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引き勇

疑い

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「……そうか」
「そうなんです……」
 あの後、何とか説得しまくり、今、ようやく和解した。と言っても、一時的なものだけど。
「……まさか、彼女がなぁ……」
「……?」
 社長の知らないところで、彼女はいったい何をしているのだろか。社長すら知らない彼女の行動は、何のために? それとも、隠してまでやらなければいけないことが?
「しかし、うちの会社がブラックだと……?」
「はい……みたいなんです」
「だが、私はちゃんと残業代も何もかも払っているぞ?」
「え……?」
 一体どういうことだ……? 残業代を払っても、ブラック企業と呼ばれるユライは何なんだ? まさか……まさかとは思うが。彼女がそれに関して関与している……?
「彼女が……裏で手を出している……」
 と、僕の発言に付け加えるように、少し幼い、少女の声が聞こえてきた。
「そのようですね」
 !? な、なんだ……晴ちゃんか。
「今、調べました。ECO社の社長秘書、伊東久子。彼女は、どうやら社員に出る残業代を、無理やり奪い、残業を追加しているようです」
「それ……ブラック通り越して、鬼畜じゃないか……!」
 その事実に、社長も怒りを隠せないようだった。
「そうです。だから、早く辞めさせないと……」
「私に手伝えることはないのかね?」
「しゃ、社長さん……?」
 と、言っても、出来ることはだいぶ限られている……社長も一緒に動いてくれるとなると結構楽ではあるが。それでも、僕たちの行動範囲は狭い。
「まず、彼女がなんでこんなことしているか。を、調べないとなぁ……」
 しかし、それをするには、僕や晴ちゃんには無理なのである。
「私じゃ、力になれそうにないですね……」
 彼女の役割は、本来ならば、給料管理、社員管理など。それこそ、社長秘書に近いものだ。それなのに、業務外の事をこなしているあたり、やはりこういう関係の仕事はかなりの得意分野のようで。
「お姉ちゃんに電話を……」
「いや、駄目だ」
 彼女にもちゃんと休んでもらわないと……
「で、ですが……!」
「僕が何とかする」
 とは言ったものの……果たして、何をすればいいのだろう……でも、自分でできないと仕事なんてできない。だからこそ、余計に彼女の手は借りられない。
「社長さん、僕を、一週間だけ、ECO社で働かせてもらえませんか……?」
「何……?」
 さすがに……まずいか……いや、駄目だ。働けないと、この会社に未来はない。どんな過酷な重労働だろうと、耐え抜く。そして、この家畜のような仕事をなくす。
「それで、うちの社員や会社が救われるんだな?」
 こくり。と僕はうなずき、社長に視線を送る。僕じゃないとダメなんだ。僕ではないと。
「いいだろう」
 いいんですか。
「だが、もちろん時給は出ないぞ」
「それはわかっています」
「だが……成功させてくれたのなら、報酬は与えよう」
「……!!」
 やるからには、徹底させて見せる……! この現場をホワイトにしてやる。

――――

「伊勢谷さん……あんなこと言って、何か策はあるんですか?」
「ない!」
「ええ!? そんなことをドヤ顔で言わないでください!!」
 確かに、策はない。だが、考えて動くより、自由に動いた方が、気が楽なのも事実だ。自由に動きながら、ターゲットを追い込んでいく。それが、今の僕にできる精いっぱいだ。
「……分かりました。出来るだけのサポートはします」
「うん、頼むよ」
 彼女がサポートしてくれるのは心強い。むしろ、これ以上の地震などないくらいにだ。さて……勝負は……ここからだ。

―――――

~同時刻~

「ふう……終わったぁ~。これで、残業代も出て、家に帰れるぅ~!」
「……」
「あ、伊東さん、終わりましたよぉ~」
「この残業代は……お預けです」
 女は、仕事終わりの男にそう告げた。残業代の封筒を見せ、それを社長のみが閲覧できる、金庫に詰め込んだ。
「え……?」
「あなたには……これから、この仕事をしてもらいます」
「う、嘘だろ……?」
「さあ、早く」
 女は、男に何かを操るかのように、巧みに洗脳した。そして、男は再び仕事用のデスクに腰を掛ける。そして、手元のパソコンのキーボードをたたき始めた。


