1 / 1
もう公爵家から逃げたい
しおりを挟む
公爵家に婿入りしたら仕事が死ぬほど多かった。
元々王国の男爵家の三男坊で王宮で官僚をしていただけなのに、急に公爵家へ引き抜かれ、いつの間にか婿になったのだ。
正直なところを言えば私は妻のことを好きだった。主に外見が。
さすが公爵家というだけあって金髪美人だし、スタイルも凄まじくいいし。そんな女性とうだつの上がらなかった自分が肉体関係になるというだけでもう幸せの絶頂だった。
ただ、妻の方は愛情的な意味で私には興味がなかった。妻の中にあったのは100%政略の事だった。妻は政略を愛していた。
妻の性質がよく表れているのが初夜の彼女の言動だろう。
「愛人はもう準備しているから、そっちとも一人は子供を作ってね」
政略しか興味のない女公爵様に私は正直泣いた。
ここからわかるように、私が外で女を作り子供を作ったのは妻の命令である。
隠れて愛人を作るなんて入り婿の私にできるはずがない。妻の配下だけでなく家臣にだって見張られているわけだし、私の行動範囲は公爵領の首都周辺なのだから隠れて女を作るなんてできるはずもなかった。
そもそも妻が私を愛していなくても私は妻のことを愛していたし、あまり異性に興味がある方ではなかったので愛人など考えつきもしなかったが、妻がそう命じるのならばしょうがない。
愛人に選ばれた彼女は、元娼婦で、妻のお気に入りだった。頭がよく控えめなあたりが妻の好みらしい。
妻としては私に子を作らせて、公爵家の正統の血を引かない公爵家の分家を作りたかったらしい。何かと便利に使えるだろうと。その報酬として、分家を立てるための元となる領地として、実家の男爵家より大きい領地をもらえるのだから、余計断る選択肢がなかった。
そうして私は妻と愛人を作り、公爵家の仕事を必死にこなし、なんだかんだで他人に羨まれる程度には幸せな生活をしていた。
それが狂ったのは妻が亡くなって少し経った時だ。娘を産んだ後、体調を崩した妻は娘が3歳の時に亡くなった。
亡き妻の遺言により私は公爵代行になり、後妻に愛人を迎えた。どうやら妻は自分が亡くなった時の公爵夫人代行に適切ということで私の愛人を選んでいたらしい。
本当に政略を愛していたのだろう。少しずつ弱りながらも遺言を残したり生前に手回しすることで、次期公爵が3歳にもかかわらず何のトラブルもなく公爵家の引継ぎは完了した。
妻が亡くなったのは悲しい出来事であったが、彼女の準備により亡くなってすぐは何らトラブルがなかった。
トラブルが起き始めたのは、妻の生んだ娘が物心つき、ああだこうだとやり始めたころだった。
まず、木っ端の家臣たちの言うことを信じた娘が、私が妻を裏切り暗殺し、愛人を後妻に迎えたとそのまま信じ始めたことだ。愛人が妻の意向で選ばれたことも、愛人を後妻に迎えることも妻の命令であり、ある程度以上の地位の家臣はそれを重々承知している。
御屋形様に振り回されて大変でしたね、と労ってくれる者も少なくない。
だが、客観的に見れば入り婿なのに結婚直後に愛人を作り、妻が産後体調を崩したら愛人のところに入り浸り子供まで作り、(これも愛人と子供ができるまで帰ってくるなと妻に追い出されただけである。悲しい)妻が亡くなれば即愛人を後妻に迎えたということである。
客観的にクソ野郎では? と思う。私でもそう思う。正直泣いた。
でも妻の政略に対する情熱と知識を私は信用していたし、何より妻が残してくれたものと思うととても違う選択は取れなかった。後妻になってくれた彼女も私が妻を思い続けるのは許してくれたし、外から何を言われようと譲るつもりはなかった。
だがそれで妻の産んだ方の娘がぐれたのだからたまったものではない。不潔といわれて私に一切近寄らなくなった。本当に泣いた。まあそういう気持ちになるのはやむを得ないし私は距離を置いたのだが、彼女はなぜか彼女のシンパなはずの博役の者たちとも距離を取り、よくわからない顔だけの連中を側近として寵愛を始めた。これはまずいと博役の者も私も妻と諫言するのだが、娘は一切聞く耳を持たなかった。
妻が生んだ娘の不満は婚約者にもあったようだ。王家との結婚も妻が生前決めたもので、そのため幼いながらも彼女には王太子という婚約者がいた。
