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木山春斗の勇者録/花沢美雨の勇者録

切迫

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こ状況を打開する策は……

「オクタヴィアはどうしたんだ?」
「オクタヴィア?」

 これはーーひょっとするとーー
 「なかった」ことにされている可能性があるな。でも、僕の時代じゃ鑑賞はなかったはずだぞ……?どういうことだ?

「もしかして、ヴィヴィアンさんですか?」
「! そう! ヴィヴィアン!」
「なるほど……過去だけを改変しないで未来を変えたのかもしれません」
「え?」
「わかってるはずですよ。あなたなら」
「箱は自分の意のままに……」
「そうです」

 なるほど。確かにそれならーー
 だがしかし、それで平気なのか? ダメなはずでは…

「ルールを破る臆病者を成敗しましょう」
「うん」

 そう言って僕たち二人は駆け抜けていく。この、薄気味悪い空の下を。
 黒の朝。そう呼ばれるものらしい。年に一度、ジャンヌの子孫ーーそう。オクタヴィアを捧げる儀式。そしてーーヴィヴィアンが今年のーーいや、この年のーー

「木山さん、急ぎましょう」
「うん。僕としても放っておけないからね」

 そう言って僕たちは黒い朝の中を駆け抜け、未来を変えるために動き始めた。
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