31 / 69
その気持ち、ちょっと待って
しおりを挟む
「じゃあ菜緒が女装してるのは北斗への親心的なところがあるってこと?」
「はい」
「そっか。なるほどな」
改めて菜緒視点から話を聞いてみると、北斗とはまた違った形の目線で面白さはあったがそれでも共通しているのがお互いに依存していないとやってこれなかった、ということだ。依存という行為自体がおまり良くは無いと思っている俺からすると浮いた話っていうわけではないけど二人がお互いに存在して、求め合っていないと生きてこられなかった、というのは事実なんだろう。そのために、飽きられないために菜緒は沢山尽くしてきたし、北斗はそれに答えていたと。
でも、そんなのがずっと続くはずもなく、高校に入ってから北斗はだんだんと菜緒との距離が見えるようになる。お互いのことを思いながらもその心はすれ違い始めていて、菜緒の依存が激しくなると同時に逆に北斗自身の菜緒への依存度は減っていった。完全に心のバランスがふたりの間で変わり始めていた証拠でもあったんだろう。彼の最後に俺たちに向けた言葉は菜緒をよろしくだったし。
人間は依存すればするほどどこかでタカが外れて本当に取り返しのつかないくらいにおかしくなってしまう。それをすることで大切な人を無意識に傷つけてしまうことをきっと依存してしまっている方は気づかないだろう。
それは菜緒も例外ではない。それだけの話だったと思う。北斗の親が居ないとかそういうのは建前で、自分がズルをしている自覚はあっても求められてしまうとそれがだんだんと嬉しくなってしまう。錯覚……とはちょっと違うのかも。
菜緒自身も人間としては当然のことだと思うし北斗もまた人間としては当然だ。
小学生だった当時の北斗からすれば、菜緒が受け入れてくれなければ孤独に耐えきれなかったはずだし。でも北斗が大人に近づくにつれて、一人でもやっていける。そういうことを示したくなるのもまた人としては当然なんだと。
「君は僕のこと……どう思ってるの?」
「菜緒は優しくされたいのか?」
「それはーー」
「慰めなんて誰でもできる」
「違うよ!誰でもいいわけじゃないよ!」
わかっている。彼の気持ちは。北斗自信が前に話してくれたこともある。だけどズルはしない。ちゃんと菜緒が気持ちと向き合ってからでも遅くない。少なくとも俺はそうした上でまた伝えてくれた方が嬉しいと思った。
「はい」
「そっか。なるほどな」
改めて菜緒視点から話を聞いてみると、北斗とはまた違った形の目線で面白さはあったがそれでも共通しているのがお互いに依存していないとやってこれなかった、ということだ。依存という行為自体がおまり良くは無いと思っている俺からすると浮いた話っていうわけではないけど二人がお互いに存在して、求め合っていないと生きてこられなかった、というのは事実なんだろう。そのために、飽きられないために菜緒は沢山尽くしてきたし、北斗はそれに答えていたと。
でも、そんなのがずっと続くはずもなく、高校に入ってから北斗はだんだんと菜緒との距離が見えるようになる。お互いのことを思いながらもその心はすれ違い始めていて、菜緒の依存が激しくなると同時に逆に北斗自身の菜緒への依存度は減っていった。完全に心のバランスがふたりの間で変わり始めていた証拠でもあったんだろう。彼の最後に俺たちに向けた言葉は菜緒をよろしくだったし。
人間は依存すればするほどどこかでタカが外れて本当に取り返しのつかないくらいにおかしくなってしまう。それをすることで大切な人を無意識に傷つけてしまうことをきっと依存してしまっている方は気づかないだろう。
それは菜緒も例外ではない。それだけの話だったと思う。北斗の親が居ないとかそういうのは建前で、自分がズルをしている自覚はあっても求められてしまうとそれがだんだんと嬉しくなってしまう。錯覚……とはちょっと違うのかも。
菜緒自身も人間としては当然のことだと思うし北斗もまた人間としては当然だ。
小学生だった当時の北斗からすれば、菜緒が受け入れてくれなければ孤独に耐えきれなかったはずだし。でも北斗が大人に近づくにつれて、一人でもやっていける。そういうことを示したくなるのもまた人としては当然なんだと。
「君は僕のこと……どう思ってるの?」
「菜緒は優しくされたいのか?」
