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新たな出会い

転生

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 気がついたらそこは見たことの無い景色だった。西洋風?な城があるし、日本ではありえない森だったり、更には一面に広がる花畑まで。まるでファンタジーの世界だぞ、ここは……

「すいません」

 わけもわからず混乱してる俺に対して、小さな女の子が話しかけてきた。見た感じは小学生くらいの子だ。……なんでそんな子がこんな所に?

「お兄さん、火を出せるの?」
「えっ?」

 驚いた。確かにメカンジャーとして集められた俺の能力は炎を作り出す能力。空気中の酸素をある程度集中させて、自然発火させるものだ。もちろん集めるだけで発火まではギリギリ出来ないので、ライター等補助は必要だが。まあ、そこはヒーローなのでやりようはある。
 というか、ライター使うくらいなら発火能力よりそっちのが早くない?と言われたこともある。確かにそうだ……

「君、どうして?」
「わたしね!エナジーパワーがみえるの!」
「え…?」

 二度も驚くとは思わなかった。エナジーパワーは体の内側に発生するもの。見える、と言うものでは無いのだ。

「不思議なこと言うね、お嬢ちゃん」
「ほんとだよー!」

 そういうと女の子は花の蜜を吸いに来ていた蝶をひとつまみし、なにやら念じ始めた。

「蝶にはね、自己焼却の能力があるのよ!」
「何を言ってるだ…?さっきから」

 頭がいっぱいいっぱいだ。まだここがどこなのかもハッキリしていないのに。次から次へと……
 頭を叶えながらも女の子のつまんでいる蝶の様子を見る。そしたらーー燃えた。彼女の言うとおり、事故焼却を始めたのだ。

「この世界の蝶はね、外敵を倒すために自らが燃え尽きるの」
「外敵をって……死んだら意味ないじゃないか」
「……群れなんだよ、蝶は」

 途端に彼女の雰囲気が変わる。それはまるで、大人の女性のーー

「あ、ごめんなさい。私これでも20代過ぎてるの。さっきまでのはちょっとからかってただけ」
「え……は?」

 見た目は明らかに小学生だ。だけど彼女は20代後半だという……訳が分からない。ほんとになんなんだ!!!ここは!!!
「なあ、ここはどこなんだ?」

 女の子に問う。この世界のことが分からない限り下手に行動はできない。教えてもらわなければ。その思い出必死だった。

「あらあなたもしかして……なるほどね」

 女の子は背中のカバンからなにやら水晶を取りだし、それを俺の顔に重なるように掲げた。

「よーく見ててね」

 次第に水晶は濁りだし、そして別の空間の映像を映し出した。そしてそこに映っていたのはーー

「ブラックホール怪人!」
「なるほどね。やっぱり」

 水晶は映像をハッキリと最後まで映しきる。そこにはブラックホール怪人の能力によりブラックホールで空間を飛ばされる俺たちメカンジャーの姿があった。

「確証を持てたので言いますね。貴方は異世界へ転生したのです」
「は……?」

 正直心のどこかで苦笑していた。どうせこれ撮影なんだろ?と。だが女の子の神妙な顔を見てそれは変わった。嘘偽りのない真っ直ぐな顔で彼女は俺に告げる。

「単刀直入に言います。この世界を、救ってください」

 ……どうやらヒーローの力が必要らしい。
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