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その声がいつも魂の叫びでありますように
7、職人へなにがしかをあげたい
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たまきと慧のもろこしポップ パーソナリティ 北河たまき/鳴島慧
《北河調理師嘘専門学校プレゼンツ おふくろの味ねこまたぎ風味 一子相伝風味》のコーナーより
鳴島「続いてこちら『私のねこまたぎは、漬物キューカンバーサンドです』」
北河「ほお」
鳴島「えっ!?わかるの?これ」
北河「エっ?はい(笑)」
鳴島「へえーっ!『まずきゅうりの浅漬けを作りますが、それが半端に余ります』」
北河「はいはい(笑)順調にね」
鳴島「予定通りに、すべて計画通りに(笑)『それを、私はマヨラーなのでマーガリンではなくマヨネーズをうにゅにゅと絞った生食パンでサンドしていただきます』」
北河「うにゅにゅ(笑)」
鳴島「うにゅにゅ(笑)『そう!これが!』…すいませんこれ、こっから《キャー》カンバーサンドになってます」
北河「悲鳴になってる(笑)」
鳴島「急に悲鳴(笑)キャーって。えー、で、『そう!これが!漬物キャーカンバーサンドです!家族はきゅうりを挟んだだけのサンドイッチというのが意味不明らしく食べませんが、ちょっとしょっぱいきゅうりのボリボリ食感と生食パンのふわふわが美味しいです』とのことです」
北河「漬物とマヨネーズは合いますよね。和風洋風な感じで。」
鳴島「私これ聞きたいことが山ほどあるんですけども」
北河「はい(笑)悲鳴?」
作家「(笑)」
鳴島「悲鳴はいいです(笑)まずナマ食パンって。そんな言い方ある、の?」
北河「あー、でも食パン生で食べるって言わない?」
鳴島「言わ………、ええー?ああ、でも食パンを焼かないで食べるとうちダメな子って言われた。そう育てられた」
北河「なにそれ(笑)」
鳴島「焼いて食べなさいって言われた」
北河「それはなに?(笑)豚肉生で食うなみたいなこと?」
鳴島「じゃなくて、なんだろう……。教育方針?」
北河「焼いた方が美味しいみたいなことだったんじゃない?」
鳴島「そうかな。モサモサするから?」
北河「あー、味は知ってんだ(笑)」
鳴島「おっきくなってから、食べてみたことはある。おっきくっていうか一人暮らししてから」
北河「(笑)それってなんか、時間ないとか焼くの面倒くさいからってナマで食べた?」
鳴島「あー、そうだぁ」
作家「遅刻遅刻ーって」
鳴島「遅れひゃうー、もふもふーって?やだわ喉詰まるわ(笑)」
北河「(笑)そういうことじゃないの?教育方針。食事の時間ぐらいちゃんと取りなさいみたいな」
鳴島「はあーっ!そうかも!」
北河「今更(笑)」
作家「今更実家の教育方針を理解(笑)」
鳴島「はあーっ!おかあさーんあなたのお教え今理解しました!」
北河「(笑)でもいい食パンだとそのままで食べても美味しいよ?」
鳴島「えー?じゃあうち安い、まずいパンしか買ってなかったのかも」
北河「もうご実家の食費事情が駄々漏れ(笑)」
鳴島「電波に乗せて漏らしまくってますが(笑)まあいいや、で、それであとこれ。きゅー、かん、ばあ?」
北河「キューカンバーサンドね(笑)」
鳴島「これはなに?」
北河「だからきゅうり挟んだサンドイッチ。こう、きゅうりを、薄切りにしたやつを挟んだだけのやつね。きゅうりが主役のサンドイッチ」
鳴島「へえーっ、ヘルシーだね。キューカンバーは何?地名?」
北河「違う!(笑)きゅうりを英語でキューカンバーって言うの!」
鳴島「あっ!そうなんだ!キューバとかのサンドイッチかと思ってた」
北河「(笑)なに?水分多めに欲しいから?」
鳴島「そう!水分補給用の!暑いお国のサンドイッチみたいな」
北河「元々イギリスのアフタヌーンティーとかに出るやつじゃありませんでした?キューカンバーサンドって」
作家「上流階級の」
北河「そうそう」
