魑魅の館

ジャンマル

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幽霊に好かれる理由

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 幽霊に好かれる少女の大きな特徴として夜にしか大きな行動ができない、というものがある。そしてこの館の周りは常に太陽の光を失っている。これはたぶん幽霊たちの気の利いた何か特別な力なのだろうか?

「あ、あの」
「はい?」

 彼は見たところ一番最古参であろうここの住民で話を聞いていくと彼がこの子と一番長い付き合いだという。それ故に彼女のことは彼に聞くのが手っ取り早いだろうと。彼女の幽霊と交信する力について聞いてみる。彼、古参妖怪の「化け狐」のシュンいわく彼女の力が発症したのはこの館を訪れたとき。それはかなり小さい時で、彼女自身も記憶はないがその際に何かの拍子に幽霊と触れてしまった。触れてしまったから幽霊が見えるようになった。
 まあ小さいときは誰もが通る見えない友達、みたいなものだというが……それにしたって説明されて納得のしようがない。だが言っていること自体に偽りはないらしい。そして話を聞いていくにつれて少なからず俺にも今は似たような力が目覚めてしまっているのだという。

「それは彼女と接触してから?」
「おそらくは」

 周りの人間にも幽霊の類が見えるようになってしまう……なるほど、彼女が人里離れたこの館で生活している理由が多少は納得できた。だがしかし仮にそんな力で俺まで見えるようになっているのだとしたらこれはずっと続く力になってしまうのだろうか?

「いいえ。今は彼女に影響されて特別霊感が強くなっているだけだと思います」
「ああ、じゃあ変に心配しなくても――」
「だけど、それがもし一か月など普通、になってしまえば話は違うでしょうね」

 それは……長い期間この状態が続けば当然それが普通という感覚になってしまい、見えてしまう、ではなく見えている、になってしまうらしい……
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