「それはーー」
「慰めなんて誰でもできる」
「違うよ!誰でもいいわけじゃないよ!」
わかっている。彼の気持ちは。北斗自信が前に話してくれたこともある。だけどズルはしない。ちゃんと菜緒が気持ちと向き合ってからでも遅くない。少なくとも俺はそうした上でまた伝えてくれた方が嬉しいと思った。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
俺たちの共同学園生活
雪風 セツナ
青春
初めて執筆した作品ですので至らない点が多々あると思いますがよろしくお願いします。
2XXX年、日本では婚姻率の低下による出生率の低下が問題視されていた。そこで政府は、大人による婚姻をしなくなっていく風潮から若者の意識を改革しようとした。そこて、日本本島から離れたところに東京都所有の人工島を作り上げ高校生たちに対して特別な制度を用いた高校生活をおくらせることにした。
しかしその高校は一般的な高校のルールに当てはまることなく数々の難題を生徒たちに仕向けてくる。時には友人と協力し、時には敵対して競い合う。
そんな高校に入学することにした新庄 蒼雪。
蒼雪、相棒・友人は待ち受ける多くの試験を乗り越え、無事に学園生活を送ることができるのか!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イルカノスミカ
よん
青春
2014年、神奈川県立小田原東高二年の瀬戸入果は競泳バタフライの選手。
弱小水泳部ながらインターハイ出場を決めるも関東大会で傷めた水泳肩により現在はリハビリ中。
敬老の日の晩に、両親からダブル不倫の末に離婚という衝撃の宣告を受けた入果は行き場を失ってしまう。
青春ヒロイズム
月ヶ瀬 杏
青春
私立進学校から地元の近くの高校に2年生の新学期から編入してきた友は、小学校の同級生で初恋相手の星野くんと再会する。 ワケありで編入してきた友は、新しい学校やクラスメートに馴染むつもりはなかったけれど、星野くんだけには特別な気持ちを持っていた。 だけど星野くんは友のことを「覚えていない」うえに、態度も冷たい。星野くんへの気持ちは消してしまおうと思う友だったけれど。
【完結】キスの練習相手は幼馴染で好きな人【連載版】
猫都299
青春
沼田海里(17)は幼馴染でクラスメイトの一井柚佳に恋心を抱いていた。しかしある時、彼女は同じクラスの桜場篤の事が好きなのだと知る。桜場篤は学年一モテる文武両道で性格もいいイケメンだ。告白する予定だと言う柚佳に焦り、失言を重ねる海里。納得できないながらも彼女を応援しようと決めた。しかし自信のなさそうな柚佳に色々と間違ったアドバイスをしてしまう。己の経験のなさも棚に上げて。
「キス、練習すりゃいいだろ? 篤をイチコロにするやつ」
秘密や嘘で隠されたそれぞれの思惑。ずっと好きだった幼馴染に翻弄されながらも、その本心に近付いていく。
※現在完結しています。ほかの小説が落ち着いた時等に何か書き足す事もあるかもしれません。(2024.12.2追記)
※「キスの練習相手は〜」「幼馴染に裏切られたので〜」「ダブルラヴァーズ〜」「やり直しの人生では〜」等は同じ地方都市が舞台です。(2024.12.2追記)
※小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、ノベルアップ+、Nolaノベルに投稿しています。
本当の春
あおなゆみ
青春
僕たちは、自分を何と呼べば良いのかも分からない曖昧な存在で、それでも、出会いたいと願う一人がいて、それなのに、出会ってしまえば臆病になって手放す始末だーーー
高校入学に合わせて東京から引っ越してきた西山くんと、クラスに馴染めない浅田さんは、お互いの優しさを頼りに親しくなる。
北海道の本当の春の中、自然と始まった二人の下校時間は、穏やかで、優しい時間だった。
でも、恋とか友情だと断定しない、曖昧な関係を続ける二人には、当たり前のように噂が流れ始めてしまう。
本当の自分が何なのかも分からない不安定さは、穏やかな青春さえも奪ってゆく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる