ロスト・チューン

それは過去の淀み

3人の魔法少女

 日本にいる主にゼロ世代と呼ばれるいわゆるプロトタイプを扱い私の母、御陰沙希と戦ったのは三人。味杭千佳。御堂院綴。園崎芽衣。三人は魔法少女という過酷な使命を初めから母に仕組まれていた。御堂院綴に関しては母が千佳さんの生体データを極秘に入手し作成したいわゆるクローン。クローンだったのだが......魔法少女として覚醒したのは制作した三体のクローンのうち一体。三体のうち一体はプロトタイプの魔法少女システムに適合出来ずに灰となり、三体目のクローンに関しては現在進行形で千佳さん達と暮らしている。そして二体目に関しては......戦闘の最中母との死闘により死んだ。当初は彼女を三体のうちのオリジナルにする予定だったが、それも叶わずとある医師の手により三体目に記憶だけの移植を施し、亡骸となった残骸は千佳さん達の手によって処分された。

 その後彼女達は運命に翻弄され続けたその使命に三人で共闘し終止符を打った。元々、母に一から魔法少女としての教育を施され続け、完全な魔法少女としての人生をレールに敷かれていた侑奈さんもまた、最終的には千佳さん達と和解し、一から年相応の女の子としての人生をあゆみはじめる......予定だった。
 母は元々とある研究グループの研究を奪い取り魔法少女システムを完成させた。それが因果応報とでも言うべきか、元々の所有していた研究グループの手により改良を施された魔法少女システムは代理戦争をさせられるためだけの人間兵器として姿を変えてしまった。
 彼女達の壮絶な運命は......また、人の手により歯車を狂わされて。だがそれでも抵抗し続けたのが彼女達であり、その成果であるひとつが私との連絡である。

 本来なら私への連絡ルートは途絶えられているはずだったのだ。それは、私が国からは隔離された所に存在していたから。国により、追放されたのだ。だがーー母である御陰沙希の遺言を辿り、彼女達は私とのコンタクトに成功した。