見た目は極上だが中身は平凡な彼は、身分が彼女より高いせいか彼女にすさまじく嫌われていた。中身が平凡でセンスがいささか悪いが、娘が取り巻きにしている連中よりは余程見た目も性格も能力も高いと思うのだが、娘にとっては許せないようであった。
また公爵家の仕事もろくにしなかった。次期公爵、というか幼いながらすでに名目上公爵の娘がする仕事はそこそこあった。書類仕事などなら代行である私が全てすればいいが、顔見世や挨拶はどこの馬の骨とも知れない私より名目上の公爵である娘の方が向いているのだ。だがそういったことは一切せず、とはいえ遊び惚けているわけでもなく、時々印璽を使って訳の分からないお触れをばらまくのだから迷惑極まりなかった。怠惰な無能ならやりようがあるが、勤勉な無能は本当に扱いに困った。
そうして仕事を無茶苦茶にかき回し、婚約者ともうまくいかず、学業の成績だけいいためプライドが高いという無駄にヤバい娘が完成した。
親としていろいろ手を尽くしてきたがもう無理だと思った。あとは廃嫡して私が娘の面倒を見つつ、実務は後妻との子供である娘に引き継ぐことまで考えていた。
だが、家臣団が廃嫡を拒否した。公爵代行とはいえ何でも公爵と同じようにできるわけではなく廃嫡のような重要な決定は当たり前だが重臣たちの合議で決まる。彼女に無視され迷惑を一番かけられてきたのは重臣たちであるためてっきり廃嫡の決定をするかと思いきや、もうしばらく待ってみようという結論しか出なかった。
これはどうせ彼女は王家に嫁ぐというのがあっただろう。ずっと主君ならやめてほしいが、成人すれば王家に嫁ぐのだ。そして自分たちは王家の直属の臣になり、代官家として私たちがやる予定であった。しばらく待てば彼女もいなくなるし、という考えである。この王家との契約も私の妻である前公爵が取り決めたものであったからという理由も会っただろう。亡き今でも前公爵への信頼が厚いのだ。
こうしてごまかしなだめすかしてさてそろそろ結婚も見えてくるかというときに、王太子がやらかした。婚約破棄をしたのだ。
あの時私は思った。あー、我慢しきれなかったか。と。彼は周りを、娘を、王をすべて見下していた。
うちの娘にも王にも虐げられていたのだから、爆発して自己保身を考えないトラブルを起こす可能性は確かにあったが、そのような事態は王家側が止めてくれると考えていたのだ。だが、彼の王を見る目を見る限り、そういうこともなかったようだ。
「だから言ったでしょ、父さん」
後妻の娘がそういうのを聞いて、彼女からのアドバイスを聞き流した自分を恥じた。
婚約破棄された娘も予想外の行動に出た。何と公爵領に戻らず隣国の王太子に婚約者として行ってしまったのだ。当然私にも重臣たちにも何ら相談もなくである。
今まで娘のことを見ていたからまあそんなもんだろうなと思ったが、当然今までの仕打ちも相まって重臣たちは見捨てられたと解釈した。こうなってしまえば公爵家が娘を認めることは永久にないだろう。仮に継承戦争で隣国が勝っても娘が公爵家に戻ってこれる可能性は著しく低い。戻ってこれるとしたら公爵家の家臣たちをほぼ皆殺しにしないといけないだろうが、それをやって公爵領を治められるはずもない。
そうすると新しく公爵を選び出さないといけないわけだが、それもめんどくさい。分家である家臣の家から連れてくるのが手っ取り早いが優秀なのは各家が手放したがらないし、無能が来られても困るし、候補者が碌にいなかった。
いちど、私が離縁し、再度分家の姫をもらって公爵を子に引き継ぐという提案もあったがそれは断った。
今の妻も前公爵である前の妻が選んでくれた相手だし、長年付き添って情もある。それを捨てて新しい姫をもらってもうまくやれる自信もないし、そもそも年齢差もある。
そんなこんなで悩んでいると、後妻の娘がとんでもない爆弾を連れてきた。廃嫡された元王太子である。
「顔と性格が気に入ったから拾ってきた」
