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2部 再起編

Project.38 大好きのために

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「......十六夜、来て」
「んー? はいはい」

 あれからリハビリをしつつ彼は浅篠さんがある程度日常に戻れるようになったら更生施設でしっかりと完全に薬離れをさせるのが今の目標だった。もちろんちゃんとした更生施設だろうが再犯する可能性はある。だけどそこは彼が維持でもずっと止める、ということである。
 付き合ってはないが1度薬に落ちたもの同士で通じるものがきっとあるのだろう。それに彼の元なら安心できると本人たっての希望でもある。なので誰もとめないしちゃんとするならなおのことだ。

 彼女の過酷な人生は真っ暗になり、明るくなり、の繰り返しであった。それ故に経験値もそれと同じくらいに豊富になって行く。モデルだったしアイドル。次は女優すら視野に入れられるほどだ。
 だけども彼女はあくまでもアイドルにこだわる。母のたどり着けなかった景色を見たい。それが彼女の一番の目的であり、夢であるから。幸いにも母は孤独だったが彼女には仲間がいた。薬を止めてくれる仲間もいた。一緒に高みを目指す仲間もいた。......いた、ではなくいる。一度は自分のためにバラバラになった彼らは自分の犯した罪の真実の元にまた自分のために集まった。それはそれまで孤独であればいい。唯我独尊で業界の頭を獲る。そう思っていた彼女の心を変えていった。母のようにはならないと、母と違って一人でやりきれると。そんなプライドの塊みたいな人間が仲間と共にこの境地を乗り越えた。廃人一歩手前だった自分を救ってくれた。その感謝をしなければ彼女は彼らに頭が上がらない。

「謝るくらいならちゃんと復帰して俺達と頂点目指そうぜ」
「......うん」

 そしてまた一から始めるんだ。本当のアイドルを。
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