上 下
8 / 33
新たな出会い

解析

しおりを挟む
「赤塚、帰還しました」
「うむ」

 ブラックホール怪人を何とか鹵獲し、帰投した。俺達にはロボットなんてものは無いから自力で連れてくるのは大変だった。ブラックホール怪人、重いし辛かった。そんな俺に対して激励だけして、司令官は司令塔の奥に消えていった。
 司令部についてからは普段からは考えられないほど丁重にもてなされた。不思議な感覚だったが、悪い気はしなかった。自分がまるで偉くなったようなーー

「よくやったな、赤塚」
「え、ええ。ですがなんでこんな?」
「ドジル帝国について知ってるか?」
「ええまあ」

 ドジル帝国の事は説明されている。むしろ知らないことがあるのならそれは司令部の説明不足だ。だが意味深に発言するということは何かあるということだろうか?

「ドジルの技術はこの世界とは別のところから持ち込まれたみたいでな。こいつを解析し、それを解明する」
「なんのために?」
「この国はそんなの……決まってるだろ?」

 意味深に呟いた後、焔崎司令は奥に消えていった。あの瞬間の意味ありげな顔は忘れることはないだろう。怖かった。正直、背筋が凍ると思った。
 しかしそれを追求することは叶わなかった。ドジル帝国はこの世界の技術じゃないものを持ち込んでいる、ということは異世界に関係あるのだろうか……?
 そしてそれを利用して焔崎司令は何をしようとしているんだ……?

 関係ないと思われていたものはひとつずつ歯車を噛み合わせ始めた。そして俺の運命もまたーー動き始めようとしていた。
 ピトフィニアの占いにあった、二つの世界を巻き込んだ大きな戦争が起きようとしているのだろうか……?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】飛行機で事故に遭ったら仙人達が存在する異世界に飛んだので、自分も仙人になろうと思います ー何事もやってみなくちゃわからないー

光城 朱純
ファンタジー
空から落ちてる最中の私を助けてくれたのは、超美形の男の人。 誰もいない草原で、私を拾ってくれたのは破壊力抜群のイケメン男子。 私の目の前に現れたのは、サラ艶髪の美しい王子顔。 えぇ?! 私、仙人になれるの?! 異世界に飛んできたはずなのに、何やれば良いかわかんないし、案内する神様も出てこないし。 それなら、仙人になりまーす。 だって、その方が楽しそうじゃない? 辛いことだって、楽しいことが待ってると思えば、何だって乗り越えられるよ。 ケセラセラだ。 私を救ってくれた仙人様は、何だか色々抱えてそうだけど。 まぁ、何とかなるよ。 貴方のこと、忘れたりしないから 一緒に、生きていこう。 表紙はAIによる作成です。

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

日本

桜小径
エッセイ・ノンフィクション
我々が住む日本国、どんな国なのか?

悪女と呼ばれ王子殿下から婚約破棄された私のお嬢様ですが、隣国の国王陛下が幸せにしてくれます!

有川カナデ
恋愛
私のお嬢様は王子殿下と婚約をしています。少し前まで仲睦まじくしていたのですが、ある男爵令嬢の登場で王子殿下の様子がおかしくなります。しまいにはお嬢様に婚約破棄をつきつけて……。 「良い。余の色を纏うことを許す!」交流パーティーに姿を見せた、隣国の年若い国王様。このひとならもしかしたら、私のお嬢様を幸せにしてくれるのではないでしょうか。 公爵令嬢の侍女による語りです。テンプレ婚約破棄ものです。 いつも通りゆるゆる設定。お楽しみいただけたら幸いです。

薬の知識を手に入れたので、裏稼業でもしてみようか

紅雪
ファンタジー
久々に出社した俺は、後輩と飲みに行くことになった。他の同僚とは都合が合わず、二人だけでの飲みになったわけだが。そこそこの見た目だから、お持ち帰りでもしてやろうかと目論んで。 俺は脂の乗った35歳、普通のサラリーマンだ。ちなみに腹に脂が乗っているわけじゃねぇ、年齢的にって意味だ。まだ遊びたい年頃なんだろう、今のところ結婚も考えて無い。だから、後輩をお持ち帰りしてもなんの問題も無い。 そんな後輩と会社から近い有楽町に、二人で歩いて向かっていると、ろくでもない現場に出くわした。しかも不運な事にその事件に巻き込まれてしまう。何とか後輩は逃がせたと思うが、俺の方はダメっぽい。 そう思ったのだが、目が覚めた事で生きていたのかと安堵した。が、どうやらそこは、認めたくは無いが俺の居た世界では無いらしい。ついでに身体にまで異変が・・・ ※小説家になろうにも掲載

婚約・婚姻関連の短編集

神谷 絵馬
ファンタジー
大分溜まってきたので思い付き短編集から、婚約と婚姻に関連するものをこちらに移すことにしました。 移す作業が終わりましたら、加筆修正を加えたりして完結させ、随時更新していきます。

王妃となったアンゼリカ

わらびもち
恋愛
婚約者を責め立て鬱状態へと追い込んだ王太子。 そんな彼の新たな婚約者へと選ばれたグリフォン公爵家の息女アンゼリカ。 彼女は国王と王太子を相手にこう告げる。 「ひとつ条件を呑んで頂けるのでしたら、婚約をお受けしましょう」 ※以前の作品『フランチェスカ王女の婿取り』『貴方といると、お茶が不味い』が先の恋愛小説大賞で奨励賞に選ばれました。 これもご投票頂いた皆様のおかげです! 本当にありがとうございました!

不幸な一週間 〜『厭〜な』『不幸な』お話短編集〜

櫻庭雪夏
ホラー
【ゾクゾク・モヤモヤしたい人向け】短編連作集 古今東西、現代日本からヨーロッパのおとぎ話風のお話まで、読んでも「楽しくはならない」厭な、不幸な、怖いお話を収録予定!あえて就寝前に読むのもありかもしれない ⭐️収録予定話(仮決定含む) ・何もできない子 ・芸術の国 ・走馬灯 ・彼女の名前は『呪い』の言葉だった ・なぜ、『通報』しなかったのか 順番未定、入れ替わる可能性あり

処理中です...