とまるで捨て猫でも拾ってきたかのように廃太子のことを紹介する娘。一応娘にも分家から婿をもらって公爵家を新しく建てるプランがあり、娘が気に入った相手がいればその方向で調整することも考えていたのだが、そのプランもついえた瞬間であった。なんせ娘は女の顔でその廃太子を見ていたのだから。これは絶対引き離すことはできないだろう。私はいろいろな意味で泣いた。
結局隣国が責めてきそうというのもあり、筆頭家臣であった分家の当主がそのまま公爵に横滑りをすることになったが、なぜか私は公爵代行のままである。筆頭家臣は自分の家の事しかやってくれない。
すでに公爵家周辺でも王家周辺でもトラブルが頻発しており、特に廃太子が大きな爆弾になっている。
だが娘が結婚すると譲らず、なんだかんだで愛想を振りまき続けてきたせいで明らかにトラブルと分かっているにもかかわらず他の家臣からも娘を支持する声が大きいため、否定することも難しい。
娘たちももう自分の道を歩み始めたし、もう全部捨てて逃げたくなってきたが、前の妻と今の妻へのことを考えるとそれも難しく、渋々公爵代行の仕事を続けるしかできないのであった。
元々王国の男爵家の三男坊で王宮で官僚をしていただけなのに、急に公爵家へ引き抜かれ、いつの間にか婿になったのだ。
正直なところを言えば私は妻のことを好きだった。主に外見が。
さすが公爵家というだけあって金髪美人だし、スタイルも凄まじくいいし。そんな女性とうだつの上がらなかった自分が肉体関係になるというだけでもう幸せの絶頂だった。
ただ、妻の方は愛情的な意味で私には興味がなかった。妻の中にあったのは100%政略の事だった。妻は政略を愛していた。
妻の性質がよく表れているのが初夜の彼女の言動だろう。
「愛人はもう準備しているから、そっちとも一人は子供を作ってね」
政略しか興味のない女公爵様に私は正直泣いた。
ここからわかるように、私が外で女を作り子供を作ったのは妻の命令である。
隠れて愛人を作るなんて入り婿の私にできるはずがない。妻の配下だけでなく家臣にだって見張られているわけだし、私の行動範囲は公爵領の首都周辺なのだから隠れて女を作るなんてできるはずもなかった。
そもそも妻が私を愛していなくても私は妻のことを愛していたし、あまり異性に興味がある方ではなかったので愛人など考えつきもしなかったが、妻がそう命じるのならばしょうがない。
愛人に選ばれた彼女は、元娼婦で、妻のお気に入りだった。頭がよく控えめなあたりが妻の好みらしい。
妻としては私に子を作らせて、公爵家の正統の血を引かない公爵家の分家を作りたかったらしい。何かと便利に使えるだろうと。その報酬として、分家を立てるための元となる領地として、実家の男爵家より大きい領地をもらえるのだから、余計断る選択肢がなかった。
そうして私は妻と愛人を作り、公爵家の仕事を必死にこなし、なんだかんだで他人に羨まれる程度には幸せな生活をしていた。
それが狂ったのは妻が亡くなって少し経った時だ。娘を産んだ後、体調を崩した妻は娘が3歳の時に亡くなった。
亡き妻の遺言により私は公爵代行になり、後妻に愛人を迎えた。どうやら妻は自分が亡くなった時の公爵夫人代行に適切ということで私の愛人を選んでいたらしい。
本当に政略を愛していたのだろう。少しずつ弱りながらも遺言を残したり生前に手回しすることで、次期公爵が3歳にもかかわらず何のトラブルもなく公爵家の引継ぎは完了した。
妻が亡くなったのは悲しい出来事であったが、彼女の準備により亡くなってすぐは何らトラブルがなかった。
トラブルが起き始めたのは、妻の生んだ娘が物心つき、ああだこうだとやり始めたころだった。
まず、木っ端の家臣たちの言うことを信じた娘が、私が妻を裏切り暗殺し、愛人を後妻に迎えたとそのまま信じ始めたことだ。愛人が妻の意向で選ばれたことも、愛人を後妻に迎えることも妻の命令であり、ある程度以上の地位の家臣はそれを重々承知している。
御屋形様に振り回されて大変でしたね、と労ってくれる者も少なくない。
だが、客観的に見れば入り婿なのに結婚直後に愛人を作り、妻が産後体調を崩したら愛人のところに入り浸り子供まで作り、(これも愛人と子供ができるまで帰ってくるなと妻に追い出されただけである。悲しい)妻が亡くなれば即愛人を後妻に迎えたということである。