―――――

~翌日 午前9時15分~

「さあ……始めようか。社会への叛逆を」
「社会には叛逆しませんよ……するのは秘書さんに対してだけです」
「それもそうだけどさ」
 丁度、そんな話をしているときだった。
 ポケットから伝わる、携帯電話のバイブレーション。あまり見かけない携帯の番号。これは、誰のだったかな。そう思いながら、着信に応じる。恐らくというか、社長しかいないけれども。だからこそ、妙な不信感があった。社長には、何か特別なこと以外では電話しないでください。と言ってあるからだ。これは、あまり連絡を取りすぎると自由に動けなくなるからだ。
「ん……?」
「その番号……社長さんからです?」
「みたいだね」
 まさか、また被害者が? 最近、会社での被害が増えている。注意を呼びかけるが、減るどころか、増える一方である。
『ああ、伊勢谷君かね!?』
「は、はい。そうですが―――」
『至急!! 会社の社長室まで来てくれ!!』
「わ、わかりました!」
 被害者。その三文字が頭をよぎった。今回は、誰が被害にあったのか。そんな事よりも、誰が犯人なのか。今は、後者の気持ちのが強いのが現状である。
 僕は、急いで社長の待つ社長室に向かった。

―――

~同時刻~

「あれ? ボス。伊勢谷さんと晴は?」
「ああ、美雨君か。彼らなら、任務に出ているよ」
 どこかの部屋の個室。そこで、美雨さんは、ボスと名乗る人物に会っていた。彼は恐らくトップに立つ人間だろう。
「こんな朝早くからです?」
「ああ。この任務だ」
「……!? この任務……ボス! 彼らは今どこに!?」
「ああ、彼らなら今―――」


――――

「伊勢谷さん! 先に行っててください!」
「……分かった!」
 流石に、彼女の足じゃついてこれるわけもない。
 僕は、彼女の言うとおりに、彼女を置いて先に行った。
「ええ!?!? 本当に置いて行くんですか!?!?!」
 ……無視しよう。そうしよう。そして僕は再び走り出す。彼女を待っていたら、遅れてしまう。一刻を争う事態なのだから、それは行けない。
 フハハ!! ついてこられるか!! この風を切るような私の音速移動に!!
 ※50m走を19秒が言っています。
「お、音速じゃないですよぉ……」
 まだ、話が通じる範囲にはいる。だが、急がなければ……

――――

~40分前~

「……残業お疲れ様です」
「は、はは……糞も何もねえな……この会社は」
「そうですか? 社長の名前を広めるために貢献しているんですよ? 嬉しくありませんか?」
 女は、また社員を洗脳しようとしていた。仕事に向かう男に、この会社の理念を伝える。
「嬉しいわけねえだろ……こんな会社……やめてやるよ!!」
「やめるんですか? なら、今までの給料。すべてこちらで管理しますね?」
「なにっ……!?」
 貯まりすぎた残業代。それは、もはや脅しにつかえてしまうほどの額が貯まった。その人の一生分の給料。そんな額がおそらく、彼女の手元にあるだろう。その金の使い道、この騒動の意図。全く理解できない。
「いいんですよ? やめても。ただ、家族を養えなくなるだけですしね」
「ふざけんじゃねえぞ……」
 彼女の行ってきた行為だ。
 彼女には罪悪感はおろか、自分がいかに外道な事をしているのかすら理解できていないだろう。
 社員が辞めるといえば、彼女が脅し、再び仕事に就かせる。
 まるで、洗脳のように。
「なら、やめないのが賢明だと思いますがぁ?」
「……分かったよ……やめねえよ……」
「はい。正しい判断ですね」
「だからその代わりに……」
「欲しいですか? そうですよねぇ? 給料が欲しい。なら、働いてくださいよぉ……社長のためにねえ!」
「ちきしょう……俺は、こんなためにこの会社に入ったんじゃ……」
「あ? 何か言いましたか?」
「い、いえ……」
 彼女のやっていることは、日に日にエスカレートしているらしい。早く止めなければ。

