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昭和90年代のストリップ劇場は2010年代アニソンかかりまくり
9、カード、カード買ってくれ。テープ、テープ売ってくれ。
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三回目公演が終わると、トリの踊り子さんがなぜか大急ぎではけて、本舞台に何やら準備がされていく。
受付で言われたビンゴ大会が始まるらしい。
長机の上に、写真集や小さいながらも高額そうな家電製品、目録などと書かれた封筒が見やすい形で並べられ、
「さーあー、お待んたせいたしましたっ!ビンゴ始めるよーっ」
賑やかなBGMとともに、デカ目の蝶ネクタイをつけ、コールアンドレスポンスと書かれたTシャツを着た踊り子さんがマイク片手に出てきた。
次いでわらわらと今週出ている踊り子さん達も、記録係、雑務1、くじ五時、雑務2、などが書かれたTシャツを来て出てきた。
年齢差はあるが、Tシャツにホットパンツというラフな姿が可愛らしい。
そして、
「はあーい。追加のビンゴカード、ぜひお買い求めくっだたーい」
「買って買ってー」
「パパ買ってー」
「んもっと買ってぇーん」
わざとの舌っ足らずボイスでコールアンドレスポンスシャツを着た踊り子さんが言うと、他の踊り子さんも花道や中央舞台に陣取り、甘えた声で買ってとねだる。
手には束になったビンゴカードが。
男性客達が財布を取り出し、1枚、2枚とビンゴカードを買っていく。
それぞれ贔屓の踊り子さんからカードを買ってるようだが。
なんだナンだと詩帆達がそれを見る。
カードはすでに一枚貰っているが、
「買わなきゃダメなの?」
「あれ?受付で一枚貰ったけど」
買い求める群れから外れたところにいる男性客達が、詩帆の聞きたいことを聞いてくれた。
「んー、一枚でもいいんだけどぉー、いっぱいカードあった方がぁ、そのほうがぁ、当たりやすいっちゃあ当たりやすいかもぬーん」
またわざとらしい口調で踊り子さんがうまいこと言って買うように煽る。
要はお布施変わりでもあるのだ。羽振りの良いところをみせろと。
詩帆もシャオちゃんも最初に貰った一枚があるが、
「じゃあ、一枚だけ追加で買おっか」
「デスネ。スマセーン」
「あいあいー、ありがとー」
適当に、花道にいた記録と書かれたTシャツの踊り子さんからカードを一枚買った。
そうこうしているうちに、
「さてぇ、今回のビンゴ大会ですが、景品、大変豪華にございますんで。なんともまあ頑張って奮発しちゃいました!」
「よっ!太っ腹!」
マイクを通してのコールアンドレスポンスさんの言葉にノリの良い客が声をかける。
どうやら彼女が司会進行らしい。
今時ビンゴって、と詩帆は思ったが、いい感じに盛り上がってはいた。
「さあ、ご紹介していきまっしょうっ。当劇場所属踊り子美麗写真集っ。劇場招待券っ。駄菓子詰め合わせっ。今週出演した踊り子からっていうかアタシからご提供のちょいと前に出したセクシーDVD!」
言いながら司会踊り子が景品を次々紹介していくが、
「年パス年パスっ」
「ございませんっ」
「なんだおい、しけてんなぁ」
客と司会のやり取りに場内から笑いが起こる。
「更にサイン入りシャツ。プラズマクラスタドライヤー。本格ビールサーバー。メンズ用高級化粧水、最新HDDレコーダー」
紹介される景品に、おおーっ、ふむぅー、んんーと客から様々なリアクションがあがる。
最初に宣言した通りなかなかの景品だ。客が多いのはこれ目当てかと思っていると、
「みんな大好き、オトナのおもちゃ」
紹介された景品に、わははと男性客から笑い声が起こる。
日本が世界に誇るホールアイテムだが、
「当たったら困るなあ」
「当てまショー」
「え」
苦笑いする詩帆と対象的に、むしろ当てに行こうとなぜかシャオちゃんが拳を突き上げ張り切る。
「そしておめk、じゃなかったおこめ券」
「ンっ!」
更に定番シモネタと共に紹介された景品に、パタパタパタとシャオちゃんが足裏で床を叩く。
反応したのはシャオちゃんだけだが、お持ち帰りを考えたら詩帆にとっても当たって嬉しいのはあれくらいかと思っていると、
「あたしアレほしいー」
記録と書かれたシャツを着た踊り子さんが言う。
「自炊すんのかよ」
「するよー。米さえアレば」
名言っぽいことを言い、客がおおーっと言うが
「米もねえのかよっ」
コールアンドレスポンスさんのツッこみに笑いが起きる。
「そして今回もご提供頂きました、相坂あいむ姐さんお手製、アニソン大全集っ!」
コールアンドレスポンスさんがケース入りのカセットテープを見せる。
「またかよっ!」
