上 下
10 / 43
第1部 高校編

Project.10 これが私たちの。

しおりを挟む
 浅篠さんは歌を最後まで聞いてくれた。その場を動かず最後まで。そして私たちが曲を歌い終えると急に立ち上がりそして宣言した。私たち3人の疲れている様子などまるで見えていないかのように高らかに。

「……なるほど。歌は合格点ね。もちろん歌唱力の話ではないわよ?」
「歌は……ってことは」
「私が歌うことで初めてこの曲は完成する。そうでしょ?」
「はい。この曲は浅篠さんの独奏するソロパートがあって初めて完成します」
「でもあなた達は私がいることを前提にしつつも手を抜かずに歌いきった。というか、だからこそ私がそこに気づいた、って言うべきかしら」

 私たちの評価ではなく歌の評価をし始める。だけどそれはしっかりと私たちのパフォーマンスを見た上での厳しいものだったのも確かだ。参考にできる部分ももちろん多いしだからこそ彼女が本気で見ていてくれたと嬉しい部分もあった。
 そして彼女の方から提案された。私が入ったこの曲をもし大勢の人間が評価できるものであれば私はこのグループに本気で賭けると。

 それはつまり、協力してくれるということであり、入ってくれるということだ。かなり前向きに検討してくれたようで既に彼女がどのタイミングで入ってくるのかとか、ソロパートの直前こうすればもっと映えるとかそんな感じの事を既に話していた。既に会議は始まっていたのだ。

「と……聞いてなかったわね、そう言えば」
「聞いてなかったって?」
「グループ名よ。あなた達の」
「あっ……そういえば……決めてなかったよ!」

 そう聞くと呆れかえりつつ彼女は言ってくれた。目指すべき目標が改めて4人同じになったこと。それを踏まえて彼女が名付けてくれた。


「私たちは……スカイディンギルよ」
「えっ?ディンギルって?」
「シュメール語で神だな…まあその前のスカイはシュメール語じゃないけど」
「あら、あなた詳しいわね」

 そんなこんなで私たち。これからスカイディンギルとして頑張ります。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

プレッシャァー 〜農高校球児の成り上がり〜

三日月コウヤ
青春
父親の異常な教育によって一人野球同然でマウンドに登り続けた主人公赤坂輝明(あかさかてるあき)。 父の他界後母親と暮らすようになり一年。母親の母校である農業高校で個性の強いチームメイトと生活を共にしながらありきたりでありながらかけがえのないモノを取り戻しながら一緒に苦難を乗り越えて甲子園目指す。そんなお話です *進行速度遅めですがご了承ください *この作品はカクヨムでも投稿しております

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

小学生をもう一度

廣瀬純一
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

処理中です...