傷者部

ジャンマル

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みつからない

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 警察の話を聞こうにも一向になにがあったのかを掴めない。そもそも、警察がなにがあったのかを理解していない。その時点で既に胡散臭さは出ているし、あろう事か一般人を既に巻き込んでいる以上警察としてもここで調査を打ちきれないだろう。誰かの話を聞きながら誰かの話を聞き流す。そんな態度で大丈夫なのか?とか思ったけどそうだな、さすがに全員に話を聞いている余裕はないと思う。何しろここには今事件発生時周りにいた人間全員が待機させられている状態だ。少しでもなにか行動を起こそうものならたちまち自分の首を占めることになる。しめたあとに自分たちがもう無理だと判断して調査を打ち切ったっていい。でもそれは警察の威厳がかかってるから不可能......わりとここにいる全員が詰んだ状態で待機している。警察も一般人も何かをしようものならその時点で怪しまれ、時間を取られる。ならば大人しく話を聞かれるしかないし、警察も聞くしかない。

 逃げる奴がいればそいつはなにかを知っている。逆に逃げなければ知らんぷりして普通に帰れるだろう。だが事件はそれを許さないほどショッキングだったらしい。死体は見せてもらってこそないが、相当に形が分からないほどにボロボロになっており、自殺の処理をしようにもあまりにも惨すぎる状態らしい......殺人以外の線で処理するのが不自然なほどということなんだろう。だが見せてもらえない。死体を。菜緒は関係者であるにも関わらず北斗に会うことすら許されなかった。

「そんなに酷いんですか?」
「君、何が起こっても取り乱さない?」
「え、まあ......平気だと思いますけど」
「君にだけ見せておこう。親友だったんだってな?」
「ええ、まあ」

 死体を見せてもらうーーそして確信したこれを菜緒に見せては行けないと。ホラーとか猟奇ものに耐性がある俺ですら少し吐き気を催すほど酷いものだった。
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