「当たっても聴けねえよっ!」
それに笑い混じりの野次が飛ぶ。
「聴いてもマニアック過ぎてわかんねーって!」
マニアックな選曲なのか、客がそこも野次るが、
「あれホシイ」
「欲しいね」
アニオタ女子二人にとっては、むしろどれぐらいの選曲なのか気になる。
インデックスもおそらく手書きだ。
しかし、いや、でも、と詩帆がすぐ気付く。
「今時テープって」
貰ったところで聴く機器がないが、
「当たってから考えればヨロシ」
「そうだね」
シャオちゃんの言葉に最もだと頷く。
景品は当たりハズレ問わず数が沢山あった。これなら何か一つくらい当たりそうだが。
「さあ、早速参りましょう。まずはー?」
そして、コールアンドレスポンスさんの掛け声とともにビンゴが始まった。
「おっ」
「アラ」
BGMがノリノリなアニソンパラパラになり、詩帆達二人だけが反応する。
「はい、いっくよー。32っ」
本舞台に置かれた小さなモニターを操作し、デジタル数字を表示させる。
それを見て、お客さんは手元のカードを見て、ふむうー、とか、おっ、とか言うが、
「ガラガラジャナイ…」
「残念だね」
ビンゴと言えばスケスケの機械をガラガラ回してボールを出すやつを期待してたシャオちゃんが、少し悲しそうに言う。
が、そんなしょんぼりをよそに番号は次々コールされていく。
「はい、7ー」
「11っ」
「50ー」
コールされるごとに客は手元のビンゴカードをプチプチ押して開けていくが、
「アっ」
シャオちゃんが手を上げかけ、コールさんが、おっ?と反応する。
「ン?んーん」
しかし違ったとシャオちゃんが首を振る。
更にビンゴは続き、番号が読み上げられ、
「オッ。お?」
またシャオちゃんが手を上げかける。
今度こそとコールさんが反応するが、
「ンンーん」
やっぱ違ったと困り笑顔で首を振る。ゴメンナサイと。
「落ち着けよお嬢ちゃんっ」
それに客から笑い混じりの野次が飛び、観客がどっと笑う。
シャオちゃんが頭に手をやり、スミマセンのポーズをとる。
ちょっと恥ずかしかったが詩帆は楽しかった。
そんな客の笑いに乗って、
「まだ誰もリーチ居なーい?」
コールさんの声に、客席からぬんっと数本の手が挙がる。
「結構いんじゃん!黙ってないで言えよ!これ一斉に来るかもねー、みんな準備しとけy、お前もかよ!」
こっそりビンゴに参加してた踊り子さんもリーチ軍として挙手していて笑いが起きる。
そこから2回ほど番号がコールされ、
「ビンゴ」
「ビンゴっ」
「あ、オレもだ」
「ビンゴ!」
受付で言われたビンゴ大会が始まるらしい。
長机の上に、写真集や小さいながらも高額そうな家電製品、目録などと書かれた封筒が見やすい形で並べられ、
「さーあー、お待んたせいたしましたっ!ビンゴ始めるよーっ」
賑やかなBGMとともに、デカ目の蝶ネクタイをつけ、コールアンドレスポンスと書かれたTシャツを着た踊り子さんがマイク片手に出てきた。
次いでわらわらと今週出ている踊り子さん達も、記録係、雑務1、くじ五時、雑務2、などが書かれたTシャツを来て出てきた。
年齢差はあるが、Tシャツにホットパンツというラフな姿が可愛らしい。
そして、
「はあーい。追加のビンゴカード、ぜひお買い求めくっだたーい」
「買って買ってー」
「パパ買ってー」
「んもっと買ってぇーん」
わざとの舌っ足らずボイスでコールアンドレスポンスシャツを着た踊り子さんが言うと、他の踊り子さんも花道や中央舞台に陣取り、甘えた声で買ってとねだる。
手には束になったビンゴカードが。
男性客達が財布を取り出し、1枚、2枚とビンゴカードを買っていく。
それぞれ贔屓の踊り子さんからカードを買ってるようだが。
なんだナンだと詩帆達がそれを見る。
カードはすでに一枚貰っているが、
「買わなきゃダメなの?」
「あれ?受付で一枚貰ったけど」
買い求める群れから外れたところにいる男性客達が、詩帆の聞きたいことを聞いてくれた。
「んー、一枚でもいいんだけどぉー、いっぱいカードあった方がぁ、そのほうがぁ、当たりやすいっちゃあ当たりやすいかもぬーん」
またわざとらしい口調で踊り子さんがうまいこと言って買うように煽る。
要はお布施変わりでもあるのだ。羽振りの良いところをみせろと。
詩帆もシャオちゃんも最初に貰った一枚があるが、
「じゃあ、一枚だけ追加で買おっか」
「デスネ。スマセーン」
「あいあいー、ありがとー」
適当に、花道にいた記録と書かれたTシャツの踊り子さんからカードを一枚買った。
そうこうしているうちに、
「さてぇ、今回のビンゴ大会ですが、景品、大変豪華にございますんで。なんともまあ頑張って奮発しちゃいました!」
「よっ!太っ腹!」
