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60 巫女ちゃんはコイバナがしたい

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「そういえば、お兄さんと幽霊ちゃんは付き合ってるんです?」
「いや、そんなことはないぞ」

毎週どころか週3ぐらいの頻度で来る巫女ちゃんが急にそんな話をし始めた。
まあ年齢的に、そういう恋愛話に興味があるのだろう。

「でもちゅーしてましたよね」
「あんなのペットとしてるようなものだろ」

それはそもそもあいつが生気を吸うのが、口からが一番手っ取り早いとかいう謎仕様なのが悪いのだ。
手を握ってとかでもいいらしいが、すさまじく時間がかかる。
肌と肌が触れないといけないから、抱き着いているとかいうことになるとこちらは全裸になるしかないし、全裸はいろいろつらい。さすがに変態である。

「そんなこと聞く巫女ちゃんはどうなんだ? おじさんに話してみなさい」
「おじさんってそんな年ですか?」
「たぶん巫女ちゃんと一回りは違うからな……」

人によってはこれくらい年下でも好みの人間は居るらしいが、正直年下すぎて異性としてかけらも見ることはできない。
ただ生暖かく見守るぐらいしかできないだろう。
一回りも違うと話がそもそも合わないし……

「といっても特にないですよ。学校だって休みがちだし、浮いてるし」
「んー、でも可愛いからモテそうだけどなぁ」

まあ、巫女ちゃんは結構不思議系な感じだし、このくらいの年頃の男にはあまり受けないのかもしれない。
びしっとしていればお堅そうだしなぁ…… 姿勢もすごくいいし。

「そういう話って普通友達とするもんじゃないか? 俺みたいなおじさんに話しても参考にならないぞ。好きな相手が俺ぐらいの年ならまだ使えるかもしれんが」
「でも友達いないですし……」

やばい、地雷を踏んだ。といっても俺もそんなに友達が多い方じゃないから何とも言えない。
微妙な空気が流れる。

「もう少しちゃんと学校行った方がいいんじゃ?」
「すでに浮いてますよ…… 休みがちだし、何度か巫女服でいったから変な子と思われています」
「無茶苦茶浮いてそうだなぁ…… もう大学ぐらいまで我慢するしかないかもな」

そもそも大学に行くかどうかもわからないが……

『何の話してるの?』
「巫女ちゃんが恋バナしたいんだと」
『ボクも興味ある!!!』

テーブルの下から生えてきたこいつが、当然のように俺の膝に座る。

「ちっ、いちゃつきやがって」
「これ、いちゃついているうちに入るのか」

猫のようにぐりぐり頭をなでると楽しそうにキャーキャー言いだす。
せいぜい父と娘だろ、これ。

「いいんです、私もそのうちイケメンの幽霊見つけて使役しますから」
『目指せ逆ハーレムだね!』
「そんな単語どこで覚えてきたんだよ……」

楽しそうに膝ではねるこいつに、巫女ちゃんは親指を立てる。
何がしたいんだかさっぱりわからなかった。
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