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5 幽霊ちゃんは巫女さんがこわい
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日曜日。
休日に休んでいると、家のインターフォンが鳴った。
荷物も届く予定もないし、誰だと思ってカメラを除くと、そこには巫女さんがいた。
そう、巫女さんである。
高校生ぐらいの年齢の巫女さんである。
コスプレっぽいが頭に枝まで挿していて、なかなか本格的である。簪とか言うんだっけか。
小さな紫陽花の花が綺麗に咲いている枝だった。
「えっとどちら様でしょうか」
「神社庁妖課の巫女、神薙といいます。少し、怪奇現象についてお話したくて」
「間に合ってます」
「え、ちょっとま(ガチャッ)」
すさまじく心当たりがあるが、よくわからない人だったし無視することにした。
そもそもあんな若い子上げたら青少年育成条例とかに引っかかりかねない。
綺麗な子だったから美人局の可能性も十分あるし、絶対にあげないことを誓った。
『だれだったの?』
「知らない怪しい人。揚げちゃまずいから無視する」
『怪しいの? なんかこわいねえ』
まあこいつほど怪しいものはいない気がするが。幽霊だし。
なんにしろ無視だ。いきなり来たって相手が本当にそういう人なのか確認できない。
日曜じゃ省庁も閉まっているから確認の問い合わせもできないのだ。
何度かインターフォンを押すがすべて無視する。
諦めて帰るだろう、そう思っていたのだが、どうやら家の前にいるようだ。
「あけてくださいぃ」
涙声で扉をたたき始めた巫女さんかっこかり。
俺は容赦なく110番通報をした。
結局警察官が来て、長いやり取りの末彼女が本当に神社庁妖課とかいう国家機関の所属員であることが判明した。
無茶苦茶面倒だったが、背に腹は代えられない。
事情をちゃんと説明したら、警察官は非常に冷たい目で神薙とか言う巫女さんをにらんでいた。
事前連絡もなく来たら不審者だろうが。しかも身分証とかも持ってないから、確認に非常に手間がかかった。
後日上司の方が謝りに来るという話までついて、警察官は帰っていった。
「で、結局用ってなんなんですか?」
「お宅にたぶん、幽霊がいると思うんですけど……」
「いますよ。今奥でテレビ見てると思います」
「やっぱりいるじゃないですか!!! 警察呼ばなくたっていいでしょ!!」
「知ってるか、一人暮らしのおっさんがあんたみたいな若い子家にあげるとへたすると条例違反で捕まるんだよ。超常現象の前に常識を勉強しろ。ついでに上司にしこたま怒られてこい」
こちらの家族構成とかわかっていなかったのか。男をよこせ男を。そもそも一人暮らしの男の家に女一人で来るな。
そう説教したら涙目でフルフルと震え始めた。
「まあいい。おーい、ちょっとこっちこい」
『んー、終わった?』
「終わってないが、こいつがお前に会いたいんだとさ」
『…… なんで?』
俺の後ろに隠れた。人見知りなのか? フルフルと震えているのが肩に伝わる。
今まで第三者を家にあげたことがなかったから人見知りかどうか知らなかったがそこまでいやか。
「退治しますか?」
『ひぃつ!?』
「いや、人んちの子に勝手に手を出すなよ」
『おにいさあああん!!!』
「でも悪霊ですよね、それ」
「いいからお前はもう帰れ、菓子折りもって上司と明後日またこい」
実際にこいつが何だかはよくわからんが、説明もなく退治しようとするんじゃない。
なんかごちゃごちゃ言っていたが、電話を手に持つと大人しく帰っていった。
幽霊の方は幽霊の方で、結局そのあと俺に引っ付いて離れなくて、若干うっとおしかった。
休日に休んでいると、家のインターフォンが鳴った。
荷物も届く予定もないし、誰だと思ってカメラを除くと、そこには巫女さんがいた。
そう、巫女さんである。
高校生ぐらいの年齢の巫女さんである。
コスプレっぽいが頭に枝まで挿していて、なかなか本格的である。簪とか言うんだっけか。
小さな紫陽花の花が綺麗に咲いている枝だった。
「えっとどちら様でしょうか」
「神社庁妖課の巫女、神薙といいます。少し、怪奇現象についてお話したくて」
「間に合ってます」
「え、ちょっとま(ガチャッ)」
すさまじく心当たりがあるが、よくわからない人だったし無視することにした。
そもそもあんな若い子上げたら青少年育成条例とかに引っかかりかねない。
綺麗な子だったから美人局の可能性も十分あるし、絶対にあげないことを誓った。
『だれだったの?』
「知らない怪しい人。揚げちゃまずいから無視する」
『怪しいの? なんかこわいねえ』
まあこいつほど怪しいものはいない気がするが。幽霊だし。
なんにしろ無視だ。いきなり来たって相手が本当にそういう人なのか確認できない。
日曜じゃ省庁も閉まっているから確認の問い合わせもできないのだ。
何度かインターフォンを押すがすべて無視する。
諦めて帰るだろう、そう思っていたのだが、どうやら家の前にいるようだ。
「あけてくださいぃ」
涙声で扉をたたき始めた巫女さんかっこかり。
俺は容赦なく110番通報をした。
結局警察官が来て、長いやり取りの末彼女が本当に神社庁妖課とかいう国家機関の所属員であることが判明した。
無茶苦茶面倒だったが、背に腹は代えられない。
事情をちゃんと説明したら、警察官は非常に冷たい目で神薙とか言う巫女さんをにらんでいた。
事前連絡もなく来たら不審者だろうが。しかも身分証とかも持ってないから、確認に非常に手間がかかった。
後日上司の方が謝りに来るという話までついて、警察官は帰っていった。
「で、結局用ってなんなんですか?」
「お宅にたぶん、幽霊がいると思うんですけど……」
「いますよ。今奥でテレビ見てると思います」
「やっぱりいるじゃないですか!!! 警察呼ばなくたっていいでしょ!!」
「知ってるか、一人暮らしのおっさんがあんたみたいな若い子家にあげるとへたすると条例違反で捕まるんだよ。超常現象の前に常識を勉強しろ。ついでに上司にしこたま怒られてこい」
こちらの家族構成とかわかっていなかったのか。男をよこせ男を。そもそも一人暮らしの男の家に女一人で来るな。
そう説教したら涙目でフルフルと震え始めた。
「まあいい。おーい、ちょっとこっちこい」
『んー、終わった?』
「終わってないが、こいつがお前に会いたいんだとさ」
『…… なんで?』
俺の後ろに隠れた。人見知りなのか? フルフルと震えているのが肩に伝わる。
今まで第三者を家にあげたことがなかったから人見知りかどうか知らなかったがそこまでいやか。
「退治しますか?」
『ひぃつ!?』
「いや、人んちの子に勝手に手を出すなよ」
『おにいさあああん!!!』
「でも悪霊ですよね、それ」
「いいからお前はもう帰れ、菓子折りもって上司と明後日またこい」
実際にこいつが何だかはよくわからんが、説明もなく退治しようとするんじゃない。
なんかごちゃごちゃ言っていたが、電話を手に持つと大人しく帰っていった。
幽霊の方は幽霊の方で、結局そのあと俺に引っ付いて離れなくて、若干うっとおしかった。
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