客観的にクソ野郎では? と思う。私でもそう思う。正直泣いた。
でも妻の政略に対する情熱と知識を私は信用していたし、何より妻が残してくれたものと思うととても違う選択は取れなかった。後妻になってくれた彼女も私が妻を思い続けるのは許してくれたし、外から何を言われようと譲るつもりはなかった。
だがそれで妻の産んだ方の娘がぐれたのだからたまったものではない。不潔といわれて私に一切近寄らなくなった。本当に泣いた。まあそういう気持ちになるのはやむを得ないし私は距離を置いたのだが、彼女はなぜか彼女のシンパなはずの博役の者たちとも距離を取り、よくわからない顔だけの連中を側近として寵愛を始めた。これはまずいと博役の者も私も妻と諫言するのだが、娘は一切聞く耳を持たなかった。
妻が生んだ娘の不満は婚約者にもあったようだ。王家との結婚も妻が生前決めたもので、そのため幼いながらも彼女には王太子という婚約者がいた。
見た目は極上だが中身は平凡な彼は、身分が彼女より高いせいか彼女にすさまじく嫌われていた。中身が平凡でセンスがいささか悪いが、娘が取り巻きにしている連中よりは余程見た目も性格も能力も高いと思うのだが、娘にとっては許せないようであった。
また公爵家の仕事もろくにしなかった。次期公爵、というか幼いながらすでに名目上公爵の娘がする仕事はそこそこあった。書類仕事などなら代行である私が全てすればいいが、顔見世や挨拶はどこの馬の骨とも知れない私より名目上の公爵である娘の方が向いているのだ。だがそういったことは一切せず、とはいえ遊び惚けているわけでもなく、時々印璽を使って訳の分からないお触れをばらまくのだから迷惑極まりなかった。怠惰な無能ならやりようがあるが、勤勉な無能は本当に扱いに困った。
そうして仕事を無茶苦茶にかき回し、婚約者ともうまくいかず、学業の成績だけいいためプライドが高いという無駄にヤバい娘が完成した。
親としていろいろ手を尽くしてきたがもう無理だと思った。あとは廃嫡して私が娘の面倒を見つつ、実務は後妻との子供である娘に引き継ぐことまで考えていた。
だが、家臣団が廃嫡を拒否した。公爵代行とはいえ何でも公爵と同じようにできるわけではなく廃嫡のような重要な決定は当たり前だが重臣たちの合議で決まる。彼女に無視され迷惑を一番かけられてきたのは重臣たちであるためてっきり廃嫡の決定をするかと思いきや、もうしばらく待ってみようという結論しか出なかった。
これはどうせ彼女は王家に嫁ぐというのがあっただろう。ずっと主君ならやめてほしいが、成人すれば王家に嫁ぐのだ。そして自分たちは王家の直属の臣になり、代官家として私たちがやる予定であった。しばらく待てば彼女もいなくなるし、という考えである。この王家との契約も私の妻である前公爵が取り決めたものであったからという理由も会っただろう。亡き今でも前公爵への信頼が厚いのだ。
こうしてごまかしなだめすかしてさてそろそろ結婚も見えてくるかというときに、王太子がやらかした。婚約破棄をしたのだ。
あの時私は思った。あー、我慢しきれなかったか。と。彼は周りを、娘を、王をすべて見下していた。
うちの娘にも王にも虐げられていたのだから、爆発して自己保身を考えないトラブルを起こす可能性は確かにあったが、そのような事態は王家側が止めてくれると考えていたのだ。だが、彼の王を見る目を見る限り、そういうこともなかったようだ。
「だから言ったでしょ、父さん」
後妻の娘がそういうのを聞いて、彼女からのアドバイスを聞き流した自分を恥じた。
婚約破棄された娘も予想外の行動に出た。何と公爵領に戻らず隣国の王太子に婚約者として行ってしまったのだ。当然私にも重臣たちにも何ら相談もなくである。
今まで娘のことを見ていたからまあそんなもんだろうなと思ったが、当然今までの仕打ちも相まって重臣たちは見捨てられたと解釈した。こうなってしまえば公爵家が娘を認めることは永久にないだろう。仮に継承戦争で隣国が勝っても娘が公爵家に戻ってこれる可能性は著しく低い。戻ってこれるとしたら公爵家の家臣たちをほぼ皆殺しにしないといけないだろうが、それをやって公爵領を治められるはずもない。
