男は頑張ったのを褒めなかった。何故なら、それは自分のためにならないから。すべてがやり直しになった世界で男はたった一人頑張ったことを誰にも伝えず、誰に言うこともなくなった。それゆえか、次第に心は曇っていった。
本当にそれでいいのかという疑問さえも男は笑ってごまかそうとした。
そんな男の人生はここでは終わらない。まだ、やるべきことがあるんだと言って聞かせた。だけど、それでも男は報われない。今まで一人で頑張ってきたのを無駄にしちゃうように。男の頑張りはなくなって、それで終わる。そうして男は死んでいくのだ。
「……なあ、僕はどうすればいいと思う?」
「ど、どうって……」
「なあ、どうすれば――」
そこで男は事をやめた。自分が自分で無くなる前に。男は一人港に向かう。約束の場所へ。始まりの場所へ。
本当にそれでいいのかという疑問さえも男は笑ってごまかそうとした。
そんな男の人生はここでは終わらない。まだ、やるべきことがあるんだと言って聞かせた。だけど、それでも男は報われない。今まで一人で頑張ってきたのを無駄にしちゃうように。男の頑張りはなくなって、それで終わる。そうして男は死んでいくのだ。
「……なあ、僕はどうすればいいと思う?」
「ど、どうって……」
「なあ、どうすれば――」
そこで男は事をやめた。自分が自分で無くなる前に。男は一人港に向かう。約束の場所へ。始まりの場所へ。
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