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八章
夜の蝶は秘密を抱いて苗床となる③②~side by 美比呂~
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「戻ったよ、美比呂。」
「おかえりなさい、晃介さん」
部屋へ戻ってきた晃介さんは、私が迎えに出る事もなく、駆け寄る事もないことに不思議そうに部屋に入って来て、その光景を見ながら笑った。
「なんだ、出迎えがなくて拗ねるところだったが随分懐かれたものだな。」
晃介さんからジャケットを預かったヒナさんがハンガーへと掛け、先輩ノラとして「申し訳ありません」と苦笑した。
「俺がいない間好きにできたか?美比呂。」
ソファーに座った私にか屈みこんでキスをした晃介さんが、私の膝に頭を乗せて大きな犬のように身体を丸め穏やかな寝息を立てているユウキくんの頭を撫でた。
「はい、とても愉しかったです。」
ユウキくんの滑らかな頬に触れると「ん・・・」と僅かに眉を寄せて、私のお腹に顔を埋めた。
「なんだかデカい息子みたいじゃないか(笑)」
「ふふふ、随分可愛らしく私を愉しませてくれたんですよ」
「そうか・・・それは俺も見たかったな・・・」
惜しいことをしたと残念そうに呟く晃介さんに、
「お客様を愉しませるどころか、美比呂様のテクニックにユウキが翻弄されてしまって・・・女性をちゃんとお相手したのは美比呂様が初めてのことだったので疲れ果ててしまったようです、申し訳ありません。そろそろ起こしますね」
「(笑)いや、気にしなくていいよ、ヒナ。眠らせてやりなさい。それに美比呂も随分ご機嫌で満足したようだからね。」
私の隣に座って肩を抱き、髪を梳きながら首筋に触れる晃介さんは、そう言いながらも私がユウキくんとどんな風に戯れたのか気になり、少しヤキモチを妬いたことが伝わる触れ方で私の肌に指を這わせる。
一番好きなのは・・・愛しているのは晃介さんなのに・・・可愛い。
「けど、他の男性が私に触れることをどうしてお許しになったんですか?」
晃介さんに甘えるように身体を預け、その間も手はサラサラとしたユウキくんの黒髪を撫でていた。
「客で来ている他の男や、美比呂を脳内で穢すような目で見ていた男共に触らせる気は無いが、ユウキなら美比呂も愉しめそうだと思ってね。」
「・・・・・・ふぅん・・・?」
「よくわかっていないようだな(笑)」
「・・・はい」
「だが嫌だったかい?」
「・・・・・・いえ・・・愉しかったです。」
ユウキならと言った晃介さんの意図はよくわからなかったけれど、
「・・・」
「・・・そうだろうな。美比呂の気持ちは知っていたからね。」
膝で眠っているユウキくんに聞こえることがないよう念のため私は晃介さんの耳に唇を寄せて耳打ちをした。
『義弟のようだと思ってしまって。』と・・・。
「ごめんなさい・・・」
「何を謝る必要があるんだ。俺は最初からそのつもりだったんだから。」
「え・・・?」
「・・・似ているのだろう?」
晃介さんの視線を追った私の瞳は、起きる気配もなく眠るユウキくんの整った顔を捕らえ、その顔は私に対して義姉以上の感情を持ち、短い期間家族としてあった男の子を思い起こさせた。
「・・・はい・・・とても・・・」
家族なのに、家族だからいけない、そう思って家を出てから家族の誰とも連絡は取っていないし、実家にも帰っていない。
・・・あの子が今どうしているのかも私は知らない。
これでよかった、そう思っていたし、家族と縁を切るように実家を出て来たことも後悔は一切ない。
「美比呂、今晩とあるショーがあるんだが、ユウキも一緒に参加しないか?」
「ショー、ですか?」
