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2部 再起編
Project.29 身の潔白
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社長さんとの面談が終わり、終わった直後の所感を探偵さんは私に聞いてきた。本当にあの話は合ってると思う?とか本当に信頼できる人間だと感じた?とか。特に意味のなさそうに見える質問だと感じてしまったからか、私は直感でそんなことは無い、と答えてしまった。
だけどその答えを聞くと探偵さんは少し黙り込み、もう一度よく振り返ってみて。私にそう言った。話していた内容におかしい所があるとかそういうのでは決して無いようで、本当にあれだけで信頼出来るか?というのをアイドルをやっていた私に聞いた、ということだろう。
「私としてはあんまし……下にいたい、とは思わないかもしれないです」
「ほう。それは何故?」
「なんだろう。彼から野心って言うんですか? 上を目指したい、って感じは伝わってこなかったので」
直感に任せた感想を率直に伝えた。確かに彼自身は上を目指したい人間を上に目指させるために事務所を作ったとか色々と言ってはいたが肝心の彼に上を目指してもらってどうするか。という明確なプランが見えなかったのだ。それは上司にする人間に求める大事なもので、引っ張ってくれる人間が目的を悟られないようにしてるようでは下の人間は一向に上へ登っていけないのだ。だからこそ彼と浅篠さんの関係は教えてもらった関係とは少しだけ違和感があった。
「彼がグルだという保証は確かにない。でも本当に上を目指してもらう立場の人間がその下にいる人間を売るようなことはしない」
「売る?浅篠さんを?」
「いや。弘子さんのほうだ」
探偵さんの話によると全ての始まりである浅篠弘子に薬のルートを教えたのは社長自身なのだと言う。そして恐らくこれが今回彼がスケープゴートにされた1番の理由だろう。数年前の弘子さんの事件は闇に飲まれて行ったが、浅篠さんの件でまた調査をされればバレてしまう。そう思った組織が社長さんを縦にしたのだろう、という事だった。
つまりは彼は数年前に自分の元でアイドルを目指していた人間を売り、そして今回もそれが穴となって間接的に浅篠さんの芸能界の椅子を弾いたことになると。
「業界の闇はこんなもんじゃない。まあ君はここまでで平気だろう。そろそろ準備する頃合いだろうし」
「準備?なんの?」
「行けばわかるさ。既に集める人間は集めてある。君も向かってくれ」
そう言われ私が渡されたその場所は覚えがあった……小さなライブハウスだ。だけど今日はここお休みのはずじゃ…?
だけどその答えを聞くと探偵さんは少し黙り込み、もう一度よく振り返ってみて。私にそう言った。話していた内容におかしい所があるとかそういうのでは決して無いようで、本当にあれだけで信頼出来るか?というのをアイドルをやっていた私に聞いた、ということだろう。
「私としてはあんまし……下にいたい、とは思わないかもしれないです」
「ほう。それは何故?」
「なんだろう。彼から野心って言うんですか? 上を目指したい、って感じは伝わってこなかったので」
直感に任せた感想を率直に伝えた。確かに彼自身は上を目指したい人間を上に目指させるために事務所を作ったとか色々と言ってはいたが肝心の彼に上を目指してもらってどうするか。という明確なプランが見えなかったのだ。それは上司にする人間に求める大事なもので、引っ張ってくれる人間が目的を悟られないようにしてるようでは下の人間は一向に上へ登っていけないのだ。だからこそ彼と浅篠さんの関係は教えてもらった関係とは少しだけ違和感があった。
「彼がグルだという保証は確かにない。でも本当に上を目指してもらう立場の人間がその下にいる人間を売るようなことはしない」
「売る?浅篠さんを?」
「いや。弘子さんのほうだ」
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