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伊勢谷慎二/miu√

空想世界

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「おい、美雨」
『はい?』
「やばいことになった」
『ほーお』
「晴ちゃん復活した」
『なんですとおおおお!?』

 その朗報というか、悲報というか……を、聞いて美雨さんは何故かハイテンションになる。まあ、朗報だったかなあ。この様子じゃあね。でも、一ついけないこともある。会わせたらどうなってしまうか、だ。そりゃもちろん大変なことでしょうけど……ねえ。やっぱり二人に会ってもらうのは避けたい。故に、会わせない! 会わせたら世界が崩壊したりしそうだからね。さて。フェルンフェンさんに問い詰めようか。

「これはどういうことですか」
「知らないねえ、しいて言うならシャルルと同じ状態ってわけだ」
「シャルルと……?」
「ああ。そうだ」

 何のことだ……? 確かに、話の中ではジャンヌはリリの幻覚を見たというけど、関係が? あるのか? それと関係が?

「察しの通りだ」
「え?」
「リリの幻覚――あれは世界が乱れて起きたんだよ」
「は、はあ!?」

 衝撃発言。電波発言。とうとう色々な推測が出来るわけだけども。あえてしないでおこう。身のためだ。「わかってるじゃねえか」と聞こえた気もするがほうっておこう。放っておくことにした。触れないでおこう。触らないでおこう。
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