「あぁ。悪い事をすると罰が・・・お仕置きがあるんだってわかるショーだよ。」
・・・にっこり笑う晃介さんの目は、全く笑っていなかった。
「おかえりなさい、晃介さん」
部屋へ戻ってきた晃介さんは、私が迎えに出る事もなく、駆け寄る事もないことに不思議そうに部屋に入って来て、その光景を見ながら笑った。
「なんだ、出迎えがなくて拗ねるところだったが随分懐かれたものだな。」
晃介さんからジャケットを預かったヒナさんがハンガーへと掛け、先輩ノラとして「申し訳ありません」と苦笑した。
「俺がいない間好きにできたか?美比呂。」
ソファーに座った私にか屈みこんでキスをした晃介さんが、私の膝に頭を乗せて大きな犬のように身体を丸め穏やかな寝息を立てているユウキくんの頭を撫でた。
「はい、とても愉しかったです。」
ユウキくんの滑らかな頬に触れると「ん・・・」と僅かに眉を寄せて、私のお腹に顔を埋めた。
「なんだかデカい息子みたいじゃないか(笑)」
「ふふふ、随分可愛らしく私を愉しませてくれたんですよ」
「そうか・・・それは俺も見たかったな・・・」
惜しいことをしたと残念そうに呟く晃介さんに、
「お客様を愉しませるどころか、美比呂様のテクニックにユウキが翻弄されてしまって・・・女性をちゃんとお相手したのは美比呂様が初めてのことだったので疲れ果ててしまったようです、申し訳ありません。そろそろ起こしますね」
「(笑)いや、気にしなくていいよ、ヒナ。眠らせてやりなさい。それに美比呂も随分ご機嫌で満足したようだからね。」
私の隣に座って肩を抱き、髪を梳きながら首筋に触れる晃介さんは、そう言いながらも私がユウキくんとどんな風に戯れたのか気になり、少しヤキモチを妬いたことが伝わる触れ方で私の肌に指を這わせる。
一番好きなのは・・・愛しているのは晃介さんなのに・・・可愛い。
「けど、他の男性が私に触れることをどうしてお許しになったんですか?」
晃介さんに甘えるように身体を預け、その間も手はサラサラとしたユウキくんの黒髪を撫でていた。
「客で来ている他の男や、美比呂を脳内で穢すような目で見ていた男共に触らせる気は無いが、ユウキなら美比呂も愉しめそうだと思ってね。」
「・・・・・・ふぅん・・・?」
「よくわかっていないようだな(笑)」
「・・・はい」
「だが嫌だったかい?」
「・・・・・・いえ・・・愉しかったです。」
ユウキならと言った晃介さんの意図はよくわからなかったけれど、
「・・・」
「・・・そうだろうな。美比呂の気持ちは知っていたからね。」
膝で眠っているユウキくんに聞こえることがないよう念のため私は晃介さんの耳に唇を寄せて耳打ちをした。
『義弟のようだと思ってしまって。』と・・・。
「ごめんなさい・・・」
「何を謝る必要があるんだ。俺は最初からそのつもりだったんだから。」
「え・・・?」
「・・・似ているのだろう?」
晃介さんの視線を追った私の瞳は、起きる気配もなく眠るユウキくんの整った顔を捕らえ、その顔は私に対して義姉以上の感情を持ち、短い期間家族としてあった男の子を思い起こさせた。
「・・・はい・・・とても・・・」
家族なのに、家族だからいけない、そう思って家を出てから家族の誰とも連絡は取っていないし、実家にも帰っていない。
・・・あの子が今どうしているのかも私は知らない。
これでよかった、そう思っていたし、家族と縁を切るように実家を出て来たことも後悔は一切ない。
「美比呂、今晩とあるショーがあるんだが、ユウキも一緒に参加しないか?」
「ショー、ですか?」
「あぁ。悪い事をすると罰が・・・お仕置きがあるんだってわかるショーだよ。」
・・・にっこり笑う晃介さんの目は、全く笑っていなかった。
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