――――

~現在~

「ついた!!」
 ついた。社長室は目の前だ。急いでいたためか、ドアを突き破る勢いでタックルする。というか、ドアは突き破ってしまった。ごめんなさい。後で治します。
「社長!!」
 ……? 反応がない?
 うわああああああああああああああああ
 ! 社長の声だ。

『伊勢谷さん! 食堂です! 食堂に来てください!』
 いったい、何が……
 僕は、この時初めて知る。僕に勇者は死んでも勤まらないと……

 僕たちが会社につくと、そこに社長の姿はなく、伊東の姿もなかった。
社長の悲鳴が聞こえる方へ急ぐ僕たちだが、脳内には、すでに最悪の展開が再生されていた。声が聞こえるのは食堂。急ぎ足ではなく、走りで向かう。急げ。急げ。急げ。急げ。足を速め、食堂へ向かう。
「伊勢谷さん、まずいですよ!」
「……?」
 なんだ……? 何があったのか。それだけが心配。
「社長さんから返事がきません!」
「え……?」
 なぜだ? 何故なんだ?
そう言っている間にも、食堂についた。だが、そこにあったのは想定外の出来事だった。目の前に広がる安心感、それと同時に襲ってくる絶望。これは、絶望か。それとも安心か。
「社長……?」
「来てくれたか……」
「これは……一体……?」
 まさか、やはりこの任務の黒幕は社長なのか? そちらの説も浮上してきたが、無いだろう。という自己判断を優先させた。いや、本当に関係ないはずだ。
「逃がしてしまったよ」
「え?」
 逃がしてしまった? 逃がしたの間違いじゃないのか? 今、自己判断でやってしまった。が、それは本当なのだろうか? その自己判断、間違っているのでは?
「伊東君……彼女のしたことはこの目でしっかりと見させてもらったよ」
 社長の目の前で犯行に及ぶ? 馬鹿げている。そもそも、見え見ぬふりをしたのでは? 社長への信頼は、一気に失せていった。
「頼む。一刻も早く、彼女のやっていることを止めてくれ」
「任せてください。その為に来たんですから!」
「伊勢谷さん! 私は彼女を追跡します!」
「頼むよ! 晴ちゃん!」
 彼女に追跡を任せれば、恐らく大丈夫だろう。当てはない。
 さて、一刻も早くこの任務を終わらせたいのだが……どうにも、伊東の足は速いらしく、見つけても逃してしまうだろう。しかし、ここまで逃げ足が速いのは、一般の人間ではありえないだろう。やはり、社長が絡んでいるのか?
「……なんて都合の悪いときに都合のいいように不利な任務が……」
 メタい話は控えよう。そうしよう。どうしようにも、追跡がすべてだ。彼女に、すべてをかけよう。僕は、その裏で、この件の真実を暴く。この手で。(あれ? うちって探偵だっけ?)
「社長。今回の被害者は……」
「ああ……彼だ」
 彼。そう社長の紹介で紹介されたのは、見るも無残な家畜のような奴だった。
「彼が、今回の被害者。橋本博之君だ」
「……金……金をくれよ……なあ、社長さんよぉ!! 金だ! 金をよこせ!!」
 うっ……これは……見てて吐きそうだ。金の亡者……まさにその言葉がふさわしいほどに。
「見ての通り、すっかり金の猛者になってしまった……」
「彼女の犯行……絶対に止めます」
「ああ……頼むよ」
 すっかり時間が過ぎた。かれこれ4時間。彼女に関しての情報は、一切ない。
すっかり諦めていた。晴ちゃんからの連絡もない。まさか、晴ちゃんも――それはないか。何しろ、美雨さんの妹だしね。
「……一か八か……」
 電話を掛ける。相手は――
『あ、もしもし? 伊勢谷さんですか?』
「う、うん……そうなんだけど……」
 電話の相手は、美雨さんだ。もちろん、彼女に応援を頼むためだ。彼女は休みなのだが――今回ばっかりはどうしようもないからな。
『? どうしたんです?』
「今から……任務に参加できるかい?」
『今、ちょうどそっちに向かってます』
 今から? なんで、今の任務について知っているんだ? いろいろ疑問はあるが、それは後で聞けばいい話。僕は、彼女いに現在地、目標到達地点を伝え、任務に戻る―――