鳴島「んなっ!?あーもう!全然セレブ様達の食い物じゃった!」
北河「じゃった(笑)」
鳴島「ワシら平民族は到底食えんもんじゃった!」
北河「(笑)いや、アフタヌーンティーはともかくコレは別に家で作れますから」
鳴島「ああ、そうか。きゅうり漬けて」
北河「きゅうり漬けて。余らせて」
鳴島「余らせて(笑)やっすいまっずいパン買って」
北河「それはあなたの懐具合でしょうよ(笑)」
鳴島「そっか(笑)……あ、すいません。こちらメール送ってくれたリスナーさん、もろぽぷネーム」
「……読まれた」
自室にて。ラジオネームまできっちり確認すると、響季は知らずに止めていた息をコンポの前でほうと吐き出す。
いまだにラジオで自分が送ったメールが読まれているという瞬間は緊張してしまうからだ。
読まれるだろうと予想して読まれるのと、読まれるかなと期待して読まれるのとではまた緊張の度合いが違うが。
自分はあんなに送っても読まれなかったのに、零児が草案を出してくれたメールは一発で読まれた。
それなりに話もうまい具合に広がっている。
だがそれらは響季の手柄ではない。
逆上がりが出来ないから補助をしてもらった、ぐらいの力を借りていた。
ラジオネームぐらいは自分で考えたが、キャーカンバーはそのまま気付かず書き写したら笑いに繋がっていた。
うにゅにゅというマヨネーズを絞る擬音笑いも上手く発動した。
零児が狙ってやったことなのか、あるいは時折発動する天然なのかはわからない。
笑いのトラップが発動する法則を熟知しているのか、笑いの神がバックに付いているのかはわからないが、
「敵わんなあ」
メールが次のリスナーに切り替わったタイミングで、響季がぼふ、っとベッドに仰向けに倒れる。
おそらく本来の零児ならもっと面白いネタが書けたはずだ。
しかしこの番組で確実にメールを読まれるため、わざとレベルを下げて狭き門に通りやすくしたのだ。
獰猛な獣の身を屈め、自分を殺し、響季にノベルティグッズをくれてやるために。
「なんか、お礼しとくかな」
借りを返したい、まではいかないが、何かしらしてあげたかった。
だが、それは意外と早く来た。
《北河調理師嘘専門学校プレゼンツ おふくろの味ねこまたぎ風味 一子相伝風味》のコーナーより
鳴島「続いてこちら『私のねこまたぎは、漬物キューカンバーサンドです』」
北河「ほお」
鳴島「えっ!?わかるの?これ」
北河「エっ?はい(笑)」
鳴島「へえーっ!『まずきゅうりの浅漬けを作りますが、それが半端に余ります』」
北河「はいはい(笑)順調にね」
鳴島「予定通りに、すべて計画通りに(笑)『それを、私はマヨラーなのでマーガリンではなくマヨネーズをうにゅにゅと絞った生食パンでサンドしていただきます』」
北河「うにゅにゅ(笑)」
鳴島「うにゅにゅ(笑)『そう!これが!』…すいませんこれ、こっから《キャー》カンバーサンドになってます」
北河「悲鳴になってる(笑)」
鳴島「急に悲鳴(笑)キャーって。えー、で、『そう!これが!漬物キャーカンバーサンドです!家族はきゅうりを挟んだだけのサンドイッチというのが意味不明らしく食べませんが、ちょっとしょっぱいきゅうりのボリボリ食感と生食パンのふわふわが美味しいです』とのことです」
北河「漬物とマヨネーズは合いますよね。和風洋風な感じで。」
鳴島「私これ聞きたいことが山ほどあるんですけども」
北河「はい(笑)悲鳴?」
作家「(笑)」
鳴島「悲鳴はいいです(笑)まずナマ食パンって。そんな言い方ある、の?」
北河「あー、でも食パン生で食べるって言わない?」
鳴島「言わ………、ええー?ああ、でも食パンを焼かないで食べるとうちダメな子って言われた。そう育てられた」
北河「なにそれ(笑)」
鳴島「焼いて食べなさいって言われた」
北河「それはなに?(笑)豚肉生で食うなみたいなこと?」
鳴島「じゃなくて、なんだろう……。教育方針?」
北河「焼いた方が美味しいみたいなことだったんじゃない?」
鳴島「そうかな。モサモサするから?」
