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2部 再起編

Project.25 私の描くアイドル

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 様々なことを探偵さんから聞かされた。芸能界に未練なんてないって、もう戻らないって決めてた。だけど話を聞けば聞くほど出てくるのはあの時解散することを選んだ、私への恨み。浅篠さんへの罪悪感。罪悪感と恨み。きっとそれは私が中途半端にアイドルをやり、真面目にうちこんできた彼女に感じるものがあったからだろう。
 人気者への嫉妬や劣等感。それらは極当たり前の感情であり、芸能界にいる人間ならそれは特に顕著だろう。むしろその感情がない人間は芸能界に残っていないだろう。芸能界ではなく別の道に進むはずだ。そこで芸能界に残った人間というのは上へ上へ上がるためにもがき続けて他人を蹴落としてでも上に行こうとする人間だ。そういう人間が魅せる歌やダンスがもっとも美しいのだろう。
 自分が主役と主張できるのは曲の中でならパフォーマンスとして扱うことが出来る。故にダンスはアイドルをもっとも魅せるものであることに違いはない。

「浅篠和希はきっとそこらのアイドルとは違う。絶対的な自信と自分を一番上手く魅せる方法を彼女は知っている。だからこそ彼女はグループといえどトップアイドル候補と言われてたんだ」
「アイドルとしてもっとも求められるものを全て兼ね備えている......か」

 浅篠さんほどの逸材は今後現れるか分からない。なにより彼女が平成のスーパースターの娘である以上、その背中を見てきた彼女もその器になる資格があるはずだ。後ろめたい気持ちで彼女の気持ちを踏みにじったのは私の方なのかもしれない。

「わかったろ?君がこの件と関係がある、って理由が」
「わかりましたけど......どうすれば?」
「さあな。真実を知ったところで公表したって無駄だしな」

 そうだ。公表した所で世間の目は変わらない。だからこの一件を追いかけるのは言わば自身の欲求を満たすためだけだ。それなのにこの探偵は追いかけ続けている。それはやはり自分が真相を知りたいから?

「俺はさ。思うんだよ。アイドルを本気で応援するなら全てを受け入れるべきって。例えその人に後ろめたい過去があったとしても大事なのは今だ。その時、みんなを笑顔に出来るアイドルとしてのその人だ。だけど......過去を受け入れてこそ本当のその人を知ることが出来る。そうでもあると思うって」
「ファンとしてではなく、浅篠和希本人を助けたい、そういうことですね?」
「そういうこと。理解が早くて助かる」
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