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気味の悪い館
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夏場のことだった。夏休みを迎えた俺は夏休みということもあり少し前から話題になっている噂についての記事を書くためにとある場所へ向かっていた。その場所は少し前、肝試しのためにいろいろな館を歩き回っている小学生たちが話したのが広まり、噂になった。そしてその噂が広まるのと同時くらいの時期に、同じ館の別の噂が話題になった。集団の中で一人だけ、神隠しに会い、自分たちと一緒にいる人物は影武者、ドッペルゲンガーなのかもしれないと。当然でっかい記事を上げたい俺はその噂に食いつくこととなる。館は山奥にあり、当然ライフライン等は通っていないという。
ある程度の日数は遭難してもいいように数日分の水や食料を準備し、キャンプ……にしては少しうす気味悪い場所へ行く。幽霊だとか妖怪だとか……そんなものをあまり信じていない自分にとってはそこまで怖くは感じなかったし、むしろキャンプをやるにはっちょうどいい館かもな。くらいの気持ちだった。
「こんなうわさを信じるのは小学生って感じだよなあ、まあたぶん屋敷は危ないからって誰かが子供を入れないために流した噂なんだろうけどさ」
小規模の新聞会社兼雑誌の記者である自分が一発挙げて、有名にしてやろうと。そういう目論見もあり今回の取材はいつも以上に気合を入れていた。所詮は子供だまし。怖いものはないはずだからな。
「えー、気味悪そうじゃないっすか。ほんとにいくんすか?」
「あぁもちろん。面白そうなものは目の前に転がってるんだから記者として拾わない手はないだろ?」
「まあそうっすけど……まじでやばそうだったら俺その館から家近いんで呼んでください」
ふとここに来る前に後輩の記者としていた会話を思い出す。家が近いとあり、すごい気味が悪いからまじでやばいっすよ。そんなふうに言っていたのを思い出す。怖いもの知らずってもんじゃないっすよ。と続けて注意されたのを思い出す。
館までは自分のうちから約30分ほど。車を飛ばして、限界まで山道を愛車に走らせる。途中、木の枝が異常に多い場所があったが、何とか来るまで行ける限界であろう、深い森の入り口までたどり着いた。時間は昼の十二時半。それにもかかわらずあたり一面は不気味に薄暗く、まるで違う異世界に紛れ込んだのかと疑う雰囲気が漂っていた。
さすがに想像以上に不気味だと自分でも感じ取り車を降りるぎりぎりまで引き返そうか迷っていた。
しかし、不思議なことに森の近くに来てから今日は元気だったはずの愛車が急に元気をなくし、ガソリンがたんまりとあるにも関わらずエンジントラブルで動かなくなってしまった。さすがに帰りにも影響が出るため車から降りた時――怖いもの知らずの自分でも背筋がぞっとした。
夏場で今日は特に暑い日で、車のクーラーもギンギンに冷やしていて最初は体が冷えているのかと思っていたが、次第にこれは体が冷えているのではなく、この場所一体がそもそも涼しいのだと気づいた。
「おいおい、勘弁してくれよ……」
車の調子が戻るまでさすがにのこのこ行ってしまっては帰りに何があるかわからない。車のボンネットを開け、どこがおかしいのか調べる。だがしかし、これといった異常はとくには見当たらず、どうしたものかと途方に暮れていた。
そんな時、ふとボンネットを見るためにかがんでいた腰を伸ばそうと背筋を伸ばした時、車の中に知らない女の子がいるの見えた。迷子だろうか? だけど、こんな森の中で迷子になるということは……うわさを聞きつけ興味本位で来ていた友達とはぐれたか?
