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木山春斗の勇者録/花沢美雨の勇者録

なすべきこと

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「ここが――」
「です」

 神殿に納められている王たちのバビロン。アーサー王の剣の鞘。ネロ皇帝の愛した絵画。そんなものばかりだった。それが、バビロンだった。バビロンエピック。財宝の歴史を話せば長くなるだろう。しかし、ジャンヌの遺産――一つではないという。ジャンダルクの旗。それが盗まれたバビロンである。
 バビロンエモーション。感動的なバビロン。それがジャンヌの遺産への近道となるバビロン達である。

「バビロン回収……難題だね」
「そうなんですよ、難題すぎるんですよ」

 バビロンの回収は――きつい。だって、英雄の伝説となった「試練」を乗り越えた先にあるのがバビロンエピックであるから。つまり――

「世界を穿つ……それが、バビロンエピックへの道……」
「……」

 世界破壊。とてつもないことだ。何故なら、未来がなくなるのだから。遥か永久遥か永劫、地球がなくなるのだから。いや、割れる。世界と地球が割れる。
 そんなことしないでバビロンエピックをする方法はないのか? ない。ジャンヌの遺産のために――世界を壊す。それが無理難題の正体だ。世界を穿ち、世界を壊し、世界を崩壊させる。この、バビロン達で。

「……世界の乖離。飛んだ無茶だな」
「ですね」

 だけど、何とかして見せる。
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