そうすると新しく公爵を選び出さないといけないわけだが、それもめんどくさい。分家である家臣の家から連れてくるのが手っ取り早いが優秀なのは各家が手放したがらないし、無能が来られても困るし、候補者が碌にいなかった。
いちど、私が離縁し、再度分家の姫をもらって公爵を子に引き継ぐという提案もあったがそれは断った。
今の妻も前公爵である前の妻が選んでくれた相手だし、長年付き添って情もある。それを捨てて新しい姫をもらってもうまくやれる自信もないし、そもそも年齢差もある。
そんなこんなで悩んでいると、後妻の娘がとんでもない爆弾を連れてきた。廃嫡された元王太子である。
「顔と性格が気に入ったから拾ってきた」
とまるで捨て猫でも拾ってきたかのように廃太子のことを紹介する娘。一応娘にも分家から婿をもらって公爵家を新しく建てるプランがあり、娘が気に入った相手がいればその方向で調整することも考えていたのだが、そのプランもついえた瞬間であった。なんせ娘は女の顔でその廃太子を見ていたのだから。これは絶対引き離すことはできないだろう。私はいろいろな意味で泣いた。
結局隣国が責めてきそうというのもあり、筆頭家臣であった分家の当主がそのまま公爵に横滑りをすることになったが、なぜか私は公爵代行のままである。筆頭家臣は自分の家の事しかやってくれない。
すでに公爵家周辺でも王家周辺でもトラブルが頻発しており、特に廃太子が大きな爆弾になっている。
だが娘が結婚すると譲らず、なんだかんだで愛想を振りまき続けてきたせいで明らかにトラブルと分かっているにもかかわらず他の家臣からも娘を支持する声が大きいため、否定することも難しい。
娘たちももう自分の道を歩み始めたし、もう全部捨てて逃げたくなってきたが、前の妻と今の妻へのことを考えるとそれも難しく、渋々公爵代行の仕事を続けるしかできないのであった。
52
お気に入りに追加
14
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!
杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。
彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。
さあ、私どうしよう?
とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。
小説家になろう、カクヨムにも投稿中。
シナリオではヒロインと第一王子が引っ付くことになっているので、脇役の私はーー。
ちょこ
恋愛
婚約者はヒロインさんであるアリスを溺愛しているようです。
そもそもなぜゲームの悪役令嬢である私を婚約破棄したかというと、その原因はヒロインさんにあるようです。
詳しくは知りませんが、殿下たちの会話を盗み聞きした結果、そのように解釈できました。
では私がヒロインさんへ嫌がらせをしなければいいのではないでしょうか? ですが、彼女は事あるごとに私に噛みついてきています。
出会いがしらに「ちょっと顔がいいからって調子に乗るな」と怒鳴ったり、私への悪口を書いた紙をばら撒いていたりします。
当然ながらすべて回収、処分しております。
しかも彼女は自分が嫌がらせを受けていると吹聴して回っているようで、私への悪評はとどまるところを知りません。
まったく……困ったものですわ。
「アリス様っ」
私が登校していると、ヒロインさんが駆け寄ってきます。
「おはようございます」と私は挨拶をしましたが、彼女は私に恨みがましい視線を向けます。
「何の用ですか?」
「あんたって本当に性格悪いのね」
「意味が分かりませんわ」
何を根拠に私が性格が悪いと言っているのでしょうか。
「あんた、殿下たちに色目を使っているって本当なの?」
「色目も何も、私は王太子妃を目指しています。王太子殿下と親しくなるのは当然のことですわ」
「そんなものは愛じゃないわ! 男の愛っていうのはね、もっと情熱的なものなのよ!」
彼女の言葉に対して私は心の底から思います。
……何を言っているのでしょう?