「君、こんなところでどうしたの?」
「ねえ、見てみて。あれが館だよ」
先ほどからこの周りは見ているが一面が樹木の森林だったし、館なるものは見えなかったため、少女の言う不可思議な言葉に疑問を隠せずにいたが少女の指さす方向に何かがある、というのは感じ取り少女の指がさす方に視線をやると……
なんということだろうか。先ほどまで見る影もなかった巨大で少し不気味な館がそこには見えていた。
「君……一体なにもの?」
「ふふふ。おじさん、私と遊んでよ」
これが……俺がこの夏体験した恐怖と戦慄の狂気の館での生活の始まりである。
ある程度の日数は遭難してもいいように数日分の水や食料を準備し、キャンプ……にしては少しうす気味悪い場所へ行く。幽霊だとか妖怪だとか……そんなものをあまり信じていない自分にとってはそこまで怖くは感じなかったし、むしろキャンプをやるにはっちょうどいい館かもな。くらいの気持ちだった。
「こんなうわさを信じるのは小学生って感じだよなあ、まあたぶん屋敷は危ないからって誰かが子供を入れないために流した噂なんだろうけどさ」
小規模の新聞会社兼雑誌の記者である自分が一発挙げて、有名にしてやろうと。そういう目論見もあり今回の取材はいつも以上に気合を入れていた。所詮は子供だまし。怖いものはないはずだからな。
「えー、気味悪そうじゃないっすか。ほんとにいくんすか?」
「あぁもちろん。面白そうなものは目の前に転がってるんだから記者として拾わない手はないだろ?」
「まあそうっすけど……まじでやばそうだったら俺その館から家近いんで呼んでください」
ふとここに来る前に後輩の記者としていた会話を思い出す。家が近いとあり、すごい気味が悪いからまじでやばいっすよ。そんなふうに言っていたのを思い出す。怖いもの知らずってもんじゃないっすよ。と続けて注意されたのを思い出す。
館までは自分のうちから約30分ほど。車を飛ばして、限界まで山道を愛車に走らせる。途中、木の枝が異常に多い場所があったが、何とか来るまで行ける限界であろう、深い森の入り口までたどり着いた。時間は昼の十二時半。それにもかかわらずあたり一面は不気味に薄暗く、まるで違う異世界に紛れ込んだのかと疑う雰囲気が漂っていた。
さすがに想像以上に不気味だと自分でも感じ取り車を降りるぎりぎりまで引き返そうか迷っていた。
しかし、不思議なことに森の近くに来てから今日は元気だったはずの愛車が急に元気をなくし、ガソリンがたんまりとあるにも関わらずエンジントラブルで動かなくなってしまった。さすがに帰りにも影響が出るため車から降りた時――怖いもの知らずの自分でも背筋がぞっとした。
夏場で今日は特に暑い日で、車のクーラーもギンギンに冷やしていて最初は体が冷えているのかと思っていたが、次第にこれは体が冷えているのではなく、この場所一体がそもそも涼しいのだと気づいた。
「おいおい、勘弁してくれよ……」
車の調子が戻るまでさすがにのこのこ行ってしまっては帰りに何があるかわからない。車のボンネットを開け、どこがおかしいのか調べる。だがしかし、これといった異常はとくには見当たらず、どうしたものかと途方に暮れていた。
そんな時、ふとボンネットを見るためにかがんでいた腰を伸ばそうと背筋を伸ばした時、車の中に知らない女の子がいるの見えた。迷子だろうか? だけど、こんな森の中で迷子になるということは……うわさを聞きつけ興味本位で来ていた友達とはぐれたか?
「君、こんなところでどうしたの?」
「ねえ、見てみて。あれが館だよ」
先ほどからこの周りは見ているが一面が樹木の森林だったし、館なるものは見えなかったため、少女の言う不可思議な言葉に疑問を隠せずにいたが少女の指さす方向に何かがある、というのは感じ取り少女の指がさす方に視線をやると……
なんということだろうか。先ほどまで見る影もなかった巨大で少し不気味な館がそこには見えていた。
「君……一体なにもの?」
「ふふふ。おじさん、私と遊んでよ」
これが……俺がこの夏体験した恐怖と戦慄の狂気の館での生活の始まりである。
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