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伊勢谷慎二/miu√

魔人

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「今の圭はもう圭じゃない。それでも、覚悟はあるかい?」

 俺は、この世界でヘレンとあっていた。何故ならこの世界は死後の世界とのはざま――パッチワークフィールドだから。でも、現実世界はどうなっているんだ? まさか――無人? いや、んなわけないか。だったら圭たちもいないもんな。

「圭を止めたいんです――私は。さっきまで圭のところに居ました」
「それって箱の代償なのか? やっぱり」
「はい。箱の代償として償いをしなきゃいけない人間が現れるんです」
「……晴ちゃん」
「でも。伊勢谷さんは十分に償いました。だけど、圭は違う。まだ自分の迷いに、自分が何をしたいのかに迷ってる。だから――止めてあげて、お父さん!」
「分かってる。――全員いるか!」

 半蔵、三国さん、七瀬さん、美雨。そして、晴ちゃんとヘレン。全員いるな。

「我々YIKはこれより最終任務を行う! 総員心してかかれ!!」
「「「了解!!」」」

 これが俺たちの最後の任務だ。圭。すべてが終わったら、またみんなで話そう。お前の好きだった――あの花園で。だから、ちっとばかし痛い思いをしててくれ。悲しい思いをしててくれ。すべてひっくるめて受け止めてやる、ぶち壊してやる。だから――それまで頑張ってくれ!!
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