引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。ファイナル

花園圭/helen√

伊勢谷と花園

 どうする。伊勢谷さんには繋がらないぞ、多分。というか、絶対。だって、今は違う世界線にいるから。だからーーだから。絶対に。僕ひとりでなんとかしないと。だけど、どうすればいい？ どうしたらいい？ わからない。いつも、いつもいつも、僕はヘレンに引っ張られて、引っ張られて来たんだ。ひとりでどうにか出来るわけがない。ひとりでどうにかなる問題でもない。故に、残された道は一つ。それは、それはーー

「この世を忘却する」
「は……？」
「仙、世界を忘却するぞ」
「いやいやいやいや、まてよ、待てって！」
「なんだよ」
「なんだよ、じゃねぇよ！なんだ、急に世界を忘却しようって！」

 当然の反応。わかってた。知ってた。だけども、それでも、やらなきゃいけないんだ。世界の忘却。世界の終末を。だけど、伊勢谷さんたちにそれは出来ないだろう。今の彼に箱の力はない。ならば、次期所持者として選ばれた僕か仙の必要がある。箱に願えばいい。世界の終末を。世界の忘却を。なんだーー簡単じゃないか。

「伊勢谷さんたちはどうなんだよ！」
「……朽ちる」
「はぁ！？ ますますわかんねぇ！ わかんねぇよ、てめぇのしたいことが！」
「……」

 仙はそれでいいーーそれで、いいんだ。