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騎士団

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「我らが騎士団だ。心ゆくままに見学するがいい」

 そう言って皇は私を騎士団に迎え入れた。これでよかったのだろうか。そんな疑問すら残るほど綺麗に、跡形もなく。だけど、その決断は間違ってなかったのだと信じてみたい。信じていたい。だから今は、あの箱の奪還が先だ。

ー入団決意2時間前ー

「いいか、ジャンヌ。あいつの箱の力を奪うんだ」
「え…?」
「そいつですべて終わらせられる」
「ど、どういうこと!?」
「あいつの箱の力は過去、未来に干渉できる。最有の未来だけをものに出来るんだ」

 その強大すぎる力を、奪えと彼は言った。その、強力すぎる力を手に入れろと、彼は言った。それを私ができるのだろうか? 考えただけで足がすくむ。足が震える。足が動かない。
 だけど、たった一つ言えるならば、彼は悪くは無い。彼は真実を言っているんだと。そう言うしかないんだーー

「いいか、このフェルンフェンの名にかけてお前にすべてを託す」
「わかり…ました…」

 そう言って、彼は私の元を離れ、どこかへ消えた。おそらく、死んだ仲間への報告に行ったのだろう。当然かえりも兵に捕まる心配があったが、皇が私を気に入り、その仲間であるフェルンフェンには手を加えるなと命令したから、無傷だった。

「その、ありがとうございます。皇太子」
「なに、礼に及ばん」
「だけどーーひとつ気になります」
「ほう? 言ってみろ」
「あなたの持つーーはこの力です」

 辺り一帯が静まり返ったーー
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