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聖女の物語~マイカ∼
しおりを挟む私は小さい頃に親に捨てられ、施設で過ごしていた。
その施設では毎日奴隷の様に働かされ少しでも気に食わない事があると
体罰やご飯を抜かれる事なんて日常茶飯事だ。そんな施設でも私が一番年長な事もあってよく年少の皆を自然と面倒みる事になった。
そんな毎日で少しの息抜きは読書。色んな物語で私をワクワクと別世界に連れて行ってくれる数少ない現実逃避だった。
そんなある日。
私の誕生日という事で施設のおじさんが好きな本を1冊だけ買ってくれると言ったので車へ乗り込んだ。
こんな事初めてだったので、嬉しさのあまりソワソワしていると車は人気のない広い駐車場に停められた。
「こんな所に本屋さんなんてあるの?」
そういいつつおじさんの方を見ると、何故か息が荒く怖い目つきで私を見つめている。
「マイカちゃん。服を脱ぎなさい。」
そういって手を伸ばしてくるおじさんが怖くなり私は必至に腕で顔を覆いながら抵抗しようと固まった。
そんな時目を瞑っているはずなのに、目を窄めるスポットライトの様な光に包まれているのを感じ更に身体を固くした。
暫くして腕を下ろし周りを見てみるとそこは車の助手席なんかではなく
全く知らない部屋に知らない外国人の人たちに囲まれていた。
知らない大人たちの中で、ただ一人瞳の綺麗な男の子がジッとこちらを見ていたので私も思わず見つめてしまった。
「きれい…」
-----------------------------------------------
そこから私は異世界転生してしまったのだと気づいた。
勿論最初は戸惑いもしたが、小説で異世界転生の本を読んでいたいたし元の世界にいい思い出なんてなかったので、小説の主人公になった様でワクワクした。それでも全く知らな大人たちに常に囲まれるのはあまり居心地が良いものではなかった。そんな時あの瞳の綺麗な男の子が会いにきてくれる様になった。
彼はこの国の王子様らしい。
私より少し高いぐらいの彼はその小さな身体で大きな期待と大きな責任を背負っていた。
そんな気持ちに応えようとする彼の頑張りに私は心惹かれ、何より彼も聖女としてではなく私マイカを初めて大切にしてくれた人だった。
それから彼に相応しくある為に、自分でもできる事をしようとした。この国の勉強や慈善事業。私の様な子供を少しでも減らしたくて各地の孤児院を回り待遇改善にも努めた。
でもそんな日は長くは続かなかった。
大きくなる聖女に対する不信感。
私自身聖女と言われても魔力もなければ、自分の使命すらわからない。
そんな私を平民以下だと嘲笑われる事も多くなる。
私とヴィーは話し合って、私たちの為にもこの国の為にも婚約を解消しヴィーは新しく婚約者を迎える事となった。
サブリナ彼女はとても素敵な人だった。
どんな人が来ても、私が邪魔者には変わらない。だからきっと良い関係を築くのは難しいだろうとそう思っていた。それなのにサブリナは優しく聡明でとても素敵な人だ。
彼女との時間は、お姉ちゃんと過ごしたらきっとこんなふわふわした気持ちになるのだろうと思わせ、彼女を好きになるのには時間はかからずそれと同時に、こんな素敵な人がヴィーのお嫁さんと少し不安にもなった。
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