北河「あー、味は知ってんだ(笑)」
鳴島「おっきくなってから、食べてみたことはある。おっきくっていうか一人暮らししてから」
北河「(笑)それってなんか、時間ないとか焼くの面倒くさいからってナマで食べた?」
鳴島「あー、そうだぁ」
作家「遅刻遅刻ーって」
鳴島「遅れひゃうー、もふもふーって?やだわ喉詰まるわ(笑)」
北河「(笑)そういうことじゃないの?教育方針。食事の時間ぐらいちゃんと取りなさいみたいな」
鳴島「はあーっ!そうかも!」
北河「今更(笑)」
作家「今更実家の教育方針を理解(笑)」
鳴島「はあーっ!おかあさーんあなたのお教え今理解しました!」
北河「(笑)でもいい食パンだとそのままで食べても美味しいよ?」
鳴島「えー?じゃあうち安い、まずいパンしか買ってなかったのかも」
北河「もうご実家の食費事情が駄々漏れ(笑)」
鳴島「電波に乗せて漏らしまくってますが(笑)まあいいや、で、それであとこれ。きゅー、かん、ばあ?」
北河「キューカンバーサンドね(笑)」
鳴島「これはなに?」
北河「だからきゅうり挟んだサンドイッチ。こう、きゅうりを、薄切りにしたやつを挟んだだけのやつね。きゅうりが主役のサンドイッチ」
鳴島「へえーっ、ヘルシーだね。キューカンバーは何?地名?」
北河「違う!(笑)きゅうりを英語でキューカンバーって言うの!」
鳴島「あっ!そうなんだ!キューバとかのサンドイッチかと思ってた」
北河「(笑)なに?水分多めに欲しいから?」
鳴島「そう!水分補給用の!暑いお国のサンドイッチみたいな」
北河「元々イギリスのアフタヌーンティーとかに出るやつじゃありませんでした?キューカンバーサンドって」
作家「上流階級の」
北河「そうそう」
鳴島「んなっ!?あーもう!全然セレブ様達の食い物じゃった!」
北河「じゃった(笑)」
鳴島「ワシら平民族は到底食えんもんじゃった!」
北河「(笑)いや、アフタヌーンティーはともかくコレは別に家で作れますから」
鳴島「ああ、そうか。きゅうり漬けて」
北河「きゅうり漬けて。余らせて」
鳴島「余らせて(笑)やっすいまっずいパン買って」
北河「それはあなたの懐具合でしょうよ(笑)」
鳴島「そっか(笑)……あ、すいません。こちらメール送ってくれたリスナーさん、もろぽぷネーム」
「……読まれた」
自室にて。ラジオネームまできっちり確認すると、響季は知らずに止めていた息をコンポの前でほうと吐き出す。
いまだにラジオで自分が送ったメールが読まれているという瞬間は緊張してしまうからだ。
読まれるだろうと予想して読まれるのと、読まれるかなと期待して読まれるのとではまた緊張の度合いが違うが。
自分はあんなに送っても読まれなかったのに、零児が草案を出してくれたメールは一発で読まれた。
それなりに話もうまい具合に広がっている。
だがそれらは響季の手柄ではない。
逆上がりが出来ないから補助をしてもらった、ぐらいの力を借りていた。
ラジオネームぐらいは自分で考えたが、キャーカンバーはそのまま気付かず書き写したら笑いに繋がっていた。
うにゅにゅというマヨネーズを絞る擬音笑いも上手く発動した。
零児が狙ってやったことなのか、あるいは時折発動する天然なのかはわからない。
笑いのトラップが発動する法則を熟知しているのか、笑いの神がバックに付いているのかはわからないが、
「敵わんなあ」
メールが次のリスナーに切り替わったタイミングで、響季がぼふ、っとベッドに仰向けに倒れる。
おそらく本来の零児ならもっと面白いネタが書けたはずだ。
しかしこの番組で確実にメールを読まれるため、わざとレベルを下げて狭き門に通りやすくしたのだ。
獰猛な獣の身を屈め、自分を殺し、響季にノベルティグッズをくれてやるために。
「なんか、お礼しとくかな」
借りを返したい、まではいかないが、何かしらしてあげたかった。
だが、それは意外と早く来た。
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