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LEVELZERO

拷問

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「……つ!?」
「よお、おめざめか。化け物」
(どうなってる!? これは!?)
「おめえと居た女は逃がしちまったが、あいつはレベル1っぽいからな」
「……俺をどうすると」
「決まってんだろ? こうすんだ――よっ!!!」

 少年を待ち構えていたのは拷問だった。目的を吐かせ、目的を潰すための。しかし――疑問だった。なぜ自分を殺さないのかを。なぜ、自分を生かしておくのかを。
 本来、自分は殺処分。そう決まっていたはずだったと少年は思い出す。何かがおかしい。そう気づいた時には――遅かった。

「ここはなあ、レベル3以上の奴らが集まってんだ」
「……何のために」
「能力者による支配帝国を作るんだよお!! だからお前が邪魔だった。レベル制度を潰そうとするお前がなぁ!!」
「くらねえなあ!!!」

 しかし、手を縛られ、足を縛られ、身動きが取れなかった。能力の使用に居るのは想像力。しかし――今はそんな状態ですらなかった。今――少年がなすべきことは――

「あいつを――憑をどうしたああああ!!」
「ああ。あの女か。厄介だったんで殺したよ」
「逃がしたんじゃないのか――!?」
「逃がすわけねえだろうが。これからは低ランクの奴らが死に、高ランクの奴が生きる時代になんだよ」

 ばかげてやがる――!! そう思っても、今の少年に出来ることは、無かった。
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