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LEVELZEROafterSTORY~Venus Tune~

3005

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「ここなら……」
 そう安心していると、後ろで地響きが聞こえた。
「嘘……でしょ……?」
 ビーストが、追ってきたのだ。じゃあ、芽衣は……
 クっ……!
「なに……あれ……」
 あそこに見えるのは……私……? いや、違う。あれが、『綾瀬綴』だ。じゃあ、私は……? わからない。私が、誰なのか。
「あなたに……この力を……託す……」
 あれ、でも、千佳は死んだんじゃ。そうだ……おかしい。これはおかしい!

 そうして、心の中で叫んだ時、私の目が開いた。
「……夢見てた?」
「え、ええ……」
 何か気に食わない顔を、芽衣はしていた。
「不思議な夢だったなあ……私が、二人いるんだもん」
「違うよ、夢なんかじゃないよ」
 芽衣は、そう言うと、地面に座り込んだ。
「立ち話もあれでしょ? 座りなよ」
 そう言われたから、変に立ち話もあれというのに納得して、私も地面に腰かけた。この場合は、座ったって言う表現のがいいだろうか?
「じゃあ、話すよ。……私たちの事を」
 『私たち』と、彼女は言った。それはつまり……私にも関係ある事だ。

 数年前。
「ああ……やった、ついに完成したぞ……! 魂強制成仏システムに適応した……「綾瀬綴」、「味杭千佳」、「西條芽衣」! 特別感度の高い媒体だ!」
 魔法少女システムの研究に専念し始めた御蔭は、システムの次に、そのシステムに耐えきれる体を求めていた。そして、システムを解析して、他の研究員にクローンを作らせ始めた。
 『試作品』と呼ばれる、私たち三人は、やがて完成した体を与えられた。魔法少女システム……すなわち、魂を強制的に成仏させるクローンとして、最高の体を与えられる。
 そして、私たち三人は何体も何体も、作られていった。
 だが、御蔭はこの三人を作った後に作るなら、戦闘データが欲しい。そう言って、一つの案を提案した。
「記憶は消すが、そのデータを次の媒体に渡そう。渡した後は、そいつのデータは完全にシャットアウトだ」
「し、しかし、それは戦闘データを放棄するということでは……」
「何を言っているんだい? データをそのまま渡すんだ。『データ』だけをな。要は、前のデータを渡し、そいつがさらにデータを渡す。これが本当の永久機関ってやつだよ」
 そうして、純粋な戦闘用のクローンとして作られたのだが……

「やがて、自我を持ち始めた……」
「そう。3005回目のデータの引き継ぎで、その個体に自我が生まれてしまった。それが、今の私たち」
 ……生みの親は、御蔭。少し、私の中に、親を殺していいのか? という感情がわき始めていた。
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