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第1部 高校編

Project.04 勇気を持てない

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 網谷くんは教室の隅で一人で頑張って曲を作っている様子だった。周りには生徒は愚かあまり音の入らないような防音のアイテムすらあるレベルだった。集中出来ないとかそういうのではないとは思うんだけど......

「えっと、あの」
「......? 誰?」
「軽音部の人にここに作曲できるからって」
「あー......作曲の依頼でもしに来たんですか?」

 やけに話が早く私が言うよりも先に何を目的に来たのか、というのを言い当てられてしまった。それゆえか彼は少しだけ声色をかえつつ帰ってくれませんか。とだけ言い残し別の教室に逃げてしまった。恥ずかしいとかそういう類のものなのか、それとも別の何かなのか。とりあえずあんまししつこくても逆に怒らせてしまうタイプなのだけはわかったし今日は色々と疲れたのもあって撤退することにした。また明日説得したりする動きに出ることにしよう......
 網谷君をスカウトすることが今の時点での大部分の目標である為、彼のスカウトは何としても達成したいものだったし、彼のスカウトで救われるものがいるということを彼がしったら絶対に協力してくれるだろう。謎の自信だったが、自信がなきゃこんな活動続けていけないしこれくらいの気合いの入り方のがなかなかこっちも折れにくいだろう。

 校門を出た時だった。軽音部の早めに帰ってる子が私を見つけたらしく、色々と話を聞かせたい、という事で連絡先を交換することになった。直接お茶でも~という話もあったが私的にはもう今日は帰って寝たいので断ってならSNSで、となった。

 私は家で一人考えながら網谷君をどう説得するのかを考えていたけれど、兎にも角にも彼のことを知らなさすぎるのだ。故にちゃんと気をつけないと地雷を勝手に踏んでいるだろうし慎重にならないと。
 とりあえずは明日考えるとして、身体をあっためて寝ることにした。
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