~さらに2時間後~

 今はもう夕方だ。
 今日も成果なしか……そう思っていた。その時だった。
 ポケットで鳴り響く携帯電話のバイブレーション。電話してきたのはおそらく――
『あ、伊勢谷さんですか? やりましたよ! ビッグニュースです!』
「ビッグニュース?」
『はい! 彼女の家を特定しました!』
 この子、さりげなくとんでもないことを言っているのである。
この子怖い。そう確信した。やっぱり、この子の腕は本物だ。信頼に値する。ふふ、このまま、俺の右腕として自由を生かせぬまま死んでゆけっ!
「で、彼女の家は……」
『あ、今お姉ちゃんに向かってもらってます!』
 仕 事 が 早 い 
 全く。ここまで来たら、尊敬するレベルである。というか、連携がすごいぞ、この姉妹。もしかして、数時間前の電話で知っていたのも彼女が伝えたものなのか……?
「む? まさか、何か進展が?」
 そう投げかけたのは社長さんだ。もちろん、進展はあった。だが、今彼を信用すると、すべての歯車が止まりそうな気がした。
「はい! 今、彼女の家に仲間が向かってます」
「そ、そうか……」
 ? 反応がおかしい? これが、事件が解決するかもしれないという会社の社長の反応か? そう、疑問が浮かんだのはしばらくたった後だ。やはり関係はあるのだろうか? それとも、何かを隠しているのだろうか?

――――

「ここが彼女の家です?」
『そうだよ!』
「……よし! 飛び込みましょう!」
『ええ!?』
「冗談ですよ」
 彼女たちは、家についたようだ。
家についたところで、彼女を捕まえることは出来るのか?
彼女を捕まえたところで何が出来るのか?
 僕には到底できないようなことを彼女たちは平然とやってのける。
僕に、彼女たちと共に戦う資格はあるのか……?
 今はとりあえず、任務に努めよう……
「伊勢谷さんはまだ社長のところです?」
『みたい』
「そうですか……」
『あ、お姉ちゃん。そろそろ帰ってくるみたい』
 妹はそう言うと、姉は真っ先に服の袖をたくしあげ、拳を構えている。
「帰ってきたところを顔面グーパンで一発KOです!」
『治療代がかかるのはやめて!』
「ごめんなさい……」
 いよいよだ。彼女たちに任せていれば安心だろう。
 だが、その僕の油断が失態につながる。
「……そこでSTOPです」
「あなたは……?」
「YIkの物です」
「YIK……ちっ、勇者とか名乗る変人集団か……」
 YMK、普通に勇者育成協会の略だろうが、もっと他のはなかったのだろうか。か問えば、英語でブレイブなんちゃらとか。あっ、いえ。ナンデモナイデス。
「今、馬鹿にしました?」
「何をですか?」
 会話の中で火花が散る。ように見えた。そんな中、僕と言ったら――
「伊勢谷君、そっちに運んでくれ」
「は、はい!」
 出来ることしかできない……だから、今は社長の仕事を手伝うくらいだ。
「すまないね……何しろ、社員がここ数日で一気に減ったものでね……」
「いえ。手伝えるだけでも光栄に思います」
「そうか……」
 ECO社。ここ数年、一気に頂点に上り詰めたといってもいい会社だ。
だが、その実態は、裏で社員が家畜のような労働をしたうえでの栄光だった。
そんな栄光はいらない。僕にすらわかる。そんな栄光より、正々堂々前に出て、実力で勝負するべきだ。ブラック企業も悪い。だが、今回の一件は、社長が買収をしてることにも問題点を置くべきだ。
「早く……つかまるといいのだが……」
「彼女たちを信じましょう」
 僕は、自分が勇者として半人前の事を後悔した。
彼女たちの仕事量に比べ、僕にできることと言えば……
 勇者。そうな名乗るのには死んでも早い気がした。
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