2 / 43
第1部 高校編
Project.02 あきらめなければ何とかなる
しおりを挟む
私を見てくれた彼女の口から飛び出したのは興味がないという一言。その一言を残し彼女は生徒たちが自然と作っていた彼女の歩くスペースを歩いて教室に入っていった。期待こそ大きすぎたのかもしれないが今は断られた、という事よりも彼女が振り向いてくれたということの方が私にとっては大きかった。
それから放課後になり変わらずアプローチを続けるが事あるごとにすべて断られていった。
しかしそれでもあきらめきれない私はその後も何度かのアプローチを彼女に行うもそのすべてを拒否される。二度目、三度目と回数を重ねるごとに彼女の表情は少しずつ変わっていった。そして数えるのを忘れて大体10数回目。彼女の方から話をしてあげると誘われ近くのカフェに入ることになった。当然彼女からしたらうっとおしい私をいい加減追い払いたい、ということなのだろうけれどそんなことを気にせず私は勧誘を続けようとする。
カフェに入って最初に口を開いたのは彼女の方だった。その口は少しだけお店の明るい雰囲気とは相反していた。
「私はモデル。それはわかってるんだよね?」
「もちろん。だから頼んでるんだよ」
「……モデルだけやってたいんだよ私は」
「でもアイドルやりたかったって聞いたことあるよ……?」
「それは過去の話。今はもう関係ないの」
聞いたことがある、と少し濁したように言ってはいるが本当は彼女が昔雑誌のインタビューでモデルになったきっかけは?と聞かれたときにアイドルを目指そうとしていろいろあってモデルの道に進みました。そう答えたことがあるのである。理由こそ直接聞いてはいないが何かがあり彼女の中でアイドルというものは目指すものではなくなってしまった、と。だけどもしも彼女の気持ちとは別に諦めることを強いられたのだとしたら。諦めなければいけない理由があったのなら。
「そうね……あなたのその何度断られてもアプローチを続けてくる根性に免じて一個だけ条件を出してあげる」
「え?」
今は関係ない。その言葉の後沈黙していた空気を壊したのは彼女の方からだった。条件があるけどそれをもし達成できるほどの本気があるなら一緒にやることを検討してくれる、というものだった。すっかり彼女はこれ以上は無駄、とかいって完全に断ると思っていた私にとってそれはうれしい反面少し怖かった。彼女の考えていることはわからないし、だからこそ怖い。だけどもそれでも私は彼女が勇気を振り絞って条件付きではあるけれど話になってくれるのなら、どんな条件だろうと受け止めるつもりだった。
もちろん私の出来る範囲で。……だけども彼女の出した条件はそんな私の気持ちとは別に、めちゃくちゃに難しい条件を要求した。
「私だけの曲。それをもしあなたが作れるのならば私はあなたのやりたいことに協力してあげる。だけど私が納得のいくものを用意すること。話はそれだけ」
彼女が出した条件はメンバーが今より増える、とかそういうレベルのものとははるかに違う最初からレベルの高さだけを求めるような無茶ぶりだった。
アイドルが作詞も作曲も?私が想像してたものとは違ったこともありその場で少しだけ沈黙する。
彼女だけの曲、それを作ることを条件に彼女はこの場から逃げるようにカフェを出ていった。
「……あっ!? しれっと私のおごり!?」
代金を押し付けるようにふらっと消えていった。今月の給料が少しだけ無駄になったようなむしろ安いような……
とはいえ彼女の納得のいくレベル。となると遊びレベルのものとかそういうものではない正真正銘「本物」の曲なんだろう。要は彼女がもしアイドルをやるならば半端な覚悟では乗らない。最初から本気でやるということだろう。そうと決まれば早速行動するまで。曲作りはどっちにしろ今後ぶつかる課題なんだ。どうせ詰まるなら最初から詰まってやる。
とりあえずはちょっとは詳しい人に聞いてみた方がいいだろう。例えば……そう、例えば軽音部とか。
彼女の想像を超えるような......そう。私ですらワクワクできるような曲を。
それから放課後になり変わらずアプローチを続けるが事あるごとにすべて断られていった。
しかしそれでもあきらめきれない私はその後も何度かのアプローチを彼女に行うもそのすべてを拒否される。二度目、三度目と回数を重ねるごとに彼女の表情は少しずつ変わっていった。そして数えるのを忘れて大体10数回目。彼女の方から話をしてあげると誘われ近くのカフェに入ることになった。当然彼女からしたらうっとおしい私をいい加減追い払いたい、ということなのだろうけれどそんなことを気にせず私は勧誘を続けようとする。
