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5 マ王は魔族の王でも、魔法を極めた王でもありません
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「うぎぎぎぎぎ、どっせい!!!!」
コンは激怒した。
今日の天気は何なのだ、晴れ時々筋肉が降るでしょう、なんて聞いてないぞ!!
怒りに肩を震わせながら、コンは上に落ちてきた筋肉を投げ飛ばした。
筋肉は三回転半ひねりを空中でして、こちらを向いて綺麗に着地した。
「だれであるか?」
「気を付けてください。あれはおそらく魔族です。人類と対立している種族ですよ」
おちてきた筋肉は、黒い肌をした男性であった。全裸にふんどしだが、頭の大きな角が非常に目立っている。
あの大きな角が魔族の特徴である。あそこに闇の魔力を蓄えて、強力な魔法を使うのが、魔族の特徴だった。
「ふむ、主らが呼び出したのではないのか?」
「呼出し?」
「ならば誰かに追放で模されたか…… しかしそこの光ってるの」
「なんであるか?」
「いい胸筋をしているな。相当マッスルスタディを行っているのだろう」
「わかるか?」
胸筋を嬉しそうにピクピクさせるマッチョさん。ちょっと、いや、かなりキモイ。
そもそもマッスルスタディってなんやねん。コンは思った。
「筋肉をトレーニングするのは二流。一流は筋肉を学ぶのだ。それがマッスルスタディ!」
「心読まないでください。あとその説明聞いても全く意味わからないです」
「なるほど、確かに」
「マッスルさんも黙っていてください」
筋肉の世界に迷い込んだ狐のコンちゃん、泣きそうである。
「相当な筋肉偏差値をもっているな。魔大陸でもそのレベルの者は見たことがない。それに比べもう一人は……かわいそうなほどの落第点だな」
「女の子なんだし筋肉モリモリは怖いだろ!!!」
コンの体型は、まあ、本人の名誉のために描写は控えておこう。
「見かけによらず頑丈であるぞ、コン殿は。なんせ、我と主の二人のボディプレスを喰らってもケガをしておらん」
「フォローになってないよ!」
「そうコンコン怒るな小さいの。余計小さくなるぞ小さいの」
「小さいのいうな! ボクにはコンスタンシア・アーデルトラウト・ゾフィーティア・ゲルステンビュッテルっていうちゃんとした名前があるんだからね」
「コン? アート? ゲル?」
「コン殿である」
「コンだな」
「略すな! 呼び捨てするな!!」
「そうコンコン怒るな、コン」
「コンコンってなんだよ!!」
ぴょんぴょん跳ねて、尻尾を逆立てながら怒りを全身で露わにするコン。
ただかわいらしいだけであった。
「しかし、名乗られたなら名乗ろう! 我はマ王マーマオ! 筋武両道を極めた王の中の王なり!」
「知っているかの、コン殿」
「魔王マーマオの名前は有名ですよ。魔族にいる6人の王、魔族の王のうち最強かつ最も凶悪といわれる存在です」
「ラスボスであるな!」
「うう、何で初めての冒険でこんなヤバいのにいくつも出会うんだよぉ……」
「コン、一つ訂正する!」
「だから呼び捨てするな!」
「じゃあコンちゃん! 一つ訂正する」
「呼び捨てではなくなったであるな。で、何であるか?」
「……」
コンちゃんの目は死んでいた。
「我は確かに魔族最強だろう」
「すごい自信である」
「凶悪といわれると少し思うところがあるがまあそこは見逃そう」
「寛大であるな」
「我は魔族の王ではない。マッスルを極めし王。略してマ王だ!!!!」
「なんだよそれ! なんだよそれ!!!!」
「確かに、すさまじいマッスルである」
「認めるな! ついていけないだろ!!!」
コンちゃんは泣いた。
コンは激怒した。
今日の天気は何なのだ、晴れ時々筋肉が降るでしょう、なんて聞いてないぞ!!
怒りに肩を震わせながら、コンは上に落ちてきた筋肉を投げ飛ばした。
筋肉は三回転半ひねりを空中でして、こちらを向いて綺麗に着地した。
「だれであるか?」
「気を付けてください。あれはおそらく魔族です。人類と対立している種族ですよ」
おちてきた筋肉は、黒い肌をした男性であった。全裸にふんどしだが、頭の大きな角が非常に目立っている。
あの大きな角が魔族の特徴である。あそこに闇の魔力を蓄えて、強力な魔法を使うのが、魔族の特徴だった。
「ふむ、主らが呼び出したのではないのか?」
「呼出し?」
「ならば誰かに追放で模されたか…… しかしそこの光ってるの」
「なんであるか?」
「いい胸筋をしているな。相当マッスルスタディを行っているのだろう」
「わかるか?」
胸筋を嬉しそうにピクピクさせるマッチョさん。ちょっと、いや、かなりキモイ。
そもそもマッスルスタディってなんやねん。コンは思った。
「筋肉をトレーニングするのは二流。一流は筋肉を学ぶのだ。それがマッスルスタディ!」
「心読まないでください。あとその説明聞いても全く意味わからないです」
「なるほど、確かに」
「マッスルさんも黙っていてください」
筋肉の世界に迷い込んだ狐のコンちゃん、泣きそうである。
「相当な筋肉偏差値をもっているな。魔大陸でもそのレベルの者は見たことがない。それに比べもう一人は……かわいそうなほどの落第点だな」
「女の子なんだし筋肉モリモリは怖いだろ!!!」
コンの体型は、まあ、本人の名誉のために描写は控えておこう。
「見かけによらず頑丈であるぞ、コン殿は。なんせ、我と主の二人のボディプレスを喰らってもケガをしておらん」
「フォローになってないよ!」
「そうコンコン怒るな小さいの。余計小さくなるぞ小さいの」
「小さいのいうな! ボクにはコンスタンシア・アーデルトラウト・ゾフィーティア・ゲルステンビュッテルっていうちゃんとした名前があるんだからね」
「コン? アート? ゲル?」
「コン殿である」
「コンだな」
「略すな! 呼び捨てするな!!」
「そうコンコン怒るな、コン」
「コンコンってなんだよ!!」
ぴょんぴょん跳ねて、尻尾を逆立てながら怒りを全身で露わにするコン。
ただかわいらしいだけであった。
「しかし、名乗られたなら名乗ろう! 我はマ王マーマオ! 筋武両道を極めた王の中の王なり!」
「知っているかの、コン殿」
「魔王マーマオの名前は有名ですよ。魔族にいる6人の王、魔族の王のうち最強かつ最も凶悪といわれる存在です」
「ラスボスであるな!」
「うう、何で初めての冒険でこんなヤバいのにいくつも出会うんだよぉ……」
「コン、一つ訂正する!」
「だから呼び捨てするな!」
「じゃあコンちゃん! 一つ訂正する」
「呼び捨てではなくなったであるな。で、何であるか?」
「……」
コンちゃんの目は死んでいた。
「我は確かに魔族最強だろう」
「すごい自信である」
「凶悪といわれると少し思うところがあるがまあそこは見逃そう」
「寛大であるな」
「我は魔族の王ではない。マッスルを極めし王。略してマ王だ!!!!」
「なんだよそれ! なんだよそれ!!!!」
「確かに、すさまじいマッスルである」
「認めるな! ついていけないだろ!!!」
コンちゃんは泣いた。
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