マイクを通してのコールアンドレスポンスさんの言葉にノリの良い客が声をかける。
どうやら彼女が司会進行らしい。
今時ビンゴって、と詩帆は思ったが、いい感じに盛り上がってはいた。
「さあ、ご紹介していきまっしょうっ。当劇場所属踊り子美麗写真集っ。劇場招待券っ。駄菓子詰め合わせっ。今週出演した踊り子からっていうかアタシからご提供のちょいと前に出したセクシーDVD!」
言いながら司会踊り子が景品を次々紹介していくが、
「年パス年パスっ」
「ございませんっ」
「なんだおい、しけてんなぁ」
客と司会のやり取りに場内から笑いが起こる。
「更にサイン入りシャツ。プラズマクラスタドライヤー。本格ビールサーバー。メンズ用高級化粧水、最新HDDレコーダー」
紹介される景品に、おおーっ、ふむぅー、んんーと客から様々なリアクションがあがる。
最初に宣言した通りなかなかの景品だ。客が多いのはこれ目当てかと思っていると、
「みんな大好き、オトナのおもちゃ」
紹介された景品に、わははと男性客から笑い声が起こる。
日本が世界に誇るホールアイテムだが、
「当たったら困るなあ」
「当てまショー」
「え」
苦笑いする詩帆と対象的に、むしろ当てに行こうとなぜかシャオちゃんが拳を突き上げ張り切る。
「そしておめk、じゃなかったおこめ券」
「ンっ!」
更に定番シモネタと共に紹介された景品に、パタパタパタとシャオちゃんが足裏で床を叩く。
反応したのはシャオちゃんだけだが、お持ち帰りを考えたら詩帆にとっても当たって嬉しいのはあれくらいかと思っていると、
「あたしアレほしいー」
記録と書かれたシャツを着た踊り子さんが言う。
「自炊すんのかよ」
「するよー。米さえアレば」
名言っぽいことを言い、客がおおーっと言うが
「米もねえのかよっ」
コールアンドレスポンスさんのツッこみに笑いが起きる。
「そして今回もご提供頂きました、相坂あいむ姐さんお手製、アニソン大全集っ!」
コールアンドレスポンスさんがケース入りのカセットテープを見せる。
「またかよっ!」
「当たっても聴けねえよっ!」
それに笑い混じりの野次が飛ぶ。
「聴いてもマニアック過ぎてわかんねーって!」
マニアックな選曲なのか、客がそこも野次るが、
「あれホシイ」
「欲しいね」
アニオタ女子二人にとっては、むしろどれぐらいの選曲なのか気になる。
インデックスもおそらく手書きだ。
しかし、いや、でも、と詩帆がすぐ気付く。
「今時テープって」
貰ったところで聴く機器がないが、
「当たってから考えればヨロシ」
「そうだね」
シャオちゃんの言葉に最もだと頷く。
景品は当たりハズレ問わず数が沢山あった。これなら何か一つくらい当たりそうだが。
「さあ、早速参りましょう。まずはー?」
そして、コールアンドレスポンスさんの掛け声とともにビンゴが始まった。
「おっ」
「アラ」
BGMがノリノリなアニソンパラパラになり、詩帆達二人だけが反応する。
「はい、いっくよー。32っ」
本舞台に置かれた小さなモニターを操作し、デジタル数字を表示させる。
それを見て、お客さんは手元のカードを見て、ふむうー、とか、おっ、とか言うが、
「ガラガラジャナイ…」
「残念だね」
ビンゴと言えばスケスケの機械をガラガラ回してボールを出すやつを期待してたシャオちゃんが、少し悲しそうに言う。
が、そんなしょんぼりをよそに番号は次々コールされていく。
「はい、7ー」
「11っ」
「50ー」
コールされるごとに客は手元のビンゴカードをプチプチ押して開けていくが、
「アっ」
シャオちゃんが手を上げかけ、コールさんが、おっ?と反応する。
「ン?んーん」
しかし違ったとシャオちゃんが首を振る。
更にビンゴは続き、番号が読み上げられ、
「オッ。お?」
またシャオちゃんが手を上げかける。
今度こそとコールさんが反応するが、
「ンンーん」
やっぱ違ったと困り笑顔で首を振る。ゴメンナサイと。
「落ち着けよお嬢ちゃんっ」
それに客から笑い混じりの野次が飛び、観客がどっと笑う。
シャオちゃんが頭に手をやり、スミマセンのポーズをとる。
ちょっと恥ずかしかったが詩帆は楽しかった。
そんな客の笑いに乗って、
「まだ誰もリーチ居なーい?」
コールさんの声に、客席からぬんっと数本の手が挙がる。
「結構いんじゃん!黙ってないで言えよ!これ一斉に来るかもねー、みんな準備しとけy、お前もかよ!」
こっそりビンゴに参加してた踊り子さんもリーチ軍として挙手していて笑いが起きる。
そこから2回ほど番号がコールされ、
「ビンゴ」
「ビンゴっ」
「あ、オレもだ」
「ビンゴ!」
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