「それはあなたの妄想でしょう?」
「違うわ! 本当はあんただって分かっているんでしょ!? 好きな人に振り向いて欲しくて意地悪をする。それが女の子なの! それを愛っていうのよ!」
「違いますわ」
「っ……!」
私は彼女を見つめます。
「あなたは人を愛するという言葉の意味をはき違えていますわ」
「……違うもん……あたしは間違ってないもん……」
ヒロインさんは涙を流し、走り去っていきました。
まったく……面倒な人だこと。
そんな面倒な人とは反対に、もう一人の攻略対象であるフレッド殿下は私にとても優しくしてくれます。
今日も学園への通学路を歩いていると、フレッド殿下が私を見つけて駆け寄ってきます。
「おはようアリス」
「おはようございます殿下」
フレッド殿下は私に手を伸ばします。
「学園までエスコートするよ」
「ありがとうございますわ」
私は彼の手を取り歩き出します。
こんな普通の女の子の日常を疑似体験できるなんて夢にも思いませんでしたわ。
このままずっと続けばいいのですが……どうやらそうはいかないみたいですわ。
私はある女子生徒を見ました。
彼女は私と目が合うと、逃げるように走り去ってしまいました。
【完結】悪役令嬢に転生したけど『相手の悪意が分かる』から死亡エンドは迎えない
七星点灯
恋愛
絶対にハッピーエンドを迎えたい!
かつて心理学者だった私は、気がついたら悪役令嬢に転生していた。
『相手の嘘』に気付けるという前世の記憶を駆使して、張り巡らされる死亡フラグをくぐり抜けるが......
どうやら私は恋愛がド下手らしい。
*この作品は小説家になろう様にも掲載しています
婚約破棄されたのたが、兄上がチートでツラい。
藤宮
恋愛
「ローズ。貴様のティルナシア・カーターに対する数々の嫌がらせは既に明白。そのようなことをするものを国母と迎え入れるわけにはいかぬ。よってここにアロー皇国皇子イヴァン・カイ・アローとローザリア公爵家ローズ・ロレーヌ・ローザリアの婚約を破棄する。そして、私、アロー皇国第二皇子イヴァン・カイ・アローは真に王妃に相応しき、このカーター男爵家令嬢、ティルナシア・カーターとの婚約を宣言する」
婚約破棄モノ実験中。名前は使い回しで←
うっかり2年ほど放置していた事実に、今驚愕。
【一話完結】才色兼備な公爵令嬢は皇太子に婚約破棄されたけど、その場で第二皇子から愛を告げられる
皐月 誘
恋愛
「お前のその可愛げのない態度にはほとほと愛想が尽きた!今ここで婚約破棄を宣言する!」
この帝国の皇太子であるセルジオが高らかに宣言した。
その隣には、紫のドレスを身に纏った1人の令嬢が嘲笑うかのように笑みを浮かべて、セルジオにしなだれ掛かっている。
意図せず夜会で注目を浴びる事になったソフィア エインズワース公爵令嬢は、まるで自分には関係のない話の様に不思議そうな顔で2人を見つめ返した。
-------------------------------------
1話完結の超短編です。
想像が膨らめば、後日長編化します。
------------------------------------
お時間があれば、こちらもお読み頂けると嬉しいです!
連載中長編「前世占い師な伯爵令嬢は、魔女狩りの後に聖女認定される」
連載中 R18短編「【R18】聖女となった公爵令嬢は、元婚約者の皇太子に監禁調教される」
完結済み長編「シェアされがちな伯爵令嬢は今日も溜息を漏らす」
よろしくお願い致します!
婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?
tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」
「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」
子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。
【短編完結】婚約破棄なら私の呪いを解いてからにしてください
未知香
恋愛
婚約破棄を告げられたミレーナは、冷静にそれを受け入れた。
「ただ、正式な婚約破棄は呪いを解いてからにしてもらえますか」
婚約破棄から始まる自由と新たな恋の予感を手に入れる話。
全4話で短いお話です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
うん、もう、逃げて良いよって肩ポンして、ブランデーやウィスキーのいいヤツ、グラスに注いでやりたいと思いました。
まあ、取り敢えず、飲め。
それ以外にかける言葉が見当たらないです。
そのうち初孫出来て、人生薔薇色になるとイイね!