魑魅の館

ジャンマル

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妖怪の館

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 そこには見たこともない異形の存在とでも呼ぶべき存在がたくさんいた。その一人一人がれっきとした人外、とでもいうべきか。とりあえず今自分の置かれたこの状態に違和感しか覚えておらずこのたくさんいる彼らがなんなのか。何者なのか。そして彼女はきっと彼らのことを知っているのは間違いない。何しろ――先ほど彼らが来るというのをはっきりと予言していたのだから。
 彼女に彼らについての説明を求めると少し間を置いた後、「驚かない?」と確認を取った後彼らのうちの一人、特に話が出来そうなやつを呼び出し、そして俺に対して説明を始めた。

「彼らはこの館に住み込む妖怪。で、私は彼らを呼び寄せてしまう力があるの」
「それは……昔から?」
「うん。昔から」

 その力がはっきり分かったのはつい最近だというが……妖怪や幽霊といったこの世ならざる者を特に強くこの館は元々新藤家の霊が住み着いており、自分が人間の世界で生きていてしまうと幽霊などを呼び寄せてしまい影響を与えてしまう。なればここでそんな彼らと住み込み共に過ごすことで自分の中の虚無感、というか人間なのに人間として暮らせない……その思いを少しずつ癒していったという。そして彼らと過ごし一か月以上過ぎたとき、彼女の周りはちょっとした百鬼夜行になっていたという。
 そして今現在も俺の周りにその幽霊たちは存在しており、今か今かと何かを待っている。彼女の口ぶりからするに俺をここに住まわせる、なんて可能性もあるわけだが……

「あなたは真実を知りに来た。そうでしょう?」
「あ、ああ。取材に来たんだからな」
「ならここでしばらく過ごしてよ」
「ええ!?」

 それはしばらくここに住み込んでくれ。そうしたら彼らの霊が真実を喋れるようになるから、と。

「幽霊、最初のうちは声も何も聞こえないから」
「それは……親密度を上げろ、と?」
「うん」

 参った……こういってしまうのもあれだけど、正直彼女の言葉を信用しきっているわけではないため断るべきなのだと思うが……しかし、きっと彼女の力もスクープになる。そう思ってしまった時には――俺はいいよ、そうつぶやいてしまっていた。
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