カフェに入って最初に口を開いたのは彼女の方だった。その口は少しだけお店の明るい雰囲気とは相反していた。
「私はモデル。それはわかってるんだよね?」
「もちろん。だから頼んでるんだよ」
「……モデルだけやってたいんだよ私は」
「でもアイドルやりたかったって聞いたことあるよ……?」
「それは過去の話。今はもう関係ないの」
聞いたことがある、と少し濁したように言ってはいるが本当は彼女が昔雑誌のインタビューでモデルになったきっかけは?と聞かれたときにアイドルを目指そうとしていろいろあってモデルの道に進みました。そう答えたことがあるのである。理由こそ直接聞いてはいないが何かがあり彼女の中でアイドルというものは目指すものではなくなってしまった、と。だけどもしも彼女の気持ちとは別に諦めることを強いられたのだとしたら。諦めなければいけない理由があったのなら。
「そうね……あなたのその何度断られてもアプローチを続けてくる根性に免じて一個だけ条件を出してあげる」
「え?」
今は関係ない。その言葉の後沈黙していた空気を壊したのは彼女の方からだった。条件があるけどそれをもし達成できるほどの本気があるなら一緒にやることを検討してくれる、というものだった。すっかり彼女はこれ以上は無駄、とかいって完全に断ると思っていた私にとってそれはうれしい反面少し怖かった。彼女の考えていることはわからないし、だからこそ怖い。だけどもそれでも私は彼女が勇気を振り絞って条件付きではあるけれど話になってくれるのなら、どんな条件だろうと受け止めるつもりだった。
もちろん私の出来る範囲で。……だけども彼女の出した条件はそんな私の気持ちとは別に、めちゃくちゃに難しい条件を要求した。
「私だけの曲。それをもしあなたが作れるのならば私はあなたのやりたいことに協力してあげる。だけど私が納得のいくものを用意すること。話はそれだけ」
彼女が出した条件はメンバーが今より増える、とかそういうレベルのものとははるかに違う最初からレベルの高さだけを求めるような無茶ぶりだった。
アイドルが作詞も作曲も?私が想像してたものとは違ったこともありその場で少しだけ沈黙する。
彼女だけの曲、それを作ることを条件に彼女はこの場から逃げるようにカフェを出ていった。
「……あっ!? しれっと私のおごり!?」
代金を押し付けるようにふらっと消えていった。今月の給料が少しだけ無駄になったようなむしろ安いような……
とはいえ彼女の納得のいくレベル。となると遊びレベルのものとかそういうものではない正真正銘「本物」の曲なんだろう。要は彼女がもしアイドルをやるならば半端な覚悟では乗らない。最初から本気でやるということだろう。そうと決まれば早速行動するまで。曲作りはどっちにしろ今後ぶつかる課題なんだ。どうせ詰まるなら最初から詰まってやる。
とりあえずはちょっとは詳しい人に聞いてみた方がいいだろう。例えば……そう、例えば軽音部とか。
彼女の想像を超えるような......そう。私ですらワクワクできるような曲を。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
私たち、博麗学園おしがまクラブ(非公認)です! 〜特大膀胱JKたちのおしがま記録〜
赤髪命
青春
街のはずれ、最寄り駅からも少し離れたところにある私立高校、博麗学園。そのある新入生のクラスのお嬢様・高橋玲菜、清楚で真面目・内海栞、人懐っこいギャル・宮内愛海の3人には、膀胱が同年代の女子に比べて非常に大きいという特徴があった。
これは、そんな学校で普段はトイレにほとんど行かない彼女たちの爆尿おしがまの記録。
友情あり、恋愛あり、おしがまあり、そしておもらしもあり!? そんなおしがまクラブのドタバタ青春小説!
早春の向日葵
千年砂漠
青春
中学三年生の高野美咲は父の不倫とそれを苦に自殺を計った母に悩み精神的に荒れて、通っていた中学校で友人との喧嘩による騒ぎを起こし、受験まで後三カ月に迫った一月に隣町に住む伯母の家に引き取られ転校した。
その中学で美咲は篠原太陽という、同じクラスの少し不思議な男子と出会う。彼は誰かがいる所では美咲に話しかけて来なかったが何かと助けてくれ、美咲は好意以上の思いを抱いた。が、彼には好きな子がいると彼自身の口から聞き、思いを告げられないでいた。
自分ではどうしようもない家庭の不和に傷ついた多感な少女に起こるファンタジー。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる