Wonder Magic Family

ジャンマル

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交わう四つの「オモイ」

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 ライオンとカカシとブリキ。摩訶不思議な生き物三人を連れている私は……これでもこの地での王族の末裔である。言われないとわからないかもしれないけどね……王様より正式に現国王。改め王妃になる許しを得ている。というか、この国の言い伝えでもはるか未来に現る末裔にこの王位を継承す。そう書いてある。その言い伝えに乗っ取り私が王族継承の儀を経て王妃になる。右も左もわからぬ地で王様になる。その意味を……私は甘く見ていたんだと思う。
「それでは王族継承の儀……向かおうか」
 これから向かうのは代々の国王たちがその王位を受け継ぐにふさわしいか確かめた試練。だがその内容は私には少し厳しく……
「この地に巣くうキマイラを討伐してもらう」
「キマイ……ラ?」
「ああ」
 キマイラ……だけど私はそのキマイラをきっと倒せない。非力故にだ。だが王はこうとも加えた。「王たるものすべてを使いその権力をふるうがいい」と。つまりは……この三人をうまく使い倒せよ、そういうことだった。ブリキは少し不安そうな顔を。カカシは相変わらず不愛想に何も考えてなさそうな顔を。ライオンは今か今かと期待する顔を。個性の強すぎる三人をまとめ上げる。それだけでも私は骨が折れそうなのに……
「だがな、そこのブリキは知っておるぞ。キマイラの弱点を」
「だがしかし協力するかは別だ。その王位、私に正しいものか示せ。さすれば従おう」

 その言葉の意味はきっと素直でまっすぐに、忠誠を誓っても平気かどうかを問う。そういうことだろう。私にできるか不安だけれど……ライオンは私にこういう。己の中にある我の意思。それはふとしたことで覚醒するだろう。そうは言うのだが……私にそんなことが出来るかは不安である。その力を示せ、か……
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